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上州義理人情伝「アン ころ もち」  作者: 苺鈴


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第13話 コロの恩返し

 スマホの画面の中の僕は、3人に囃し立てられながら、悍ましい行為をさせられていた……。


 この動画のせいで、僕はずっと小林達に逆らえなかった…。


 いじめられていることも誰にも打ち明けられなかった…。



「望月…!正直に話せよ?ケンちゃんに何をしたんだよ!?ケンちゃんは、どこにいるんだよぉ!?俺ら、本気だぞ?白状しねぇなら、お前がシコってた動画ネットにあげてやるからなぁ…!!」


 生方の指先ひとつで、僕のこの酷い醜態を全世界の拡散されてしまうと想像するだけで、気が狂ってしまいそうだ…!!


「やめてぇ…!!僕、本当に小林のことは何にも知らないんだよぉ…!!」


「まだすっとぼける気かよー!?これ以上、シラを切るならほんとにネットにあげるかんな!?」

 

「ちょ、ちょっと待って…!!生方、それはまずくね!?だって、こいつのシコシコ動画…俺らの姿も映ってるし!ケンちゃんだって、声がばっちり入っちまってるからー!!」


 僕の上に馬乗りになっていた小渕が慌てて言った。


「あっ……!そうだな…。このままネットにアップしたら…今、流行りのいじめ動画として、SNSとかで拡散されまくって、俺達に被害がくるよな!?」


「そうだよ!!やっべぇーっ!!俺ら全員社会的に終るとこだったぜ……!」


 生方と小渕は、お互いの馬鹿面を見合わせて、ほっと溜息をついている……。


「お前ら、そんなことも気づかずにやろうとしたのかよ――!?」


 僕は、呆れ果てて思わず叫んでしまった。


 後先考えない馬鹿って本当に怖い……!!


「うっ、うっせぇ…!!お漏らしフニャチン野郎のくせに…!!――あっ!そういやお前…昨日、保健室から2年の聖 杏璃にお姫様抱っこされて、聖んちの車に連れ込まれてたよなァ~?」


 生方は、スマホを弄ると――意識を失っている僕がアンリに抱き抱えられながら、廊下を歩いている動画を再生して見せた!?


「なっ、なにこれ……!?」


 たぶん昨日、僕が保健室で気絶した後の出来事らしい……。


 動画の中のアンリは、気絶している僕の顔を心配そうに見つめている……。


「俺と小渕がケンちゃんのことで学校に呼ばれて来たら、ちょうどお前らが保健室から出てくるとこが見えたんだよ!お前ら、いつの間にデキてたんだよー?wwww」


「ほんと、たまげたよなぁ~www 同学年に友達いないからって、野郎の先輩と付き合うとかwww」


「ちっ、違うよ…!!アンリとは、そういう関係じゃないから…!!」


「ヒューッ!?先輩を呼び捨てかよwww やっぱデキてんじゃんwww」


「んで、愛しの杏璃先輩とは、どこまで進んでんだよー?www ガタイ的にお前が女役だろけどなwwww」


「な…!?ふざけんな…!!僕とアンリは、そんなんじゃなくて…!!!」


 僕とアンリは……なんなんだろう?


 断じて恋人同士ではないし……


 友達って…感じでもないし……


「まぁ~どっちでもいいけどよ!!お前がどうしてもケンちゃんのこと話さねぇなら――今度は、その杏璃先輩がどうなっても知らねぇかんな?」 

 

 はぁっ!?


「そうだよ!たしか、アイツすっげー病弱体質でまともに授業も受けられないらしいじゃん?背は俺らよりあるけど、あんなヒョロガリのもやし野郎www俺ならワンパンでぶちのめせるわwwww」


 ふざけんなッ!!!


「やめろよ!!アンリは、関係ないだろう!?お前ら、アンリには絶対手を出すなよ!!アンリを傷つける奴は、僕は絶対に 許 さ な い !!!」


「――グホォッ…!?」


 僕は、ありったけの力をこめて、僕の身体の上に馬乗りになっているデブの小渕のアホ面をぶん殴った!!


「痛ってぇ…!!てめぇ~!?よくもやりやがったなァッ!!」


 小渕が僕よりもずっと大きな握り拳を構えて、僕の顔面に振り下ろそうとする!!


