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3話 水谷と転校生

 予鈴がなったので急いで教室へと戻る。走って戻りたい気持ちが高まるが、前方には生徒指導教員の姿が見えたのでそういう訳にもいかなかった。かわりに先ほど預かったメダルらしい物を掲げてじっと見つめてみたが何も見えない。引き込まれそうな黒がそこにはあるだけだった。

「あっ」

 うっかりとそれを落としてしまう。しまったっと思いがもう既に遅く、地面に落下し前へと転がって行ってしまった。いつもまでも転がり続けるんじゃないのかと思うほど進み続ける。

 やがて誰かの靴にあたって止まった。親切にも拾い挙げ、こちらを向いた。水谷だった。

「淵之上、まだここにいたのか」

「まだって水谷もいるじゃないか」

 手には拾ったメダルのほかに何か持っている。本当にこの黒いのがメダルなのか、僕が勝手に思っているのでメダルでいいやと思う。

 とにかくメダルの他に教科書を持っていた。次の授業は、と思い出す。

「次、移動室だろ、早くしないと間に合わないぞ。あの教師、人の遅刻にはうるさいのに自分は平気で授業時間延長するからな」

 拾ったものを素早く渡し、五時間目がある教室へと向かっていった。

 そうか、昨日休んだから時間割を勘違いしていた。確かにあの授業で遅刻するのはマズい。早くしないとと猛ダッシュで階段を駆け上がり、三段跳びで降りていく。

 この時誰かに見られているような気がしたので振り返るが誰の気配もない。生徒指導教員かと思い、焦り始めたがいない。みな教室に入ってしまっているし、気のせいかと無視した。それより今は間に合う事が重要だ。


 授業にもなんとか間に合い、残りの授業も無事クリア。教室は一日の終わりを迎え、「このあとどっか寄ってく」とか「デートだぜ、わっしょい」や「部活だりぃ」、「バイトだよ、バイト。カノジョとの為に金がいるんだ」など賑やかになってい。

 僕も下校する為の準備をしていた。所にまたも水谷が話しかけてきた。

「知ってるか。この学校に転校生がきたんだとさ」

 誰か知らない人の机に腰を掛けている。その人はもう帰ったのか、帰ってなかったら居辛い。

「そういうのって朝話すべき会話じゃないか」

「しょうがないだろ、居なかっただろ」

 確かに、と痛い所を突かれた。転校生がこの学校に、いる。もしかすると米多比さんなのではと期待に胸を躍らす。

「女じゃないぞ。男だ、それもガラの悪そうな感じの冷たい視線を送るようなやつだった」

「見かけたんだ。全然知らなかった」

「知らなかったって、五時間目の時。いや始まる前だったけか」

「始まる前っていうと落とし物を拾ってもらった時?」

「そうそう、そうだよ。あれは足元に当たったから拾ったけど、その前に人がいた。てっきりその人が拾ってくれるんだと思ってたら避けたんだ。しかもそのあとじっと見てたんだよ、お前の事を」恨みでも買ってんじゃないのかと疑われる。

 知らなかった。メダルの後ばかり見ていたから気づかなかった。いや少しは見たかもしれないが見たことない顔だったし。でもあの時、感じた視線というは転校生の物だったのだろう。しかし、理由が分からない、訳ではなかった。勿論、恨みを売り買いした記憶はない。心当たりはある。

 そう、米多比さん関係である。その転校生というのが彼女を狙っているのだというのなら、僕に目を付けていてもおかしくはない。ここ数日で決めようとしていたのならそれを悉く邪魔をしていた。当然、襲ってくるはず。ならばこちらから会いに行ってみるのはどうだろう。相手にとっては不意打ちになる筈、上手くいけばこちら側にとって有利な状況に持って行けるかもしれない。

「水谷、このあと一緒に転校生の元へ行ってみないか」

「ムリ、今日デートだし」

「デ、デートぉぉ。嘘だろ、だって顔見たことないって言ってただろ」

「顔なんて見てなくたって分かるんだ。美人でかわいい子だと」

「悪いけど騙されてるよ、それ」

「いいか淵之上、お前は何か大きな勘違いをしている。美人とかわいい子は両立しないのではと思っているんだろ?」

「思っていない」

「例えば、しっかり者の美人がうっかり滑ったりする。そう、しっかりもので何もかも完璧そうに見えるのに。見えただけで実際はドジっ子だったのだ。これをかわいいと言わずになんというのだ」

「真面目だから騙されてるんだよ。第一ゲームで知り合ったやつとか怪しすぎる。間違いなく弄ばれてる。どうせ実は男でしたとか言われるんだからやめといた方が良いって」

「そんなことあるわけないだろっ」

 水谷が声を張り上げる。あまり熱くなるような奴ではなかったが恋人の事になるとこうも人は変わってしまうのか。恋は盲目というけれどそんなな恋をした事が無い僕はここまでになれるものは正直憧れる。

 とにかく、今日は無理だと言って帰っていった。それを見送ったのち、さっそく転校生探しに入った。

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