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第31話 逃げきこり その1

「イレブン、カース」


 ロズウェルさんは静かにそう言った。


 休憩を却下されて、いまは泣く泣く鉈で幹の皮を剥いでいる最中。安全によく切れる鉈で丁寧に一枚一枚皮を剥いでいる。


 心なしか煌めく鉈の刃はそれが魔剣であることを無知なわたしにさえ知らしめている。しかしここへ来るまでの道中で使っていた時にはそんなことはなかったのだけど、疲労がその先の思考を拒否してる。


「私の持つ魔弓の技を決められた順番で打ち続けたわけです。……順番? 技を習得した際にそれと知ることになっただけですよ」


 もはやわたしの知らない世界の話らしく、わたしの作業を眺めながら説明されるそれはその厚意? に反して全く理解できていない。というか喉渇いた、お茶淹れて。だめ? はい、すみません……。


「はじめが覚醒。次に誘引。これは特定の相手に固執するようにする効果ですね。今回であればフィナさんですが。で、次に憤怒、激怒」


 え? このひと涼しい顔していまわたしを囮にしたって言ったの? そしてまさかの同じの重ねがけっ? 魔獣が唸ってたのそのせいでしょ絶対!


「まあ、否定しませんよ? 必要なことでしたからね。さすがにこの先は内緒ですが、最後は麻痺です。つまるところ効果の違う、ともすれば意味のない魔弓の技で相手の体内に私の魔力を蓄積させて最後の本命の効果に全ての魔力を還元させて効果を劇的に高めるという、圧倒的格上をしばくための技です。それがイレブン、カース」


 きっと凄いことなんだろうなー。でもそんなことどうでもいいくらいのこのモヤモヤ。口ずさむ歌も1オクターブ低くなる。11本の矢が刺さった魔獣の皮を剥ぎながら囮にされていたことをどうしてくれようかと考えていると


「もう充分ですね、あの枝は私が持つので急いで抜けますよ」


 ここまでやらせて枝くらい持つのは紳士的エルフなら当然のことだと思う。むしろいろんなフォローが足りないことが紳士的エルフとしてはダメなのではないか?


「色々モヤモヤしてるようですが、後です。全速力でついてきてください!」


 そう言うと同時にロズウェルさんはわたしを置き去りにして走り出した。




「今度は鬼ごっこですか? わたし、負けませんよー」


 この時はまだわたしは背後の変化に気づいていなかった。


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