1話
「今日は晴れ、100%と晴れ。快晴となり洗濯日和になるでしょう!」
気象予報士の人が朝から笑顔で伝えている。中学卒業後、僕は行方不明の姉さんの後を追うべく、同じ高校に通っている。同じ道を歩むと伝えた時、後を追うような事はしなくていい、と苦虫を嚙み潰したような顔で言った。あんな顔をした親を見たことがなかったので少し驚いた。姉さんがいなくなった時でさえ、はじめは家出だろうとその年頃は良くあることだ、きっと学校が嫌になったのだろうという割と楽観的な考えだった。今考えてもあまりにものんきな考えである。姉さんは一人暮らしだったし、仮の住まいが嫌になれば自分の家に戻ってこえばいいのだからと思ったけど、いや、だからあの夏に帰ってきたのかもしれない。両親はそれを察する事ができなかった自分たちをきっと責めていると思った。でも姉さんの事だしどこかで元気にやっているかもしれないという想いが存在しているからなのか、もう好きにしろという考えなのか分からないけど、結局は、僕を外に出してくれたからきっと前者だろう。
それから月日は流れ、新しいと思っていた校舎も今では少しうんざりするし、珍しい展望台も街もすっかり慣れてしまった。慣れるというのは恐ろしいもので、あの時あれだけ住みたかった町にいたのに時間が経てば見飽きてしまった映画の様に退屈になる。結局、姉さんの手がかりという手掛かりはつかむことができないまま時間だけが流れている。時間は平等で、どれだけ頑張っても、寝ていたとしても両者の時間は等しく流れていく。短く感じたり、長く感じたりと感覚はそれぞれ違うかもしれないが外から見れば同じだ。だから、このベッドも、向こうに見える食卓もみんな見慣れた。だから姉さんはうんざりしてしまいいなくなったのかもしれないなどと今朝の夢に引っ張られてしまった。
気づけば7時40分になっていた。まだこの時間に家を出れば十分間に合うなと考えながらカギを閉め、元姉さん捜索本部を後にした。