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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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第14話 杏璃の告白

「わたくしめのキ〇タマで杏子様をずっぽり包みまして、ここまでワープしたのですよ!えっへん♪」


 化け狸のコロは、誇らしげに言うけど…


 僕は、衛生的な観点から全身に怖気が……


「まぁ……ありがとう……。」

 

「杏子様、他に何かお困りのことはありませんか?わたくしめに出来ることなら、なんでもお申し付けください♪」


「いやいや、もう充分だよー。僕、君にそんな大したことしてないし…。あっ、そういえば、何であの時は仔犬の姿だったの?」


「人けの多いところを歩く時は、あの姿の方が人間の受けがいいんですよぉ。タヌキは野生動物なので、寄生虫とか病原体の巣窟と思われてるみたいなので…。こんな無害でモフモフでプリチーな生き物は他にいないと思うんですがねぇ~……きゅぴっ!」


 直立していたコロが急に普通のタヌキのように四つん這いの姿勢に戻った。


「コロ?どうしたの?」



「―――アンズぅ~♡!もう~!こんなところにいたのか~。ボク、探してたんだよー?」


 屋上のドアからアンリが現れた!!


「アンリ!?身体は、もう大丈夫なの?」


「うん!もう全然平気だよ♪――あっ!コロだ~!」


 アンリは、コロに気づくとその場にしゃがんで手招きした。


「きゅ~~~んっ。」


 コロは、甘えた声でアンリの手にすり寄って来た。


「よし、よし。お前は相変わらずモフモフで可愛いねぇ~。」


 アンリは、両手でコロのふさふさの毛並みを撫でながら言った。


「アンリ。このタヌキを知ってるの?」


「うん!この子は、ボクの家の庭に良く遊びにくるんだよ♪『コロ』って名前もボクがつけてあげたんだよ。コロ、おやつあげる!あ~んして?」


 アンリはポケットから骨の形をしたビスケットを取り出して、コロの口元に差し出した。


 コロは、ビスケットを口に入れるとバリバリと美味しそうに食べ始めた。


「きゅっぷい…っ。」


 コロは可愛らしい声でげっぷをすると、僕達に向かって頭をぺこっと下げると(お辞儀のつもりらしい)テトテトと丸い身体を振りながら屋上のドアの方へ出て行った。


「コロ、ばいば~い♪」


 アンリは、立上がると、コロに向かって無邪気に手を振った。


 どうやら、アンリはコロがただのタヌキだと思っているらしい。


「アンズも食べる?これ、ワンちゃん用のビスケットだから♪はい、あ~ん♡?」


 アンリは、僕の口元にも犬用のビスケットを差し出した。


「アンリ…!僕、犬じゃないから!」


「あははっ、知ってるよ~。アンズがポメラニアンのアンズの生まれ変りじゃないって…。」


 アンリは、ビスケットをポケットにしまいながら言った。


「アンリ…!?いつから気づいてたの…?」


「アンズと初めて会った年の冬だよ。アンズのママがボクの家にご挨拶に来てくれてね。アンズのママは、アンズのおばあ様がギックリ腰になっちゃって、その看病をするためにひとりで実家に帰省してて、その時にね。」


「僕の…お母さんが………?」


 事故のショックで僕は、お母さんの記憶がない……。


「そうだよ。アンズのママがボクに優しく教えてくれたんだよ。でもね、次の年の夏休み、アンズが家にお泊まりに来たら、アンズはボクの夢を壊さないために一生懸命に、死んじゃった犬のアンズのふりをしようとしてくれるから…。ボク、アンズの優しい気持ちがすごく嬉しくって…♡ ずっと気づかないふりをしていたんだ…。」


 アンリは、僕のことを死んじゃったアンズじゃなくて―――その宝石みたいに綺麗な青い瞳で僕のことをずっと見つめてくれていたんだ…!!


「アンリ…っ。」


「んぅ―――っ♡!でもっ、やっぱりアンズは、アンズ(故ポメラニアン)にそっくりなんだよな~♡!」


 アンリは、僕の身体を胸いっぱいに抱きしめながら言った。


「アンリ…!?ちょ、ちょっと…!離して…っ。ここ、学校だから…!!」


 男同士で抱き合ってるとこを誰かに見られたりしたら、生方と小渕のアホ野郎共みたいに変な誤解されるかもしれない…!!



「アンズ…ボク、アンズのこと好きだよ♡」



 アンリは、僕の頭に優しくキスをした!


「わっ、わかったから…!離してよ…っ!」


 僕は、アンリの腕の中から抜け出そうとするんだけど、びくともしない…。


 僕は、顔を上げてアンリの顏を下から見上げた。


 アンリは、僕よりも、ちょうど頭一つ分くらい背が高くて、肩幅も広くて……


「あのデブ…!なにがワンパンで倒せるだよ…っ。」


 僕は、太っちょの小渕がほざいていた妄言を思い出して、思わず毒づいてしまった。


「えっ?アンズ、パンがどうかしたの?パン食べたいのー?」


「何でもないよ…!そんなことより、いいかげん離してよ~!てか、今何時!?」 


 僕は、2限目の途中で包丁で指を切って、保健室へ行って…


 それから、いろいろあって、たいぶ時間が過ぎてしまったんじゃ…!?


「今4限目だから、あと5分くらいでお昼休みだよ?あぁーっ!そうだ、思い出したっ!ボク、保健室でね、アンズと同じクラスの子にね、アンズを見つけたら『お昼休みに調理室に来て』って言付けを預かって来たんだよー!えっとねー…誰だっけなー?名前は忘れちゃったんだけど…黒髪のポニーテールの女の子なんだけどー?」


「それ、たぶん石井さんだよ!」


「そうそう!たぶんそんな感じの名前の子だったよー。あのね、調理実習で作った『おきりこみ』を一緒に食べようって!えへへ、ボクも良かったら一緒にって誘われてるんだ~♪」


 石井さん、食べないで僕のこと待っててくれたのかぁ…。


 なんか、悪いことしちゃったなぁ……。


「そういうわけだから、アンズ!一緒に調理室行こう♪」












  

 



 



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