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閑話 諦めない

よろしくお願いします(*''∀''*)ゞエヘヘ

双子視点・コチョウです。

本当は一話でコチョウとギンヤやるつもりだったんですけど、予想以上に長くなってしまいました〜。ギンヤ視点は次回です。

私の名前はコチョウ。

ご主人様が付けてくれた大事な大事な私の名前。

金色の朝、という意味らしい。



私はちょっと前までコボルトという魔物だった。

ゴブリンに負けてしまうこともある弱い魔物。

弱くて弱くて毎日身を寄せ合って生きてきた。

シグノ大森林には強い魔物が沢山いるから私たちみたいに弱い魔物は群れないと生きていけない。

森の中を転々としながら強者の目から隠れながら。

こそこそと、生きてきた。



でも、ある日、見つかってしまった、圧倒的な強者の目に。





──…ああ、なんで、どうして、やだ、やだよぉ、お願い、やめて、お願い、だから、お母さん、お父さん、ヤダヤダヤダやだやだやだやだやだああああ!!!




コボルトに少し知能が、感情が、あったのが良くなかった。弱い魔物ほど知能が高い。力に頼れない分を頭で補おうとするからだ。



悲しみが、恐怖が、憎しみが、怒りが、全部が自分の体を飲み込む。

最後の最後まで残った私達はただただ見ていることしかできなかった。何も出来ずに仲間が家族が殺されていくのを…




ああ、次は自分の番だ。

情けない、たった1人残った家族も守れないなんて。



何か声が聞こえてくる。



怖い、怖い、弱いのが悪い?食われる方が悪い?知らないわよ、そんなの。仕方ないじゃない、そういう種族なんだから、どうしようもないじゃない。最初っから強いあなた達に何が分かるのよ。




…──誰か、助けてよ──





「なぁ、お前等助かりたいか?」






「はよ〜コチョウ〜相変わらず朝早いなぁ〜」




首の裏をボリボリと掻きながら朝の挨拶をするご主人様。癖なのか、ポンポンと頭を触ってくる。

フフフ、幸せだ。




私達は助かった。神様の手によって──…

神様じゃなくてご主人様かな?まぁどちらでも大差はないのだけれど。



バイオレットスパイダーに食べられそうになる寸前。救いの手は差し伸べられた。契約?とかはよく分からなかったけど助かるのならなんでも良かった。

そしたら、ご主人様は私達を進化させて助けてくれた。


すごい、神様だ。

進化はとっても強くなることだって聞いたことがある。私達には縁のない話だと思ってた。

契約、そっか、私達この人の為に頑張ればいいんだ。この人の支えになりたい、役に立ちたい、そう思ったら姿が変化してた。この服はご主人様曰く、めいど服、というらしい。人にお仕えする女の人が着る服なんだって。ふわふわしててとても可愛い。



ご主人様が、犯罪臭が凄い…俺は決してロリコンでもショタコンでもないぞ…って、私達を見たときに言ってたけどどういう意味なんでしょうか?



とにかく、私達はこの人に仕えるって決めた。

でもご主人様は契約を無しにすると言った。慌てて止めた。何が何でもこの人の役に立つんだって。

…勢いつきすぎてご主人様を吹き飛ばしてしまったけれど…




「うんうん、コチョウの作る飯は美味そうだなぁ。いただきます、と。」

「あの、ご主人様、そのいただきます、と言うのはなんですか?」

「ん?これはな、俺の国の食事前にする挨拶で、食べ物や作ってくれた人に対してするお礼の言葉みたいなやつだよ。」





そう言ってご主人様は私に向かって手を合わせて、いただきますと言った。私にお礼なんていらないのに。ギンヤもご主人様のマネをしてたどたどしく手を合わせる。




「なんだって俺がお前なんかに礼なんてしないと「おい、ノワール!コチョウが朝早くから用意してくれたんだから感謝するんだよ!」イテッ、何すんだよ!ケイ!」「いいからさっさとやる!お前も喰うんだろ?」「ぐぬぬぬぬ。」




なんか雑音入りましたね。心地よい朝のひと時に水を差すなんて…




「食べたくないなら食べなくてもイイですよ!」

「そうは言ってねぇ!…い、いただきます…」

「最初っからそういえばいいのです!」




大蛇の魔人のノワー…ミミズ。

私は、いえ私達はこの人が嫌いだ。



私達を見捨てようとした人らしいけどそこは気にしてない。この人の言う事は正しいから。魔物は弱肉強食。納得はしてないけど正しい。



なら何故、私達がこの人を好きになれないのか。それは簡単、気に食わないっ…!!!



だって、そうでしょ?ご主人様と一番最初に契約した人、しかも同格!対等!あの、ご主人様と!!!

それだけでは飽き足らず命まで共にしてる!!!ズルい、ズルいーーーー!!!!!!



