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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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3/13

第3話 保健室

ごきげんよう!苺鈴です♡(*^▽^*)


ここまでお読みくださり誠にありがとうございます♡( ;∀;)

今回は、ラブホ住み養護教諭の石関先生視点のお話です。



 先月から前橋市内で未成年の男子中高生の失踪事件が相次いでいた。


 うちの学校では、まだ被害者は出ていないが、学校は全ての教職員で生徒の下校時に交代で防犯パトロールを行うことになった。


 勿論、学校側から車でパトロールする時のガソリン代も時間外労働の残業代も出ない…。


 まったく…!どうせ、家出かなんかだろう…。


 市内でこれといった不審者情報もないし、失踪したガキ共は年齢が近いだけで、他に共通点はない。


 俺は、担当している巡回コースを車で一回りし終えて、上に電話報告したら今日はそのまま学校へは戻らずに家に直帰する予定だったが…


 学校へ巡回終了の電話をすると最悪なことに、俺の担当付近の河川敷でうちの生徒とおぼしきアホ野郎共が騒いでいると、学校に一般市民から通報があったらしく…



「―――オイ!お前ら、そこで何やってんだ?」


 俺は、通報があった河川敷に車で向かうと、川辺でうちの制服姿の3人のアホガキがたむろしていた。


「ゲッ…!?石関先生…!?」

「なんで、先生がこんなところに…?」

「先生、どっからわいて出たんですかぁ~?」


 3バカは、俺に気づくとのろのろと立ち上がった。


「人をゴキブリみたいに言うな!お前らがここで騒いでるせいで、善良な一般前橋市民様から苦情が来てるんだよぉ?ほら!ほら!全員、学生証を確認すっから、生徒手帳を出しな?」


 3バカは渋々、生徒手帳を開いて顔写真入りの学生証を見せた。


「お前ら全員、1年3組か…。名前は…小林(こばやし)小渕(おぶち)、望月…ん?望月?お前、なんか写真と顏違くないか?」


「やっべぇ~!!すんません、せんせー。間違えました~ww俺の学生証こっちッス~。」


 偽物の望月は、ヘラヘラしながら別の生徒手帳を開いて学生証を見せた。


 偽物の望月の正体は、生方(うぶかた)という生徒だった。


「生方!なんで、お前が他の奴の生徒手帳を持ってんだよ!?」


 俺が問い詰めると生方は、罰が悪そうにそっぽを向いた。


「あぁ!先生~。それ、ここで拾ったんですよー!これだけじゃなくて、なんか、あっちの方に、望月君の鞄とか制服が散乱してるんですよぉ~!」


 生方の代わりに小林が河川敷の芝生が生い茂っている付近を指を差しながら答えた。


 小林が指さした方を見ると、たしかに芝生の上に黒い詰襟の学生服や鞄や教科書が無残に散らばっている。 


「なんじゃこりゃ…!?」


 望月の荷物は、あるが本人は見当たらなかった。


「お前ら、望月と一緒だったのか?」


「一緒なわけないじゃないですか~!東京生まれの都会人君が俺らなんかとつるむはずないっしょwwww」

「そうだよ!同クラだけど一度もしゃべったことねぇーしなぁwwww」

「あっ!もしかして、例の失踪事件に巻き込まれたんじゃね!?あいつ、チビで童顔だから、変態のホモ野郎にでも攫われちゃったんじゃないっスかぁ~wwww」


 3バカは、他人事のようにゲラゲラ耳障りな声で笑いながら言った…。


「馬鹿なこと言ってんじゃねーよ!!お前ら、本当に望月と一緒じゃなかったんだな!?」


「さっきも言ったじゃないですか~www」

「先生、俺ら、もう塾行かなきゃなんでぇー!」

「サヨナラーwww」


 3バカは、俺に背を向けて一斉に走り出した!


「オイ!ちょっと、待て!まだ話は終わってねぇーぞ!」


 あいつらの態度物腰から察するに、絶対に望月のことを知ってるはずだ…!!!



ポチャン…ッ!!バシャン…ッ!



 川の方からわずかに水が跳ねるような音が聞こえて、振りむくと―――


「望月!?」


 川の水面から、茶色い小さな頭と小さな手が浮かんで見える!



 俺は、無我夢中で川の中に飛び込んだ!



