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41話『殺人鬼決戦②』【棺SAID】

 僕の能力『冬児災』は冷気を操る能力。この能力を応用した奥義を僕は8個習得している。僕が今使った奥義はそのうちの二つに過ぎない。


 一つは地面を凍らせ、滑ることで音も予備動作もなく一瞬で間合いを詰める【逝景色】。

一つは鞘の内部を凍らせることで一切の摩擦を生み出さずに超高速の居合いを放つ【玄討】。


 この二つを組み合わせた、超高速の接近→居合い。この組み合わせは、大抵の戦闘を一瞬で終わらせることのできる技なのだが。


「さすがだね。舞羽ちゃん」

 舞羽ちゃんは僕の剣を金棒の先端で器用に受け止めていた。一切の怪我を負わずにこれを受けられるのは百人に一人ぐらいだろう。


「うふふ。鍛えているもので」

「じゅあ、これはどうかな? ──【刺喪柱】」

 超高速の刺突を無数に放つ単純な奥義。しかし一度でもかすれば、冷気を纏った剣身が相手の筋肉を凍えさせて、そこを基点に相手を寸刻みにできる奥義でもある。


 それでも、先ほどの二つの奥義の合成に比べれば微々たる殺意だ。

 実際舞羽ちゃんに簡単に捌かれて、さっき崩しかけた体勢を立て直されている。


(この技はフェイク。本命は――)

「もらいました」

 バキン、と硬く冷たい音がした。

 舞羽ちゃんの金棒が僕の剣を打ち砕いていた。

 作戦通りだ。


「【幽纏】」

 【幽纏】は破壊された剣身を、冷気で作った氷で再現する奥義。

 壊したと思っている剣身による、高速の不意打ち。

 一度思考から外した攻撃を再認識して、反撃をすることができた人間は存在しない――。


「驚きましたわ」

 剣が金棒の先端を切る。金属の棒程度で鼓の斬撃は止まらない。


「まさか――」

 刃先が舞羽ちゃんの首を捉える。後少し。


「ここまで作戦通りなんて」



 一瞬、意識が吹っ飛ぶ。



 僕の体が3mほど飛んでいた。



(何が起きた!?)

 体の異常を確認する。左腕の骨が粉々に折れていた。後は頭から少し血が出ている。

 左腕の感覚を重点的に確認する。氷が纏わりついている。思考よりも早く、とっさに防御用の奥義【固柴】で腕に氷を纏い防御したのだろう。


「ここまで・・・・・・ここまでなんだね。舞羽ちゃん」

 この子は僕の戦い方を、完全に熟知していた。

 スピードを生かした接近戦による超短期決戦。それが防がれれば牽制による行動制限と意識外からの不意打ち。今のところそのすべてに対応している。


「ええ、ここまでです――ここまで来るため努力を欠かした日は、ありません」

「そっか・・・・・・ありがとう」

 僕にここまで執着してくれたファンは存在しなかった。この子がここまで来たのは、僕がみんなの魅力を作品として昇華できていたからだ。

芸術家としてとてもうれしい。


「なら、僕も期待に応えないとね――いや、違うな」

 この言葉は、この場に相応しくない。


「ファンの思い通りじゃ、理想通りならダメだよね。本当のファンサービスは――理想を超えることなんだからね」

 理想を超えて、君を討つ。

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