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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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第28話 甘い罠

 群馬県警さんが用意してくれたラムールのケーキは、群馬県産のやよいひめ(苺)をふんだんに使った絶品のショートケーキだった。


「うん♡!美味しいぃ~♡!」


 甘酸っぱい苺と濃厚な生クリーム、ふわふわのスポンジケーキ♡!


 これぞケーキ界の王道を行く苺ショートケーキ!!


「おぉ…!群馬のド田舎でこんな、上品でクオリティーの高いスイーツが食べられるなんてなぁ~♡!」


「ラムールなら、スイーツ激戦区の自由が丘でもやっていけそうだもんねー♪このハチミツ紅茶も美味しいねぇ~。ほんのり甘くって、なんだかほっとする…。これもホテルの備え付けのやつ?」


「あぁ!これもティーバッグだけど、茶葉の香りが良いし、どこのメーカーのかな?」


 サクマは、ゴミ箱に捨てたティーバッグの袋を取り出した。


「んー?商品名だけで、メーカーの名前は書いてないな…。犬の肉球みたいなマークが描いてあるけど、どこの会社のだろ?」


「サクマ!それ、マークじゃなくて!足跡じゃない!?ほら、さっきのタヌキの!!」


 もしかして、化け狸のコロの足跡かも!?


「あっ!?ほんとだ、指でこすったら消えちまったよ…。やだなぁ…マジでこの部屋、タヌキが入り込んだのかぁ?」


 コロは、ワープ能力があるから、密室のホテルの中にも自由に出入りができるのかも…!!


「やっぱり、コロ…ここに来てたんだ…!!」


「コロ…?コロって、なんだよ?」


 サクマが不思議そうに僕を見ながら尋ねた。


「あっ…。えぇっと……」


 どうしよう…?


 サクマに化け狸のコロのこと話してもいいのかな?


 コロが、キ〇タマとワープ能力で僕を助けてくれたこと…


 そして、コロの能力を使えば容易に少年達を誘拐できることも……!!


 あぁーっ!でも、サクマに信じてもらえるかなぁー?


 そもそも…コロが化け狸で、タヌキが直立二足歩行で歩いたり、日本語が話せるなんて、サクマに話したら……


 僕の頭がおかしくなったと思われるかも!!


「おっ、おい…?望月…!!」


 急にサクマが恥ずかしそうに頬を赤らめながら叫んだ?


「えっ!?何…?」


「お前…!そんな…上目遣いで、じぃーっと俺を見つめるなよ…っ!」


 上目遣いって…。


「仕方ないじゃん…!!僕、サクマより背が低いから、どうしても顔を見上げちゃうんだから…!何を今さら…。」


「だって…っ。お前……可愛い顔してるから…っ」


「はぁー?」


 何言ってんだこいつ…?


「――俺、風呂入ってくるわ…。」


 サクマは、立ち上がるとスーツケースを開けて、タオルや着替えの下着を取り出して、お風呂に入る準備を始めた。


「サクマ?ちょっと、待って!!例のタヌキの画像は?」


 失踪した少年達のそばに映っていたタヌキがコロなら、サクマにも説明しやすいから!!


「風呂出てからでいいだろ!!」


 サクマ、つっけんどんに言うと、僕に背を向けてバスルームの方へ行ってしまった。


「なんだよ…!?なんで、急に機嫌悪くなってんだよ…?」


 僕、何かまずいことでも言ったかな…? 


 今夜一晩、朝までずっと一緒なのに―――このまま気まずいままだと嫌だなぁ……。



 よし!!


 僕も立ち上がって、バスルームに向かった。


 サクマとは、幼稚園からずっと一緒だったけど、僕が転校してから一度も会ってなかったから……やっぱり、お互いに心の距離ができちゃったのかも……。


 こういう時は、言葉よりも裸の付き合いだよね♪

 

 僕は、着ている服を全て脱ぎ捨て、前も隠さず(男同士だし)サクマのいる浴室に飛び込んだ。


「サクマ~!僕もお風呂入るー♪」

 

「んぁあああああああーッ!?もっ、望月ィーッ!?」


 ボディーソープで身体を洗っていたサクマは、僕を見るとお驚いたような声を上げた!


「何をおどろいてるんだよー?去年の修学旅行の時も一緒にお風呂入ったじゃんwww」


 サクマは、銀縁のメガネを外していて、さっきよりも幼い顔に見える。


「頭、僕が洗ってあげようか?幼稚園のお泊り会の時も、僕が洗ってあげたんだよね~♪サクマ、ひとりでシャンプーできなかったからwww」


「いつの話をしてんだよ…っ!!」


 サクマは、乱暴にシャワーの栓を捻ると、ボディーソープを一気に洗い流して、浴室から出て行こうする。


「サクマ?お風呂入んないの?」


 浴槽いっぱいにお湯が張られているのに…?


「シャワー浴びたから、もういいよ!!お前は、ひとりでゆっくり入ればいいだろ!!」


 サクマは、そそくさと浴室から出て行ってしまった…。


 あれれ…?


 僕、またなんかまずいこと言っちゃったのかな……?


 浴室に一人残された僕は、シャワーの栓を捻った。


「痛っ…!?」


 指先に鋭い痛みを感じた。


 あっ…!そうだった、僕、調理実習の時に指切っちゃったんだっけ…。


 石関先生が巻いてくれた包帯にお湯がかかって傷に沁みちゃったんだ…。


「うわぁ…。血がでてきちゃった…。」


 白い包帯が僕の血で赤く染まっていく…。


 僕は、シャワーを止めた。


 また止血しないと……


 血が滲んだ包帯を外して、傷口のガーゼを取ると……


「あれ!?なんで…!?」


 驚いたことに、僕が包丁でザックリ切ってしまった指先の傷がなくなっていた…!!


