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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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第27話 鳥めし弁当(竹)

「―――へぇ~!じゃあ、望月の初恋の相手が聖さんだったのかぁ~!まぁ、たしかに…あの美人の聖さんの幼少期は、どえらい美少女にしか見えないだろうなぁ~♡」


 僕は、サクマに初めて、アンリとの出会いから今日までのことを話した。


「僕、アンリが男だって分かっても…今でも、アンリのことが好きなんだ……。」


「聖さんも、お前にぞっこんみたいだもんなぁ…。」


「うん…。」


 アンリは、9年前に出会った時から、ずっと僕のことを思っていてくれたんだ…。


 僕と元気な姿で再会するためだけに、大嫌いな病院に入院して、辛く過酷な治療を受けていたんだ……。


「望月。ちょっと早いけど、夕飯にしないか?俺、腹減っちゃって。県警の人が二人分のお弁当を用意してくれたんだー♪」


 サクマは、うきうきで電気ポットでお茶を淹れて、二人分のお弁当を持って来てテーブルの上に並べた。


「サクマ…このお弁当は、上州御用 (とり)めし本舗「登利平(とりへい)」の鳥めし弁当(竹)じゃないか!」


 登利平は、前橋市発祥の老舗の鳥料理屋さんなんだ。


 特にこの一番オーソドックスな「鳥めし弁当(竹)」は、大量注文でも当日の早朝までキャンセルができるから、地域のお祭り事や、学校行事など天気に左右されるイベント(運動会とか)の時に重宝されているんだ。


 僕のばあちゃんも自治会の集まりなんかで良くこの弁当をもらって来る。


「おう!俺のリクエストで、県警の人に買って来てもらったんだ。これ、よくテレビで(ケンミンSH〇Wとか)紹介されてて、群馬に来たら絶対食べてみたかったんだよね~♡!望月は、もう食ったことあるのか?」


「うん…。この前の日曜に食べたばっかりだよ…。うちのばあちゃん、自治会の役員と老人会の副会長もやってるから…どっちの会でも、集まりがある時は、いっつも登利平の鳥めし弁当だから!!ばあちゃん、もう鳥めしは、食べ飽きちゃったらしくって、僕に押しつけてくるんだ…!!

 鳥めし弁当は、すごく美味しいんだけど…さすがに毎週末、何かのイベントだの集会の度にばあちゃんが貰って来たのを食わされてたら、さすがに飽きるって!!!」


「そうだったのか……。すまん、俺は群馬県民は鳥めしが好き過ぎて常食していると勝手に思い込んでたわ…。」


「そもそも僕は、生粋の群馬県民じゃないし…!!生まれも育ちも、お前と同じ東京だからッ!!あと、登利平の鳥めしは本当に美味しいから!!」


 僕は、鳥めしの見慣れた包装紙を剥がして、高級感があり保温性が高く軽くて持ちやすい弁当箱の蓋を開いた。


 鳥めし弁当は、醬油ベースの秘伝の茶色いタレを塗られた柔らかい薄切りの鶏肉で一面覆われ、その下にはタレがしみ込んだ茶色いご飯が隠れている。


 この秘伝の茶色いタレが、醤油の香ばしい香りとほんのり甘くて、柔らかい鶏肉のスライスとふっくら炊かれたご飯にベストマッチなんだよ~♡!


「いただきます。うん!美味しい~♡!この、飾り気のない茶色くて地味で素朴な味わいが良き…♡」


「望月ィ…。お前、さっきまで、散々食い飽きたとか文句言ってたくせに……。」


「鳥めし自体は、本当に美味しいんだよー!お肉が柔らかくて、癖がないから、好き嫌いの多い子どもでも歯が弱いお年寄りでも誰でも美味しくいただけるからね♪ばあちゃんが貰ってくるのは、いつも冷え切ったやつなんだけど…今、食べてるやつは、出来立てホタホヤなんだよ♡!」


 サクマが警視庁のお偉いさんの息子だからって、群馬県警さん相当気を遣ってるね…。


「たしかに、美味いな♡!こんな美味いなら、毎日鳥めし弁当でいいんだけど♡?」


 そういうふうに考えていた時期が僕にもありました…。


「いや、飽きるって…!!」


「お茶、もっと飲むか?ホテル備え付けのティーバックだけど、なかなかいけるぞ。」


「さずが、ロイヤルホテルだね!茶葉もロイヤル………んあぁーっ!?コロ!?」


 僕は、ベッドの下をモフモフとした物体が高速で通り過ぎるのが見えた!


 たぶん、色味的に化け狸のコロだと思う!


 僕は、立ち上がって、コロらしきタヌキが横切ったベッドの方へ行った。


「えっ?どうした、望月?」


「サクマ!今、このベッドのそばにタヌキが走って行かなかった!?」


「はぁ?なんで、ホテルの部屋ん中にタヌキがいるんだよ…?見間違いじゃないのか?」


 サクマもベッドのそばにやって来た。


「いやいや!絶対、いたよ!!――あっ!ほら、コレ!毛が落ちてる!!」


 僕は、床に落ちていた黒っぽい灰色の毛を拾い上げた。


「そんな馬鹿な…!?こんな、格式高いホテルに野生動物が入り込むわけないだろー?」


 僕とサクマは、ベッド周りや、バスルームまで、部屋中を探したんだけど、コロは見つからなかった…。


 化け狸のコロは、ワープが使えるから、それを使ってもうどこかへ行ってしまったのかも…!


 でも、どうして―――コロは、僕とサクマのところへ来たんだろう?


「一応、フロントに動物らしい毛が落ちてたって報告しといたけど。俺らの服とかに着いてたのが落ちただけかもしれないしな…。」


「うん…。」


「そういえば……例の連続失踪事件の失踪した少年達の足取りを調べるために、前橋市内にある防犯カメラの映像を解析したら、失踪前の少年達のそばにちょくちょく野生のタヌキが映りこんでいたらしいぞ?街中にまでタヌキがいるなんて、前橋市って自然が豊かなんだなぁ~。」


 失踪前の少年達のそばにタヌキ……?


 そんな……まさか………!?


「サクマ!そのタヌキが映ってる防犯カメラの映像か画像持ってない?」


「あぁ。あの捜査資料のファイルに画像があったと思うけど?」


「それ見せて!!」


 コロは、学校の空き教室で小渕たちに絡まれていた僕を―――自らのキ〇タマで、僕の身体をすっぽり包みこんで、ワープ能力をつかって屋上まで移動させた…。



 コロのキン〇マとワープ能力を駆使すれば…


 人間を誘拐するなんて、容易いことだ……。


「望月。お前、もしかしてタヌキ好きなのか?」


「そういうわけじゃないけど…!とにかく、早く見せて…!!」


 コロがあの連続失踪事件の真犯人かもしれないんだもん!!


「まぁ、後でいいだろー?あの分厚いファイルから探すの結構面倒なんだよ…。それより、デザートにケーキ食べないか?これも県警の人が持って来てくれたんだ♪前橋市にある『ラムール』っていうケーキ屋のなんだけど。」


 手創りケーキと焼き菓子の老舗洋菓子店『ラムール』のケーキだって♡!?


「食べる―ッ♡!!タヌキの画像は、後でいいや♪」





  









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