戦い次第では合格できますよ
食人はモンスターと戦うのが主な仕事だ。なので戦闘能力が必要となる。
なので試験も当然戦闘能力を測る。
「なんかこう、水晶みたいなのに触れて測るとかですか?」
「そんな楽ちん、もとい都合の良い装置なんてありませんよ。あったら楽チンですけどね」
あるのはレベルと能力の表示機能だけらひい。因みに転移者の能力や、この世界の能力でも確認されていない新能力などは表示されないらしい。
「この世界で確認された魔力波長を記録しているんですよ。レベルも判定はできますけどね。まあレベルなんて知りたがるのは本人ぐらいですが」
「そういえば、レベルの強さは関係ないって…………」
コーヤも異世界人らしく、レベル=強さと思いこんで、そんなに実力に差がない者達を連れて適正階層を超えようとしたらしい。ちなみに適正階層はあくまで推奨なので違反しても罰則はない。でもコーヤは金を払おうとしたらしい。
「強さの測り方は簡単です。戦ってくださいね」
ギルドの修練場。受付嬢のソーニャは地面に何やら文様と文字を書いていく。見たこともない模様。人型にも見えなくない形に広がっていく。
最後に鉱石を心臓部あたりに置く。
「それじゃあ、頑張ってくださいね」
土が盛り上がる。模様に沿って盛り上がる土は、模様を取り込みながら立ち上がったそれは、ゲームでよく見るゴーレムそのもの。
「この子と戦ってください。勝てなくても、戦い次第では合格できますよ」
「オオオオオオ!!」
と、襲いかかってくるゴーレム。後ろで受付嬢が頑張ってくださいね〜、と手を振る。
ゴーレムが佳乃子の眼の前で腕を振り下ろし、地面か砕ける。前の世界の人間ならミンチになる威力だ。
「ひっ!」
当然、そんな力を見せられた一般市民は恐怖に襲われる。再び振り下ろされる拳を防ごうと思わず腕を交差させ………ゴーレムの腕が弾かれた。
「………え?」
「さすが盤駒族。素人でもスペックがとんでもないですね。さ、そのまま攻撃してください」
「え? あ、えっと………え?」
「ウオオオオオオ!!」
「えい!」
と、拳を突き出す。瞬間、拳が光った。その光はゲームの『拳術』スキルを発動したエフェクトによく似ている。
轟音が響く。
ゴーレムの上半身が消し飛び、飛び散った土塊が壁に叩きつけれた。
「……………え?」
受付嬢の方にも飛んでいったが、砂粒一つに至るまで回避していた。佳乃子の目にはまるですり抜けたようにしか映らなかったが。
近くで見ていたコーヤもかろうじて軌跡が追える程度しか見えなかった。
「戦闘面には問題ありませんね。では、次は精神鑑定試験を受けましょう」