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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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第9話 アンズとアンリ ―約束―

「―――アンズ……。アンズ……。」


 誰かが…愛おしそうに僕の名前を呼びながら、僕の頭を優しく撫でてくれている。

 

 こんな風に…前にも、誰かが僕の頭を撫でてくれた気がする……


 誰だったかは、思い出せないけど……


「ん……?ふぁっ…!?ア…アンリ…?」


 僕が目を覚ますと、薄暗い視界の中で、綺麗な青い瞳が僕を見つめていた。


 僕は、寝ていたベッドから上半身を起こした。


「ごめん、アンズ。起こしちゃった?」


 アンリは、僕の寝ているベッドのすぐそばで椅子に腰かけていた。


「アンリ、ここは…?」


 ここは、あきらかに保健室のベッドではなかった。 


 今、僕が寝かせられているベッドは、保健室の簡素なベッドとは大違いで、ふかふかで柔らかい上質な寝具に、見上げると豪華な天幕まで付いている。


「ボクの部屋だよ。アンズったら、ボクの血を見て気絶しちゃったんだよ?それで、ボクの家に連れて来たんだよ♪アンズのおばあちゃんには、ちゃんとボクのママが連絡してるから心配しないで。」 


 アンリの部屋は、あの頃とほとんど変わっていなかった。


 サイドテーブルに置かれた小さなルームランプの灯りに照らされて、美しい装飾が施されたアンティーク調の豪華な家具が浮かび上がり、白亜の花瓶には大輪の真っ赤な薔薇の花が生けられている…。


「君が……本当に、あのアンリなんだね…。僕、ずっと…アンリのこと、僕より年下の女の子だと思ってたから……。」

 

 僕の目の前にいるアンリは、胸元にフリルの付いた純白のワイシャツに、アンリのスタイルの良い美しい長い足をより際立たせるような黒いズボンを履いていて……


 まるで、ファンタジーの世界に出て来る王子様みたいだ……


「フフッ…。そうだったんだー。だから、ボクと一度も一緒にお風呂入ってくれなかったんだねー?それじゃあ、今ならボクと一緒にお風呂入れるよね♡?アンズ、一緒にお風呂入ろう♡!」

 

 アンリと一緒にお風呂!?


「いっ、いや…!それは…ちょっと…!無理…!!」


 アンリと一緒にお風呂に入るってことは…その、つまりアンリが裸になるってことで…!


「えーっ?何恥ずかしがってんの~?ボクたち、男同士なんだからさぁ~?」


 だから嫌なんだよ…!!


 裸になったアンリの――アンリを男性たらしめるモノ(いわゆるチ〇コ)を直視してしまったら…!!!


 僕の初恋の美少女アンリのイメージがぁああああああ…!!!


「アンズ…ボクと一緒じゃ嫌なの?」


「だって!!アンリのチン…じゃなくて!!」


 僕は、思わず「アンリのチン〇なんか見たくない!!」と叫びそうになってしまった!


「えぇ…?ボクのチンって何?」


「えっ!?えっ、えぇっと…チン…?…チン……あぁっ!ちんすこう…!僕、ちんすこうが食べたいなぁ~なんて……あはは……」


 僕はとっさに思いついた沖縄の伝統菓子でごまかした。


 いや、ごまかせたのか…?


「ちんすこうって…たしか沖縄のお菓子だよね?ボクらの学校、修学旅行で沖縄行くんだよ!ボク、もう1年ダブれば、アンズと一緒に沖縄行けるね♡!よし、ボク今年も頑張って単位落とすぞ~♪」


「はぁっ!?そんなふざけた理由で留年しちゃダメだよ~!!」


「ふざけてないよ?ボク、修学旅行はアンズと一緒に行きたいもん♡!それに…ボク、こんな身体だから、小学校も中学の時も修学旅行に行けなかったんだ…。もちろん、今年のもね……。」


「アンリ…っ。いいよ…!旅行、一緒に行こう!僕もアンリと一緒に旅行、行きたい!」


「アンズぅ~♡!じゃあ、一緒にお風呂入ろう♡!」


「えぇっ!?なんで、またお風呂の話になってんの?」


「だって、旅行先でも一緒にお風呂入りたいから~♪今から、練習しよ♡?」


 練習…!?



「―――こら、杏璃。貴方は、今夜はお風呂に入っちゃダメだってお医者さんに言われたでしょう?いらっしゃい、杏子ちゃん♪お久しぶりね。」


 アンリのママがノックもせずに、部屋の中に入って来た!


「アンリのママさん!?こっ、こちらそこ、お久しぶりです…♡!相変わらず、お綺麗ですね…♡!」


「うふふ、ありがとう♡」


 アンリのママは、昔と変わらず抜群のスタイルと眩いばかりの美貌を誇っている。

 

 とても、高校生の息子がいるように見えないよ~!


「ママ!ノックくらいしてよ…!」


「杏璃。久しぶりに杏子ちゃんに会えてうれしい気持ちはわかるけど、明日も学校があるんだから今夜はもう寝なさい。杏子ちゃん、悪いけどそのベッドは、杏璃に明け渡してもらえる?杏子ちゃんには、VIP用の綺麗な客室を用意してるから♪」


「あっ、はい!すみません…!お気遣いありがとうございます…。」


 僕は、杏璃の豪華な天幕付きのベッドから飛び起きた。


「えぇーっ!?アンズ、一緒に寝ようよ~♡?小さい頃は、いつもここで一緒に寝てたでしょ♡?」


「ダーメ!あの頃よりも、杏璃の身体はずぅーっと大きくなってるんだから!二人で寝たら、杏子ちゃんが潰れちゃうわよ~?さぁ、杏子ちゃん、私がお部屋まで案内してあげるわねー♪」


 アンリのママが僕の手を取って、アンリの部屋から出て行こうとする。


「待って…!アンズ、約束だよ?」


「えっ?約束…?」


「修学旅行、ボクと一緒に行こうね♡!沖縄で一緒に、ちんすこう食べようね♡!」





  





  



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