表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

政略結婚の旦那は恋人持ち。その恋人は事故物件【後日談】

◆宣伝

新作ざまぁ

『婚約破棄された冷酷令嬢、幸せですが何か?』

→https://ncode.syosetu.com/n2640lb/1


短編『姫様はお飾り正妃候補じゃありません』

→https://ncode.syosetu.com/n5317lb/




夫が元恋人と知り合ったきっかけは、

社交会だったという。


華やかな夜会の片隅、

彼女は質素なドレスに身を包み、

ひっそりと佇んでいた。


「家が傾いていて、母の病も重くて…」

そう打ち明ける姿が、健気に映ったそうだ。


…それ、詐欺師の常套句じゃない?


夫は胸を打たれたらしい。

「自分が支えねばならない」と思い込み、

恋人として側に置いた。


彼女は夫の性格を見抜いていたのだろう。


親から反対されたため

正式な婚約は許されなかったが、

彼はそれを補うように贈り物を惜しまなかった。


「嬉しい♡ありがとう♡」

彼女が笑顔を見せるたび、報われる気がしたのだと。


——手慣れすぎでは?


「頼られるのが嬉しくてな…」

肩を落としながら、夫はそう私に話してくれた。



先日の突撃で「彼と結婚させろ」と

言い出した元恋人。


その後、夫は彼女の調査を依頼していた。

「これ以上、君に迷惑をかけるわけにいかない」

誠意を見せたかったのか、

夫は調査書を私に渡してきた。


見たくないのに…


だけど夫婦のことでもあるので、

一応目を通すことにしたーー



あの屋敷への突撃の後、

なんと彼女は新しい男を捕まえたという。


どこから湧いて出るの?その行動力…


「既婚者に騙されてたの!可哀想でしょ?」

「私にはあなたしかいないの…!」

涙ながらに同情を誘ったらしい。


相変わらず発想力豊かで羨ましい…


しかし、騙された男性が気の毒でならない。


さらに彼女の知人によれば、

こう吹聴していたという。


「結婚は延期になっただけ!」

「予定は空けておいてね!」


知人達は調査員へ失笑気味に話したそうだ。


…もはや誰も信じていないじゃない。


そして極めつけは結婚式場。


「婚約者が払ってくれるの♡

だからちょっと待ってて!」

強気な発言。


——申し訳ない、という言葉は知らないのかしら。


「ギリギリセーフ♡」

「せっかくだからカラードレス変えちゃおうかな♡」


式場スタッフが耳にした発言だそうだ。

延期の時点でアウトなのに……

お店の人たちも気の毒でしかない。



そんなお花畑な彼女の元に、

借金の取り立てが訪ねた。


だが彼女は動じず、

「婚約者でしょ? 支払いお願いね♡」

「私がきれいになるのは必要経費でしょ?」

「妻が美しいのは嬉しいことでしょ?」

と婚約者に言ったそうだ。


それは浪費というのでは?


婚約者もはじめは苦笑して受け止めていたそうだ。


!?

え!

「貢がせ癖」は収まらなかった彼女は

さらに新しい恋人まで作っていた。


「あなたがいてくれてよかった♡」


が…学習しないにも程がある。


しかも今回は雑な振る舞いだったようで、

双方の男の耳にあっさり届いた。


そして驚くべきことに、

彼女は周囲にこう語ったという。


「二人を同時に支えてもらえば楽じゃない?」


まだそんな事言うの?

彼女に人の血は流れているのかしら…


当然、現実は甘くなかった。

それを聞いた婚約者はようやく異常さに気づき、

速やかに婚約破棄を申し立てた。


「信じられない! 婚約したのよ私たち!!」

「簡単に別れるなんて!」

「逃げるな!」


逃げるに決まってるでしょう。

怖すぎる…


「私は悪くない!

向こうが勝手に好きになったのよ!」

「私は被害者よ!」

「責任取って!」


責任の意味を履き違えているのでは?

逆の立場なら取れるのか、ぜひ聞いてみたい。


結局、二人の男に逃げられ、

借金の取り立てが家まで押しかけた。


そしてついに家族にさえ見放されたという。


「ひどい! 家族なのに見捨てるの!?」

さすがに家族も面倒を見切れなかったらしい。


なにせ膨大な借金だったのだから。


ーーちなみに彼女の実家はごく普通の家庭で、

傾いてもいなければ母親も健康だそうだ。


彼女は上流階級の暮らしに憧れを抱いてたみたい。


贅沢さえ覚えなければ、

普通に結婚できたはずなのにね。


調査書の最後には「現在は路頭に迷っている」

と記されていた。


私は報告書を閉じ、紅茶を一口。


「もう、我々に関わることはないはずだ」

隣で夫が険しい顔で言う。


「そうみたいですね」

窓越しに夜風が揺れ、

遠くのざわめきがかすかに響く。


騒ぎ立てる声も、

やがては静かに消えていくものなのだろう。


「…本当に、君だけなんだ」

ぎこちなくも真剣に、夫が私の手を取る。


私は小さくため息をつき、微笑んだ。

「その言葉が、あなたの愛の言葉なのね」


月明かりの下、

私たちの新婚生活は静かに続いていく。

ここまで読んでくださり、

本当にありがとうございます!


ブクマや感想・評価など頂けたら、

とっても励みになります\(^o^)/


現在のメイン連載はこちら↓

『転生姫はお飾り正妃候補?愛されないので自力で幸せ掴みます』

https://ncode.syosetu.com/n5770ky/

※ざまぁ系ではありません


Twitterでも更新情報や裏話を流してます!

→ @serena_narou

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