第29話 アンナ・マリー先生の朝
8:00 a.m.
眩しい朝陽と小鳥たちの美しい囀りで、世界的大ベストセラー作家である私、アンナ・マリーの朝は始まる。
「んーっ♡!今朝も良いお天気ねぇ…。」
私は、ベッドから起き上ると背伸びをして窓から、雲一つない青空を眺めた。
「――奥様、失礼いたします。ハーブティーをお持ちいたしました。」
メイドのステラが私のために朝の目覚めのハーブティーを淹れてくれる。
「あら、おはようステラ。う~ん♡ 今朝の一杯も良い香りねぇ~。」
「お褒めいただきありがとうございます。朝食は、いかがいたしましょうか?」
「まだ、いいわ。どうせ杏璃は、まだ起きて来ないんでしょう?いつも通り、あの子が起きて来たら一緒にいただくわ。」
私の愛息子の杏璃は、低血圧だからいつも朝10時過ぎくらいにならないと起きて来ない。
「奥様。杏璃様でしたら、もう朝食を済ませて、学校へ行く準備をしていますよ?」
あの朝が弱い杏璃が、私よりも先に起きて、もう朝食を済ませているですってぇ―――!?
「えぇーっ!?嘘でしょう…!?あの杏璃が…!?」
私は、驚きのあまり手に持っていたお気に入りのティーカップを落とすところだった。
「――おはよう、ママ!」
ノックもなしに、制服姿の杏璃が私の部屋に入って来た。
「あらぁ!?おはよう、杏璃…!今朝は早いのねぇ…?」
まさか、本当に杏璃が私より先に起きているなんて…!!(奇跡)
「杏璃様~!!奥様のお部屋に入る時は、きちんとノックをしてくださいね?紳士のたしなみですよ!」
礼儀作法にうるさいステラが杏璃をたしなめる。
「あら、いいのよ、ステラ。杏璃は、私の可愛い赤ちゃんですもの♡!さぁ、ママにおはようのキスをしてね♪」
「もうっ!ママったら、ボクもう赤ちゃんじゃないよ~!!」
文句を言いながらも、杏璃は私の頬に優しくキスをしてくれた。
「ママ!この髪型、変じゃないかなー?」
杏璃は、私と同じ美しいプラチナブロンドを三つ編みのハーフアップに編み込み白いリボンを結んでいる。
「あらぁ~♡!可愛い~♡!とっても素敵よー♡!」
「ほんとぉ♡!?良かったぁ~。がんばって朝早起きして、ステラにやってもらったんだ♪アンズも気に入ってれるかなぁ…♡?」
あっ……。なるほど…。
早起きのわけは、やはり―――望月杏子かぁ……。
「ええ!杏子ちゃん、絶対に気に入ってくれるわよ!だって、杏璃は世界一可愛いママのお姫様だもんっ♡!」
「ママぁ~!ボク、男なんだけど~?」
「うふふ♪知ってるわよぉー。杏璃は、ママの一番大切な宝物なのよ。ママは、杏璃を守るためなら――何だってするわ…。ママの大切なお姫様は、ママが守るの~~♡!!」
杏璃は、私と碧瑠璃さんの愛の結晶だから…。
「だから、ボクは男だってば~!!」
「杏璃様!そろそろ学校へ行く時間ですよー?私は、下で鞄とコートをご用意してきますね。」
ステラは、慌ただしく部屋から出て行った。
「えーっ?もう、そんな時間?もうちょっと、ママと話したいんだけどー!」
「うふふ。杏璃、家に帰って来たら、学校のこといろいろ聞かせてね♡?ママ、今日は午前中にはお仕事終わるから、良かったら杏子ちゃんも家に連れていらっしゃい。ステラに美味しいお茶とお菓子を用意させておくから♪」
「うん♡!わかった!絶対アンズを連れて来るねー♡!」
「あぁ!無理に連れて来ちゃダメよー?杏子ちゃんにも予定があるだろうから…。」
「はーい。ママ、いってきまーす!お仕事がんばってねー♪」
「杏璃…!いってらっしゃい…。無理しちゃダメよ?具合が悪くなったら、すぐ連絡するのよ?」
「うん!」
杏璃は、私に手を振りながら元気良く部屋を後にした。
望月杏子に再会してから、杏璃の容態は前よりもずっと安定している……。
やはり……
望月杏子は、杏璃の命を繋ぐ生命線であり――――最期の切り札……
「おはようございます、アンナ様。杏璃様は、今朝は随分お早いのですねぇ~?」
杏璃を乗せた車が出た後に、私の部屋に化け狸のコロが現れた。
「コロ!今までいったい、どこにいたの!?昨夜は杏璃の容態が安定していたからいいけれど、お前がいないと―――杏璃のお薬の精製ができないんだから…!!」
「アンナ様。わたくしめは、貴方のご命令通りに動いているのですよ?わたくしめのお慕いする麗しの杏璃様と――あの小汚い望月杏子という餓鬼を両想いにするために、わたくしめがどんなに苦労をしているか…ッ!!」
「お黙りッ!ホモ狸ィーッ!!杏璃は、誰のものでもない!!――私のだけの杏璃よ♡!!」
「それは、わたくしめも重々理解しております…。」
「それで?今朝は何しに来たの?また、新しいお薬の素材でも捕まえてくれたのかしら?」
「いえ。ですから、杏璃様と望月杏子を両想いにさせる任務の進捗のご報告に参りました。」
「そう…。それで、二人の仲はどの程度進んだのかしら?」
「お二人の仲は、あまり進展しておりませんが――昨晩、前橋市内のとあるホテルで望月杏子と、その幼馴染の佐倉真理という少年に媚薬入りの紅茶を飲ませて、性交渉させることに成功いたしました。」
「ふぁあああーっ!?なっ、ななななな…!?なんですってぇ~~~!?」
「ですから、望月杏子を同性と初体験させてやったんですよ?相手の佐倉という少年は、国家権力の犬の子倅なんですが、なかなか下半身がだらしなくて、14歳で童貞を卒業してますし、身体だけの関係も多々ありましてねぇ…。まぁ、でもヤリ慣れてるだけあって、前戯は丁寧で手際も良くて、同性との経験はなかったようですが、きちんとコンドームも使用していましたし、処女の望月杏子も挿入の際、あまり痛がるような様子は見受けられず、」
「お黙りッ!この出歯亀ホモ狸ィ―ッ!!あぁ…!なんて、おぞまいしことを…!!お前…よくも…!私の大切な杏璃の想い人の杏子ちゃんを傷物にしてくれたわねぇーっ!?」
「アンナ様、ご安心ください。これも、わたくしめの計画のうちでございます。卑しくも望月杏子は、杏璃様を愛しておりますが…しかし、彼はホモセクシャルに対して強い抵抗感を持っておりました。ですから、同性の幼馴染と性交渉を行うことでホモセクシュアルに対する抵抗や偏見をなくし、杏璃様と健全な愛を育むための実践教育をしてやったのですよ。
まぁ、絶世の美男子である杏璃様の足元にも及びませんが、あのホモガキ2人の交わりも…そこそこ見栄えは良いので、昨晩はわたくしめも思わず抜いちゃいました♡」
「お黙りッ!この猥褻ホモ狸ィーッ!!何が抜いちゃいましたよ!?甘〇むいちゃいました、みたいに言わないで…!!今度、余計なことをしたら、お前のそのモフモフな毛皮を剝いちゃうわよッ?」




