うさぎ
「死にたい」
「死ねよ」
「死にたいってのは慰めてって意味だろうが」
「………死なないで」
「ざっくりした慰め方だな」
冷蔵庫を開けてプリンを出す。
「羨ましいだろ」
「別に」
ユーレイはムッとしている。
「死にたいくせに食べるのね」
「食べるってことは慰められるってことなんだよ」
自分の発言だが意味が分からない。
「かっこつけてんじゃねえよ」
「かっこついてねえからいいだろ」
プリンを楽しんだ俺はもう布団に入る。
「風呂は?」
「朝、入る」
「また遅刻するよ」
「うるせえ。もう寝る」
「………そう。私はちょっと、出かけてくる」
俺は毛布で顔を覆う。
「いいかげん名前教えろよ」
「だからユーレイだってば」
「種族名だろそれ」
「なに種族名って」
悪寒が走る。ユーレイが近づいたようだ。
「もし、生きてる時に会ってたらさ、私絶対、アンタの家になんか来ないよ」
「じゃあ、なんで居るんだよ」
「………死にたい、から」
「もう死んでるだろ」
寒さで勝手に体が震える。
「………『慰めて』って意味でしょ」
我ながら中身が無いですね。