「おかしい!?結構、深く切っちゃったから…!半日もたたずに傷が、跡形もなくなくなってるなんておかしいよ!!」


 さっきだって、シャワーのお湯が染みて痛くて、血だって出てたのに!?


 血……!?



 嫌だ……!?


 なんで……!?



 僕の足元に―――真っ赤な血だまりが出来ていた……!?



 生温かい…真っ赤な血が……


 この血は……



 誰の血……?



 僕の手にも真っ赤な血で染まって………

 


「ひぃい…っ!?いやぁあああああああ――――っ!!」


 僕は、頭の中がパニックになって、無意識に叫んでいた…。

 


「――望月!?どうしたんだ!?」


 僕の叫び声に気づいて、浴室にバスローブ姿のサクマが飛び込んで来た。


「ち……血、血が…っ!?血がぁああああ……っ!?」


 僕の足元の血だまりはどんどん大きくなっていく……!!


「血?血がどうしたんだよ?」


 サクマは、僕の肩を掴んで揺すぶりながら尋ねた…。


「血…見えないの…!?ほら、足元に……っ!!」


 僕は、血まみれの手で、床の血だまりを指差しながらサクマに訴えた。


「血!?血なんか…どこにもないぞ?この包帯は…お前のか?」


 サクマには、血だまりが全く見えていないみたいで…


 血まみれの僕の包帯を拾い上げた…


 包帯を拾い上げたサクマも……全身、真っ赤な血にまみれている……!?


「ヒィ――――ッ!!嫌…ッ!!イヤぁああああ―――ッ!!あぁあぁああ…ッ!!ヒィ…ッ!?ハァ…ッ、ハァ…ッ!」


 なにこれ…!?


 息が苦しいぃ…っ!!


「望月!?やばい、過呼吸を起こしてる!!」


 僕は、息が苦しくて…目の前がフラフラして……


 倒れそうになった僕の身体をサクマが抱きとめてくれて……


「ハァ、ハァ…ッ!―――んぅっ……!!」


 サクマが僕の身体を片腕で抱きしめながら――――


 もう片方の腕で僕の頭を引き寄せて―――


 僕の唇を覆うように、自らの唇を重ねた……



「―――望月…。もう、苦しくないか?」


 僕の呼吸が落ち着くと、サクマは唇を離した。


「う、うん……っ。」


 キスしちゃった……。

 

 僕、サクマと…キスを……!?


「ふぁ…っ!?」


 足元がふらついた僕をサクマが、再び抱きとめた!


「ご、ごめん…っ!」


 サクマの腕の中は、アンリみたいに大きくて、広くて……


 僕は、なぜかドキドキしてしまって……


 いつの間にか…あの血だまりは、見えなくなっていた。


「いいよ。身体拭いてやるから、そのまま俺に掴ってな。」


 サクマは、バスタオルで僕の濡れた身体を優しく拭いてくれた。


「うん……。」 


 同い年のサクマに身体を拭いてもらうなんて、恥ずかしいけど…僕はまだ頭がふらふらしていて、サクマのバスローブにしがみついて立っているので精いっぱいだった。


「これで、よしっと…。」


 サクマは、僕にバスローブまで着せてくれた。


「サクマ、ごめん……。ふぁっ…!?さっ、サクマぁ…!?」


 サクマは、僕の身体を軽々と抱き上げると(いわゆるお姫様抱っこ!)バスルームを出て、ベッドの方へ向かって行く!


「僕、自分で歩けるよぉ…!!」


「まだ具合悪いんだろ?倒れて怪我でもされたら俺が困るんだよ。」


「うぅ……。」


 サクマは、僕をベッドの上に優しく降ろしてくれた。


 このベッドは、僕がアンリに抱きしめられたまま眠っていたやつだ……。


 まだ、ほんのり甘いアンリの匂いがする…。


「朝食は、下のカフェ予約してあるから。時間になったら、俺が起こしてやるから安心して寝な。」


 サクマは、僕の身体に布団を掛けながら優しく言った。


「うん……。サクマ、なにからなにまで、ほんとにごめんね……。」

 

「別に気にするなよ。お休み、望月。」


「うん、お休み…。あっ……待って!」


 僕は、自分のベッドへ行こうとするサクマを呼び止めた。


「何だよ?」


「あっ…あのさぁ……サクマ、一緒に寝てもいい……ですか?」


 僕は、なんだか、心細くなってしまって……。


 また、あの血だらけの光景を夢に見そうで……!


「サクマ…!?」


 サクマは、僕の身体に掛けてくれた布団を乱暴に引き剥がすと、僕の身体の上に乗りかかって来た!?


「望月…ッ!お前が、悪いんだぞ…っ。」


 僕が…悪い……?


 何が…?


「サクマ…?んぅ…!?」


 サクマは、僕の身体の上に乗りかかったまま―――僕に顔を近づけて、キスをした。


「んンーっ!?」


 サクマは、僕の唇を塞ぎながら、さっき着せてくれた僕のバスローブの襟を掴んで、左右に引っ張って脱がせようとする。


「ぷはぁ……っ。さっ…サクマぁ…っ!?あっ……ぅう…っ。」


 僕の開いた胸元に、サクマが優しく撫でるように唇を落としていく…。


「ごめん…望月……。優しくするから……」


 サクマの手が僕のバスローブの中に差し込まれた。  


「サクマぁ……んっ……」


 またサクマの唇が僕の唇を塞いで……



 僕は、めまいがしているみたいに、頭がくらくらして……


 そのまま…サクマのされるがままになってしまった……

 






 


  



 



 


 





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