 真冬の身を突き刺すような冷水の中で望月は、パンツ一枚しか履いていなかった…。



 俺は、冷え切った小さな身体を肩腕に抱えて、必死に川岸まで泳いだ。


 




☆☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆☆☆

 


 


 冷水に浸かっていたことで低体温症を起こして、意識が戻らない望月を俺は車に乗せて、病院へ行くよりも実家の方が近かったため、実家のラブホテルに連れ帰った。


 とにかく、身体を温めるために、望月の最後の砦 (パンツ)を脱がして、濡れた身体をバスタオルでしっかり拭き取って、ベッドに寝かせて……


 俺も着ている服を全て脱ぎ捨てて――望月の冷え切った小さな身体を抱きしめながら身を重ねた…


 望月の小さな身体と、癖のある茶色い柔らかい髪に触れていると……


 俺は、昔飼っていたポメラニアンを思い出した…


 

「―――おと…う…さん……っ。お…かぁ……さん……っ。」


 

 俺の腕の中で望月は、うわ言のように両親を呼んでいた…。


 東京からの転校生が両親を事故で亡くしたことを職員会議で聞いてた。

 


 ある日当然、大切な存在を失う悲しみも苦しみも俺は知っている…。

 

 俺も幼い頃に親父を病気で亡くした。


 だが、両親をいっぺんに亡くすなんて……


 想像を絶する………





 




☆☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆☆☆



 




―――― 翌日 ――――





 望月は、普通に登校して来た。

 

 直接本人には会っていないが、職員室のある出席簿を確認すると、1年3組の欠席者は3人。


 あの昨日、河川敷にたむろしていた3バカ(小林、小渕、生方)だった。


 望月をいじめた罰が当たって、病気にでもなったのかもなぁ~♪


 つーか、もうそのまま望月が卒業するまで、3バカには永久に学校に来ないでもらえるといいなぁ~♪



「――石関せんせ~!!ラブホの割引券くださ~い♡!」


 俺が養護教諭としてあるまじき不謹慎な願望を抱いていると、保健室のドアが勢い良く開き……


 見慣れたアホ面が飛び込んで来た。


石井(いしい)!お前、何度言えばわかんだぁー?お前、まだ未成年だろぉ~っ!!」


 2年生の石井は、俺の実家がラブホテルだと知ると何度も割引券をよこせとせがんできやがる…!!


 田舎少年はスケベな事しか考えないのか…?


「だってぇ~。俺んち、小遣い安いから金ないしぃ…。彼女とも最近マンネリでさぁ~。やっぱー、たまには気分を変えて、先生んとこのハイクラス&ラグジュアリーなラブホで彼女としっぽり♡!ぬへへ…♡」


「馬鹿野郎!ガキのままごとカップルにうちのラブホなんか百万年早いんだよ!!」


「せんせぇ~!頼むよぉ~!!俺、ほんとに金ねンだわ~~~!!」


「うるせぇ!俺のささやか休憩時間(昼休み)を邪魔すんな!出ててけ!!」


「せんせぇ~!!俺、もう彼女と約束しちゃったんだよ~!!頼むよ~!!可愛い教え子がこんな必死に頼んでるんですよぉ~?」


「誰が可愛い教え子だ…!ホラ、さっさと出てけ!!うちのラブホ使うのは、下の毛が生えそろってからにしろ!!」


「はぁっ!?チン毛くらいもう生えてますよ~wwww見ますか?」


「見せんでいい!!!オイ…!?馬鹿、やめろ~!!」


 石井は、ズボンのベルトを外し始めた!?


「先生!見ててください!俺の股間に生い茂る壮大なジャングルを…!!」


 石井は、ズボンのチャックを降ろして、パンツに手を掛ける…!!


「そんな汚ねぇもん見せんなッ!!」 


 俺は、石井の凶行を止めようと、石井の両腕を掴んだ!




「――失礼しまーす。石関先生、いますか……ふぁっ!?」


 史上最悪のタイミングで保健室に望月がやって来た!!


 股間がほぼフルオープンになりかけている石井と、その両腕を掴んでいる俺の姿を見た瞬間、望月はその場で固まってしまった…。


「―――あっ……あのぉ…っ!ぼっ、僕、なにも見てませんから~~~っ!!!!!」


 望月は、小さな顔を真っ赤にして、俺達から視線を逸らすと保健室から逃げ出そうとする!


「ちょ、ちょっと、待て…!!望月…!誤解だ!!」


 俺は、石井のアホ野郎から手を離して、逃げ出そうとする望月の肩を掴んだ。


「ひぃ…っ!?だっ、大丈夫です…!!僕、絶対に誰にも言いませんから…!!先生がホモで男子生徒といちゃついてたなんて、絶対誰にも言いませんから~!!」










 











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