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第6話 ひだまりの丘のピクニック その1

 街で借りた馬車に揺られ街道を進んでいる。


 日は高く雲ひとつないいい天気である。


 金のない俺が馬車を借りるなんて勿体無い限りだが、ダリルの言っていた半日が徒歩でなく馬車での話らしく、そのうえで隣で御者をする女の子がいつの間にか用意してあったのだ。


「いい天気だねぇー」


 ご機嫌である。店にいた時の元気で語尾が跳ねる様な喋り方とはまた違い、今のこの子はポカポカ陽気を楽しむ子供の様だ。喋り方も間伸びした緊張感皆無で無防備。


 大きなひまわりが一輪飾られた麦わら帽子に服装こそ店の時のそのままではある(そもそも今のこの姿を見るに仕事着でなく普段着なのだろう)が、猫のぬいぐるみの揺れるピンクのリュックを背負い、ピンクの水筒を肩から斜めにさげた格好で現れた時には何事かと思ったものだ。リュックも水筒もいまは荷台に積まれている。


「そうですね、けれどすみません。馬車の用意もそうですが、ギルドで金策にクエスト受けてくれたり、それどころか俺の仕事のはずの捕獲に付き合ってもらって」


 そう、素材である紅蓮蝶の捕獲は金のない俺がすることではあるのだが、この子はギルドで紅蓮蝶の捕獲、もしくは討伐というクエストを見つけて受注してくれたのだ。


 紅蓮蝶は最低でも一組のつがいで現れるらしく、武器作成に一匹を使ってももう1匹をギルドに納品でき報酬が貰える。


「まぁー、せっかくだからねぇ。あ、うさぎだ。可愛いー」


 気にした様子もなく街道脇の茂みにうさぎの姿を見つけはしゃいでいる。ミーナの頭に咲いたひまわりが揺れているのを見ているとなんだかほのぼのとしてきた。


 これギルドでも貼り出されていたクエストだよな? ピクニックのような錯覚をしてしまう。


「お、ミーナちゃんじゃないか。ご機嫌でどこまでいくんだ?」

「ちょっとひだまりの丘まで虫とりに行ってくるよー」

「なるほど、そいつは楽しそうだな。帰ってきたら話きかせてくれな」


 農作業のおじさんと会話して手を振り別れる。というか虫とりって言った。やはり蝶と言うだけあってそんなものなのか? やはりピクニックなのか? けどそれならなぜ捕獲もしくは討伐なんてクエストが?


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