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第34話『恐竜の居る街②』

「あーもう。敵から逃げるの、好きな戦法じゃないんですけどね」


 私はビルの陰に隠れていた。

 分身を適当に散らして、跳ねて飛んで踊って、ティラノサウルスになった古干王土から逃げたのだ。

 あろうことか煙託さんとの試験の時と全く同じ対応を取っているのである。


「まったく・・・・・・デジャビュじゃないですか。何で似たような能力の人に似たような対応しているんですかね」

 多分発想力と時間の不足なのだろう。思考が回っていないに違いない。それにしたって酷いは酷い。何も成長していないではないか。


「まあ、昔とあの時の違いがあるとしたら、今の私には友達が居るんですよね――さて、戦力召集ガチャ。誰が来るでしょうか」

 魔王軍第21戦闘部隊にはそれぞれ通信機器が配られている。とても単純な一つの機能、特定位置への集合要請機能しかできることはない。

 私は2分前には要請していたので、そろそろ誰かしら来るはずだ。


「この地区に居るのは金庫坐さんと銅ヶ岡さん。近くの地区に居るのが姫ちゃんと凪音さん。ペドコン殺人鬼は特別任務で動けないらしいから、除外。銅ヶ岡さんは通信機を満足に扱う事なんてできないから実質的に来る可能性があるのは女子三人」

 誰が来てもまあアタリと言えるけれど、来る可能性が高いのは金庫坐さんだろう。同じ地区だし。


「じゃあ人が来るまでは古干の能力の考察でもしていようかな。まあわかりやすすぎる程わかりやすいタイプではあるから考察の余地があるかは疑問だけれど。シンプルに恐竜になることがあいつの能力なんだろうな――」

 肉食動物への変身、爬虫類全般への変身。その他のギミックがある可能性は十分にあるが、考えてそれを計算に入れる必要があるかは疑わしい。ならば恐竜への変身を決め打ちしても大した問題は無いだろう。

 次に重要な能力の発動条件や、効果の制限にはどんなものがあるかなどを軸に、思考を回す。


 そして1分ほど考察をしていると、突如階段からコツコツと靴の音が聞こえた。息を潜ませる。

「本当にこんなビルに居るのかよ・・・・・・この通信機壊れているんじゃねえだろうな」

「その声は」

 すぐに声を出す。聞き間違いはあり得ない。


 彼女の個性と言える、ウォーターカッターのような鋭く、透明で、染み渡るような美声。

「心!」

「あん? 私呼んだの、お前かよ」

 ギターを持った凪音さんがそこに居た。






「かくがくしかじかと言うわけ」

「なんでお前は全ての説明が終わった後に、かくがくしかじかと言っているんだ? ・・・・・・まあいいや」

 心はあっさりと疑問を片づけた。作戦を進めたかった私にとって好都合な展開だ。


「私はS田区でパンピーぶっ殺してたんだけど、そしたらTスカイツリーが民間人の保護拠点になっていたみたいでな・・・・・・殴りこんできた。何人か殺せたけど、私と相性が悪い奴が何人かいたから逃げてきたよ。丁度一終にいとかが得意そうな相手だったんだけどなあ・・・・・・なあ、これ終わったらあっち攻めようぜ」

「これ終わって、手助けするべき人間がその場に居なかったらね──それじゃあ作戦を立てよう。とりあえず、心の能力教えてくれない?」


「ん、いいぜ・・・・・・つっても私の能力『地獄の讃美歌ロックブレイクレクイエム』はシンプルだからあんま説明が居るタイプじゃねえんだよなあ――。私の生歌を聴くと幻覚幻聴、頭痛、吐き気、平衡感覚の喪失、思考能力の低下みたいな悪い症状を引き起こす能力。射程は場合にもよるけど100mが限界だな。耳塞げばすぐに無効化可能。能力が掛かっていない生歌を聴いたやつにも、無効になる」

「ふうん。じゃあ、こんな手は通用するんじゃないかな――」

「それなら――でも――」


 そうして、私は少しばかりの打ち合わせを済ませて、解散した。

 ジュラシック・パークで追い回されるのは終わりだ。いまからこの物語はドラえもんに変わる。


 それでは――恐竜ハントの始まり、始まり。


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