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第44話 最強の男、プロローグ その1

 遠くに見える山々はすでに深い雪を積もらせている。街を歩く人たちの息も白く、この辺りで獲れる白キツネの毛皮や鹿や猪、良いものでは熊の毛皮を使った上着を着る人が多くなっている。


 街と街を取り囲む平野には滅多と雪は降らない。それでも野生の動物は活動を控えており、市場に並ぶ食材はこの頃は肉より魚が多くなる。輸送用の魔道具の発明で改善された魚介の流通によって年中安定して供給されるからだ。


 平和でのどかなこの街では、人々の職業も生活に密接に関わるものが多く、他国との戦争や紛争、血の気の多い冒険者が溢れるような所とは違い、一部の実力者を除けばみな平凡な体躯の者ばかりである。




 街の中でも西の方の大工たちが住むあたりに一軒の看板もあがっていないお店らしきものがある。そこでは日夜、男たちの暑い声が聞こえる。付近の人はそれに苦笑し、子供たちは口真似してキャッキャと騒いで駆け出していく。


 今もマッシュルームカットの子どもが、日も暮れた時間に晩ごはんのお使いを頼まれて買い物に向かうところで、聞こえる声に何してる所なんだろうと疑問に思っていると、扉が開き中から190cmはあるだろう大男が現れた。


 子どもはビクッとし、いけないものでも見たかのような気になる。気づけば腕をさすって震えていた。


 その男が外の冷気により白い息を吐くのは子どもと同じであるが、全身からも湯気を立ち上らせている。


 袖がないピチピチのシャツは絞れそうなほどに濡れており、露出した肌もテカテカしている。下はこれもピチピチの長いズボンを履いているが太い脚を包むそれも濡れているようにみえる。子どもは男をみて、寒そうな恰好だと思い歯を鳴らしていた。


 出てきた男は近くの自宅に戻り、風呂で汗を流してベッドに転がる。今日は市場の事務の仕事を早くに終えて、あの鍛錬場で日課の筋トレを長めに出来たことが嬉しく、また最強に近づいたと充足感に包まれて眠りについた。


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