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電車内には向かないお話

勇者と聖なるエルフの話

作者: 奏似
掲載日:2026/03/10

5/10本目

「目覚めなさい…」


…………?


「目覚めるのです、勇者よ…」


……勇者?誰が?


「目覚めなさい、私は待つのが嫌いです…」


「待て待て待て!」


「あぁ、勇者の目覚め、ですね…」


「スルーすんな!」


「うるさいですね黙りなさい…」


「そのテンションで行けば押し通せると思うなよこの野郎!」


「野郎ってなんですか野郎って!私女神ですよ女神。崇めなさい!」


「メッキ剥がれるの早いなオイ」


「コホン。勇者よ、どうかこの世界をお救いください…」


「またのうのうと何事もなかったように…」


「ゴホン。勇者?いいから聞け?」


「ええとなんでしたっけ?この世界を救えって?」


「そうです。今、世界は危機に瀕しているのです…」


「で。勇者、でしたっけ?」


「その通り、貴方は選ばれし勇者なのです…」


「勇者ってなに?」


「勇者、それは勇気ある者の…」


「俺勇気とか全然ないんですけど」


「いいえ、私には分かります…」


「いやそういうのいいから」


「勇者?聞け?」


「メッキメッキ」


「いいからよくお聞きなさい…」


「雑だなぁ」


「黙れ?」


「はいはい」


「あなたは選ばれし勇者なのです…」


「それはさっき聞いた」


「悪しき魔王の手からこの世界を救うのです…」


「めんどいしんどいやりたくない」


「いやでもなんでもやるのです…」


「それもう勇気関係なくね?ただの押し付け」


「もうなんでもいいのです…」


「よくねぇよなんだよ魔王って。絶対ヤバいやつじゃんムリムリムリ」


「安心なさい、あなたには特別な力を授けます…」


「あ、それなんか聞いたことある。チートとかそーゆーの」


「そうそうそれそれ…いかなる存在をも倒すことの出来る特別な武器を授けます…」


「おー、さすが女神」


「この聖なるトラックを振るい」


「待て待て待て待て」


「なんやねん…」


「関西弁…?いやなんだよ聖なるトラックって」


「コレです…」


「うわマジトラック出てきた!」


「これを振るい…」


「トラック振るうってどういうことだよ!」


「そのための特別な力を授けます…」


「いや先に授けるべきもの他に色々なんか」


「いいから黙って受け取りなさい…」


「受け取りなさい、って言われてもうわぁホントに持ち上げられるし怖っ」


「ふふ、幼な子のようにはしゃいでしまって…」


「今更そのキャラ修正きかないからな?」


「なんのことでしょう…」


「てゆーか」


「はい…?」


「なんかこのトラック、凹んでんだけど」


「それはあなたとぶつかった時に出来たキズですね…」


「ちょ!待って、俺これにやられて死んだの?」


「はい…」


「死因のブツ振り回して魔王倒せとか正気かマジで」


「勇者の血により聖別された特別なトラックです、これなら魔王もイチコロ…」


「トラックぶつけりゃ大概イチコロだけどな。勇者の血って、それ俺はねた時の血だよな?」


「もちろん…」


「俺の血がかかったら聖別されるってんなら、トラックじゃなくてもよくね?」


「例えば勇者の血により聖別された特別な魔王とか…?」


「魔王倒すのに魔王を武器にしようとは思わねぇよなんでそれで例えたし」


「残念ながらそれは出来ません…」


「そりゃ魔王で魔王は倒せんだろ」


「違いますー聖別には女神の祝福も必要なんですー…」


「最後余韻残せばなんでもいいと思ってない?」


「うるさいです…とにかく魔王を倒せるのはその聖なるトラックだけなのです…」


「めんどくさいだけだよな?」


「ご明察です…」


「やかましいわ。とにかく俺を轢いたトラックで世界を救うつもりはない!」


「どうしても…?」


「どうしても」


「えー…」


「えー、じゃねえよ」


「仕方ないですね、分かりました。その願い聞きとどけましょう…」


「なんで俺がわがまま言ったみたいになってんの?」


「では、代わりに優れた従者を同行させましょう…聖なるエルフです…」


「聞けよ。エルフ?やった、めっちゃファンタジーじゃん」


「徹頭徹尾ファンタジーですよ?最初から…」


「勇者にトラック押し付ける女神はファンタジーじゃねえよ。で、エルフって美形なんだよな?女?男?」


「どちらがお望みですか…?」


「選べるの?じゃあやっぱり美人のお姉さんがいいって言うか…いや、変な意味じゃなくて」


「その辺の青臭い話はどうでもいいです…では、女性ということにしましょう…」


「どうでもは…いや、それはいいや。ということにしましょう?」


「聖なるエルフですから、そこはいかようにも…」


「聖なる…おい、ちょっと待て。そのエルフ人の形してるか?」


「人の形、それは捉えようによっていかようにも…」


「いかようにもはならねぇよ。まさかと思うが、そいつトラックの形なんかしてねぇよな?」


「ななななんのことでしょう…?」


「めっちゃ動揺してるじゃねーか。つまりアレだろ?このトラックが聖なるエルフだと?」


「ぶっちゃけまぁその通りです…」


「同行者って、トラックじゃ話し相手にもなんねーじゃねーかふざけんな」


「なりますよ…?」


「は…?」


「女性の人格を与えますから、いつでも好きなだけお話出来ます…無料で…」


「無料…?」


「あぁ…あなたはまだ知らない世界の話でしたね…」


「???」


「若いってすばらしい…」


「訳分かんねーよ。つまりあれか、インテリジェントソード的な」


「はい…インテリジェントトラックです…」


「それただのナビ付きトラックじゃね?」


「よくご存知で…」


「やかましいわ。で、なんだっけ?これで魔王を倒せと?」


「そうです…」


「そもそもその魔王ってどんな悪いことしでかしたん?」


「よくぞ聞いてくれました…あの悪しき魔王は、あろうことか私よりも若い女神に宗旨替えし、私を邪神だと言い放ったのです…」


「はぁ!?」


「ありえないと思いませんか…利用するだけ利用して飽きたらポイだなんて…」


「あーあーはいはい。なるほどなるほど、オッケオッケ」


「分かってくれますか…さすがは勇者…」


「ところでこのトラック、なんでも倒せるって言ったっけ?」


「その通りです…さぁ、この聖なるトラックを振るい…」


「そっかそっか、なんでもかー」


「勇者…?」


「お前が滅べえぇ!」


「ぎゃーーー………」


「あ、ホントに倒せたわ。そこはちゃんと女神だったのな」


………………


「えーと」


………………


「で。俺、これからどうしたら?」


………………


明日はもりのくまさんを歌います

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