くぅううう…



…かと言って、私がご主人様と対等になりたいか、命を共にしたいか、と聞かれると全くそんなことは無い。だって、私は弱いから。



このミミズは悔しいことに私よりずっと強い。私とギンヤの二人がかりでも勝てないほどに。そして何よりこの強さは努力に裏打ちされたもの。元々の種族と進化に頼ったものじゃない。あんなにレベル高くならないもの、頑張らないと。



だから私はとても、心底、不本意なことに、彼を認めている。



…これでもうすこーしだけご主人様に対する態度が良くなれば言うことないのに…

いくら対等だからって許容出来ないもの、あんなの。



助けられた後、私達が吹き飛ばして気絶したご主人様を彼は担ぎ上げた。帰るけど、どうする?と話しかけてきたので付いていく、と答えた。



そしたら、あの男は、ご主人様を、投げた。



ひゅーんと風をきって飛んでいくご主人様。

一瞬意味が分からなかった。

ギンヤが急いで着地地点に入らなかったらご主人様は死んでたかもしれない。



当の本人は、あーちょっと方向ズレたなぁ…と宣っていた。バカなんですか?バカなんですね。




こんな感じにご主人様の扱いは酷い。ご主人様は人間なのに。

でも、ご主人様はそんなに怒ってなかった。大声を出してアレコレ言うけど本気で怒ってなかった。次の時には笑って普通に話してた。





何でですか?と聞いたら、え?うーん、新手のコミュニケーションだからかな?ノワールなりの。と、笑っていた。

後は、友達だからかな?俺だけかもしんないけど、そう思ってんの。続けてそうも言ってた。





…ご主人様の器の大きさを垣間見た気がします。

あれをコミュニケーションと片付けてしまうあたり大物です。

ご主人様がそう言うなら何も言いませんが、少しは改めて欲しいですね。





「コチョウ。主、すごい…ミミズも、すごい。」「ええ。スゴイわね。ご主人様は勿論、…ミミズも。」





今はご主人様とミミズが戦闘をしています。

ご主人様のレベル上げの為です。




レベルは魔物を倒したり、格上の相手と戦ったりすると上がる。だから、最もレベルの高いミミズが相手をしている。私達も一時期ミミズと喧嘩をしていたからか、レベルが一気に上がった。この方法はとても効率的だ。

隣でギンヤが目をキラキラさせて食い入る様に見つめている。




ご主人様はすごい。人間なのに、大きな蛇に臆することなく挑んでいる。色んな手を考えて、諦めずに。失礼だけど、Lv.1のご主人様はゴブリンにさえ負けてしまう。

…それなのに、初戦の時も自分に出来ることをやり始めた。素早く、勝とうと、した。圧倒的な戦力差を覆そうと。






進化する前、私は冒険者のパーティーに襲われかけたことがある。何も出来なかった。しようともしなかった。せめて、逃げるぐらいは出来たはずなのに。そのせいで仲間が一人私を庇って死んでしまった。

あの時もそうだ。ただ無様に、糸に絡まってただけ。





確かに今回は特訓で、死ぬ心配はない。でも、諦めないって、凄いことだと思う。考え続けることって、大事だと思う。ご主人様の姿を見て、そう感じた。頑張ろうと、決意した。





私はコチョウ。

ご主人様の忠実なる僕。

私は強くなる。もう、何も失わないように。守れるように。




絶対、諦めない。







˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˙༓࿇༓˙˚˚˙


おまけ1



「ところで、コチョウとギンヤってどっちが上なんだ?」

「私に決まってますわ。」「俺。」

「「………」」

「何を言ってるの、ギンヤ。私の方がしっかりしてるのだから私が姉よ。」

「強い方が、上。俺の方が、強い。だから、俺が、兄。」

「「ご主人様(主)!どっちだと思いますか(思う)!?」」

「さ、さあ?どっちでもいいんじゃないかな?あ、ノワール、お前はどっちだと思う?!(助けろ!)」

「はあ?…じゃ「「ミミズには聞いてませんわ(ない)」」……覚悟しろ、ケイ!!!!!」

「何で俺?!」




おまけ2



「ノワールさんや。」「なんだ?」

「投げたってどゆこと?俺の気絶してる間に、何してくれっちゃってんの?」

「あ、あーアレな。大丈夫だって、方角がちょっとずれたけど、洞窟近くには落ちたろ。あの辺りは俺の縄張りと化してるから魔物が近づいてくることもねぇしな。」

「そうじゃないよ、そうじゃない。俺死ぬよ?頭から地面にめり込んで死ぬよ?」

「そこは、どうにかしろよ。」

「…俺、気絶してたんですけど…?」




どこまでも不憫な主人公。


最後まで読んで頂きありがとうございました。゜+.*(+・`ω・)9 。゜+.*

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