「くうぅ…ッ!!」


 僕は、打撃の衝撃に備えて両眼を閉じて歯を食いしばった。



「――――ぽこ♪ちん♪ぽこ♪ちん♪たまたま♪きんきん♪たまきん♪ ひ ろ が る ワ~~~~~プッ!!!」


 なんともおかしな謎の呪文みたいなものが聞えたかと思うと、僕の身体は何か生暖かい物に包まれてしまった…!?


 なんだか……だんだん意識が………



 うすれて………






☆☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆☆☆





 

 んん…?


 僕は、いつの間にか眠ってしまったみたいで……


 眩しい陽の光を感じて、目を覚ますと……


 

 小渕と生方の姿はなくて…


 ここは…あの埃っぽい空き教室じゃなくて……


 なぜか、頭上から太陽の光が燦燦と降りそそぐ校舎の屋上に移動していた!?



「―――ふむふむ。おぉ~、これは酷い、こっちも酷い。あれも、これも、それも、ぜんぶ削除♪削除♪削除♪削除♪削除♪削除♪削除♪削除♪」



 そして、僕の目の前には―――ふわふわの冬毛で覆われたタヌキがぶつぶつ言いながら、小さな指で起用にスマホを操作している……。


 いや、ちょっと待って…!!


 なんでタヌキが人間みたいに直立して、スマホ弄ってんの!?


 しかも、なんかしゃべってるし!?


「――おやぁ~?お気づきになられましたかぁ?」


 僕の視線に気づいたのか、例のタヌキがねっとりとした口調で話しかけてきた!!


「たっ、タヌキがしゃべってる…!?」


「はい。わたしくめは、200年以上生きている化け狸なので、日本語は完璧にマスターしました。そうですねぇ、200年前と言いますと、あの前橋市富士見町(旧富士見村)の偉人、労農『船津伝次平(ふなつでんじべえ)(1832~1898)』よりも前に生まれているのですよぉ~?えっへん♪」


「ごめん、情報量が多すぎて、どっからつっこんでいいのかわかんないんだけど…!!とりあえず…君の名前は?」


「あぁ!失礼いたしました。わたくしめは、化け狸の『コロ』と申します、杏子様。」


 化け狸の『コロ』は丁寧にぺこりとお辞儀をしながら言った。


「なんで僕の名前を知ってるの!?」


「貴方様は、わたくしめの恩人なのでございます。――ぽこ♪ちん♪ころころ♪ぽこ♪ちん♪ころころ♪変化(へんげ)ッ!」


 コロは、またまたおかしな呪文を唱えると、モクモクとどこからともなくコロの全身が見えなくなるくらい煙が湧いて……


 煙がだんだん薄れていくと、化け狸のコロが消えて――小さな仔犬が現れた!!


「あっ!?この仔犬は…!!」


 学校の帰り道で、小林達にいじめられていた仔犬だ!!


「杏子様、あの時は助けていただきありがとうございます♡!あの時の御恩は一生忘れませんっ♡!」


 仔犬の姿になったコロは、さっき弄っていたのとは別のスマホを取り出した。


「コロ、何してるの?」


「このスマホは、あの赤城山の猿よりも知能が低そうなデブとガリのをパクってきたのです。今、デブの方のスマホデータに残っている杏子様への非道な仕打ち動画を削除しております♪」


「コロ、ありがとう…♡!!」


 これでもう、あの超低脳デブガリコンビに動画拡散される心配がなくなったんだもん!!


「いえいえ♡!――はい、こちらも終りました!これで、あとは主犯の糞ウンコ野郎(小林)のスマホデータを消せればいいのですが……。杏子様、すみません……。」


「いやいや!これだけしてくれれば充分だよー。というか、僕をここまで移動してくれたのもコロなんでしょう?どうやって、僕をここまで連れて来てくれたの?」


「ふっふっふっ…。良くぞ聞いてくれましたね?杏子様をあの汚物共から救出するために、わたくしめのこの自慢のキンタ〇袋を利用したのですよぉ♪」


 えっ……!?


「ぽこ♪ちん♪ぽこ♪ちん♪たまたま♪きんきん♪たまきん♪ ひ ろ が る ~♪ ひ ろ が る ~♪ ひ ろ が る ~♪ ひ ろ が る ~♪」


 化け狸の姿に戻ったコロが呪文を唱えると、コロの股間にある玉袋がムクムクと膨れ上がり縦横無尽に広がっていく!!


「まっ…まさか……さっきの、僕の身体を包んでいた生暖かい感触は…!?」


「わたくしめのキ〇タマにございます♡」  


 うぇええーっ!?僕、そんなばっちいもんに全身包まれていたのか……


 





 

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