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55話 王位選定武闘会-予選1


 予選が始まった。

 本選からはその試合ごとに特殊ルールが課されるのだが、予選は縛りなし。何をしてもいい。その代わり、試合を100秒以内に終わらせることが出来なければ強制失格というルールになっている。

 そして、予選が終わるとメンバー同士でバトルロイヤルを行って潰し合い、勝ち残った1人が本選に出場出来るというシステムなのだが、そのバトルロイヤルで全員が共倒れしたり折角勝ち残っても治療しなければ戦闘続行が難しそうなら、それも失格になる。


 つまり傷一つ負わず、班員に的確な指示を出し、かつ高速で殲滅する必要があるということだ。当然リーダー適性を見るので、次代の王を狙っている普通の選手は全員がリーダーになりたい。そんな中でなおくじ引きで組み合わせが決まってから、自分たちの試合が始まるまでの短い時間でこいつこそがリーダーだ! と班員に認めさせる。いわばカリスマ性を見られているのだ。

 この武闘会は試合内容だけではなく、その外すら見られているのだ。最も次代の王に興味がない俺達(俺に至っては班員すらいない)には関係ない話なのだが。


「やっぱ、油断してていいような相手ばっかじゃないな……」


 いかに王位選定武闘会と言えど、まだ予選に過ぎない。だからどいつもこいつもヤベー奴ばっかとまではいかない。あっという間に潰されて治療室送りになっている選手もおり、第1予選なんか特にズタボロだった。班員のうち3人が試合開始直後敵の巨牙毛獣(ジャイアントファング)による突進で吹き飛ばされてしまい、ランシーヌの治療室送りになってしまったのだ。


 ちなみに何故野生の動物、魔物である彼らと普通に試合が出来ているのかと言うと、これもランシーヌの薬草による効果らしい。

 まぁ薬に精通しているというのは、同時に劇薬に精通していることを意味するので、当然っちゃ当然だ。吸血虫柱(モスキートピラー)(要は蚊柱)という魔物の口を参考に作ったらしい注射器で、鎮静剤をぶち込んで試合が始まるまで大人しくさせておいて、試合が始まったら興奮剤をぶち込むというやり方で試合を成立させているのだ。あんな巨体の奴らにも有効なんだ。俺達にも当然有効だろう。


 水神の加護によって『状態異常無効』を得ているセーラだけは、その効果から逃れられるだろうが……あの娘を敵に回したくはないな。

 薬物を扱ってる時点でちょっと怖いのに、そんな話を聞いてしまったら尚更だ。それだけじゃない。奏が予想通りランシーヌちゃんとお友達になりたい! って言ってきてるのだ。これは要するにお持ち帰りしたいという意味である。

 俺がグラン王に勝って要求したいことの一つ、人材勧誘にはドワーフの他にランシーヌも入っているのだ。


「あのサイの獣人、結構やるみたいやな」

「うん。それに、あそこの下半身が蜘蛛の女の人も凄い強いと思う」


 俺の両隣に座るクロと奏が、武舞台を見ながら呟く。

 そう。現在俺達は、奏たちと合流して観客席に居るのだ。何故なら試合開始までまだ時間があるから。それにナディの活躍を共に見たいから。

 セーラとクロは試合順が近いのでセーラの試合をクロも一緒に見ることは出来ないが、それはまぁ仕方ない。それにセーラなら問題なく突破するだろう。

 リーダーやるかどうかはともかく、戦闘力はずば抜けてるからな。下手したらあいつは連携とか無視して水魔法ぶちかまして一瞬で片付けるかもしれん。

 これに関してはクロも同様だ。妖術とか言う反則みたいな力を持ってるからな。開幕早々、敵の運動神経麻痺させてぶった切る光景が見える見える。

 もはやこの2人に関しては、試合を見るまでもないかもしれん。いやまぁ、見るけどね? 俺最後だからずっと暇だし。


「確かにあの2人のどっちかは本選まで行きそうだな。もしかしたらどっちもってのもあり得るかも」


 本選。予選が全て終了し、班員同士でのバトルロイヤルに勝ち残った20人を更に振るい落とす第2回バトルロイヤルも終わった後に行われる、1対1でのガチンコバトル。ここに参加出来る選手は、たったの8人。予選に参加する人数は、5人組×20試合+俺=101人なので、当然ながらそのほとんどが予選の時点で蹴落とされる。

 どうなるかは、俺にも分からない。もしかしたら俺達の誰かが予選落ちしてしまうことも十分に考えられるだろう。俺の個人的な見解ではまずないと思うけど……でも、あり得ないはあり得ないと言うからな。


《第2予選、終了~~~~~!!! 突破タイムは38秒!! 無事通過です!》 


 実況の声がスピーカー越しに響く。


「いよいよナディの出番か。さて、どうなることやら」


 ナディは確か、第1予選の奴らと同じく巨牙毛獣(ジャイアントファング)5体&三頭首獣(トリオヘッド)5体と戦うんだったな。

 まず間違いなく突破はするだろう。しかし、どのように戦うのか? それが見ものだ。一体一体レイピアで斬って血を抜くのか、それとも俺の知らない新しい力を見せてくれるのか……楽しみだな。

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