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78話 まてマテ待て!? ちょまてよ!?

「……あ~。なんつーか、ダッセェとこ見せたな。何をしたのかは気になるけど、お前が秘密だってんなら、別に良い。妹が助かった。それが一番大事だからな。ありがとう。……本当に! ありがとうッ!!」

「あたしからも、本当に、ありがとうございました!!! このご恩は、あたし達の全てでお返しさせてもらいますから!!!」


 一斉に、俺の前で跪くヘルハウンド兄妹(きょうだい)

 その瞬間、2人は輝き始めた。


「あ……」


 この光、知ってるぞ~。そうですか……お久しぶりのですか。いやまぁ、ヘルハウンド兄の方は、あまりにイケメン狼過ぎて俺の好みに合い過ぎて、お持ち帰りしてぇなぁとは思ってたけど……。

 

――眷属化が開始。フェンリルへ転生させます

――魂の繋がり(パス)の接続に成功しました


 へぇ~、フェンリルねぇ。

 フェンリル……。フェン、リル……?


「フェンリルぅぅぅぅぅッッッッ!!? うぇえっ!!? マジでぇ!?」


 フェンリルって、あのフェンリルだよな? 神の狼的なサムシングだよな? え、なんで魔王の俺の眷属になったこいつらがフェンリルになっちゃうのん!? いや、分からん分からん。訳が分からんぞッ!?

 

「いや! いやいやいや! まてマテ待て!? ちょまてよ!?」


 アレか! 魔狼フェンリル的な! この世界ではそういうサムシングなんだな!? そう考えてみれば、確かになんか、神を喰らう狼フェンリルみたいな、そんな設定の神話とかゲームもあった気がするぞ? こっちなら、理解出来る。


 けど……あいつら、体毛が白銀なんだよなァ~。いや! それを言ったらそもそもヘルハウンド時代から俺の知ってる常識とは乖離してるじゃあないか! そうだよ。そもそも乖離してるんだ! 

 

 だから、俺の思うフェンリルほどのヤバい存在ではない筈……だよな?


「こいつは……」

「何が、起きたの……?」


 光が収まる。

 そこに居たのは、白銀の体毛で黒い稲妻を纏う、黒い瞳の狼の獣人だった。兄の方もかなり人間に近づき、妹の方は、いわゆる狼娘になった。人間にケモ耳とケモ尻尾が生えただけって感じの状態だ。だから、モフモフを楽しむなら兄だな。

 

 だが、そんなことより大事なことがある。

 魔の存在たる証明の瘴気をしっかり放っているとこまでは良い。だが彼らはそれと同時に、瘴気とは正反対な感じがするオーラも放っていたのだ。


「この力は……なんだ?」


 反射的に、解析を発動する。


======================

フェンリル 14歳 男 レベル:1

魔法:変化

 

筋力:32800

耐久:10700

敏捷:48000

魔力:24000(内12000は神聖力)

器用:20



能力:種族スキル

   『聖魔融合』『聖魔力吸収』『神速』『裁きの聖炎』『地獄の稲妻』



   称号スキル

   『不死を殺す者』『聖魔狼』

======================


「はえ!? やっっっっば!! え!? やっば!? 嘘でしょ!? マジで言ってんの!?」


 めっっっちゃ不器用だけど、それ以外のパラメータ化物じゃん!!! 全部5桁って!! えっ! クロが素の筋力値10000になって化物過ぎますよネェ!? とか思ってた俺がアホみたいじゃん!! さ、流石はフェンリル……神狼の名は伊達じゃねぇってか……!? ん……? 聖魔狼、だと。ってか不死を殺す者ォ!? あ、アレか。それが神を喰らう狼って言われる秘密なのか?


「いや、何にせよエグ過ぎだろ……。はぁ~、ビビった。ひさっびさにマジでビビったわ。強すぎて。お前ら強くなりすぎだろ」


 しかも、これでレベル1だもんな……。 いや~、わたくしもう想像つかねぇですわ。将来どうなっちゃうのか……。


「いや、おま……創哉様の魔力がすげぇからこうなっただけで」

「そうですよ! あたし達は別にそんな大して……。こんな強くなれたのは、全部創哉様のおかげです!! ありがとうございます!」


 いやぁ~、まぁ確かに俺の魔力もいよいよ化物じみて来たなとは思ってたけども……。でも、こんだけ強くなっても、フィリオーラゴーレムの魔力にちょっと近づいたかな? どうかな? って感じなんだよな……。やっぱあいつ、バケモンだわ。それを軽く蹴散らしたグラン王も。そして何より、本物のフィリオーラが。


「……あ~、まぁ良いや。なんか驚きすぎて色々吹っ飛んでたけど、こうして俺の眷属になったからには言うぞ。俺は眷属を家族として扱う。だからこれまでと同じようにお前らにも、名をやる。そうだな……」


 フェンリル、だもんな。


「っよし決めた! 兄貴の方はリル! 妹の方はリーナだ! これから宜しくな!! それと、俺のことは好きに呼べ。サタンでも良いし、創哉でも良い」


 俺がそう言うと、2人は獣形態に変化してじゃれついてきた。


「リル……! それが、俺の名前!! ありがとう! ありがとう我が(あるじ)!!」

「リーナ! 可愛い名前!! あたし嬉しいです! (あるじ)様!!」

「うおっ!? な、なんだ! ってか、そっちの形態にもなれたのかよ!」

「変化の魔法でちょちょいのちょいですよ!」


 あ、そっか。そういえば魔法の項目に変化って書いてありましたね……。


「でも、なんでわざわざ?」

「だって、(あるじ)様はモフモフが好きなんですよね? だから、あたし達い~っぱい! サービスしちゃいます! ね! 兄貴!」

「あぁ! 我が主がお望みなら、幾らでもバカ犬になるぞ!」

「え、何言ってんの? 兄貴は元からバカ犬じゃん」

「はぁ!? なんだと!? もっぺん言ってみろリーナ!!!」

「兄貴のバーカバーカ!! このバカ犬!! あっはははは!!」

「おいこら待てリーナ~!!」


 俺を置き去りにして、狼形態のまま部屋を駆け回るリルとリーナ。


「……ま、なんつーか、あんまトラウマになってないみたいで良かったってとこか?」

「ふふ、そうだね。また、困ってる子を救っちゃったね。魔王様なのに」

「俺は俺だからな。それに、あいつらは魔物だ。魔王として、悪くない一手だろ? めちゃめちゃ心強い仲間になってくれた」

「ふふ、うん。そうだね」

「はは。惚れ直したか?」

「ふふ、うん」


 ほのぼのした雰囲気が、部屋に充満し始める。

 しかし!! 


「創哉様!! 探索に行かせてたアンデッドの子達が、最上階で何か見つけたって!」


 突然のシンシアの知らせによって、それは崩されたのだった。


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