46話 時には作戦通り行かないこともある
更新が遅れてしまい、申っっっし訳ございませんんんんん!!!!
スライディィィィング土下座ァァァァァァ!!! orz≡≡3
「っおし、居た居た。んじゃ早速始めるか。死体に傷をつけちゃいけねぇってのがちょいと面倒だが、まぁパターンは一緒でいいだろ。奏! 頼む」
「うん。任せて! La~La~La~♪」
眠気を誘うようなのんびりとした声色で、ゆったりと歌う。マンモスモドキを狩った時と同じだ。奏の歌魔法『眠りへの誘い』。とりあえずこれやっとけば安心だろ。
「グォーーーッ!!」
「だにぃぃぃぃ!?」
しかし俺の予想と反して、メタライノクスは眠る所か猛り狂って、その成人男性ほどもある鋭利な角を突き出しながら俺達に突進してきた。三角錐の如き形状も相まって、それはもはや猛スピードで迫る馬上槍のようであった。
が、奏とシンシアを除き俺達からすればそれほど速くはない。俺が奏を、ナディがシンシアをお姫様抱っこしつつ、余裕をもって躱すことが出来た。
「無事だな? 奏」
「うん。ごめん創哉」
「いいって」
なんて話していると避けた後ろの方から、
ドォォォォン!! パラパラ……
大きな衝撃音と地響きがやってくる。
振り返って見てみると、そこには衝突した5mはあるごつごつとした岩をバラバラに砕いて通り過ぎ、頭を振ってもう一度こちらへ駆けだそうとしているメタライノクスの姿があった。
「あらら……。衝突して目でも回してくれりゃあ良かったんだけどな。クロ! 妖術の方はどうだ~?」
「おぉ、もうやっとるでぇ。上手いこと効いてくれたみたいや」
その言葉通り、今にも駆け出そうとしていたメタライノクスは身体が石化したかのように駆け出す直前の姿勢のまま停止していた。
運動神経に介入して、強制的に死後硬直のような状態にさせているのだ。これも決まれば一撃だ。しかもクロの妖術は耐性を無視する。水神の加護を持つセーラや、何らかの力によって守りを得ているジョアーノには無効化されてしまったが基本誰にでも効く最強能力なのだ。
とはいえ、現状では硬直しているだけに過ぎない。クロが妖術を解いた瞬間、再び元気に動き出してしまう。
「ん~、どうしたもんかね。あ、そうだ。溺死なら身体の鉱石に傷はつかないし大丈夫なんじゃねぇか?」
「おっ、私の出番な感じ~? おっけ。よっ! と」
そう言ってセーラは、硬直したメタライノクスをすっぽり覆う水球を発生させた。そして暫くそのまま放置すること3分。
――鉱石角獣を討伐しました
――経験値を3500獲得しました
天啓が響く。どうやら、無事死んだらしい。
ってか、メタライノクスってそう書くのか。レギンの言葉では言葉だから当然だが伝わってこなかったが、天啓は脳裏にメッセージログのように流れた上で発音されるからな。どう書くのか、というのも分かるのだ。
「うんうん、細かい傷がついてるくらいでヒビなんかは入ってないな。多分大丈夫だろうけど、一応ギムリとレギンに確認しに行ってみるか。これで大丈夫かどうか。もし大丈夫なら、今のパターンで繰り返し狩る。んで、この作業に必要な人員はクロとセーラだけなので、班を分けたいと思います。という訳で、出てきたばっかだけど帰るぞ。この倒し方じゃダメだったら意味ないからな」
軽く身体の方をチェックしてみたが、衝突の際に出来た擦り傷がちょこっとあるくらいだった。けれど、身体を硬直させたうえで溺死という方法で倒した故に、身体の中がどうにかなってて、それがコプスメタル化に悪影響を及ぼす可能性がなくもない。これは素人である俺達には判断の出来ないことだ。
よって、一旦帰って確認をとるしかないのである。沢山狩って持ってって、結局それじゃダメなんだよなぁ、が一番双方ストレスが溜まるからな。
◇◇◇
「ギムリ、レギン! ちょっと良いか~?」
俺が呼びかけると、奥の鉄火場から開けっ放しの扉越しにギムリがちょこっと顔だけを覗かせた。顔の角度からして、上半身を反らしているのだろう。眉根を寄せて迷惑そうな顔をしている。まぁ、作業中に声かけられると気が散るからな。当然だ。
「って、おお。サタンの旦那じゃねぇか! どうした? なんかトラブルか?」
しかし、声の正体が俺であることが分かると、ギムリは態度を一気に軟化させて鉄火場から出てきてくれた。
「わざわざ済まんな。早速一体狩ってきたんだが、これで大丈夫かの確認がしたくてよ」
「おっ、もう狩ってきたのか! 流石仕事がはえぇな! おっけ。とりあえず見せてみろよ。確認する」
「あぁ、頼む。これなんだが」
そう言って、影の回廊から鉱石角獣を取り出す。
「うおっ!? めっちゃキレイじゃねぇか!!! ど、どうやってこんなキレイに仕留めたってんだよ!! これならかなり上質な生体魔鋼が採れるぜ!!!」
「おぉそうか! 大丈夫か。それなら良かった。んじゃあ、同じ方法でもっと狩ってくるよ。期待しててくれ」
「そいつぁ助かるぜ!! 宜しく頼む!!」
「任せとけ」
そう言って俺達は、工房を出て再び外へと向かうのだった。




