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あたしも浄化の力について分からないと言ってから何か気まずい空気になってしまった。
嘘でも吐けばよかったの? いや、でも、本当に知らないから嘘吐いたら後で勇者の仲間の神官に聞けばすぐに分かるし、そんなリスクを犯してまで嘘吐く必要なんかない。
「……ねえ、さっきから魔獣増えてない?」
「……そうだな。まるで魔獣の群れの真ん中に行くみたいだ」
「別のところに行く?」
「怪我人いいのか?」
「ダメ」
ノヴァの負担が多いが多くなってるから言ったけど、死なれるのるのはそれはそれで困る。
「疲れてない?」
「まだ平気」
「休憩したくなったら言ってね」
「分かってる」
そんなことを話しているとまた魔獣が現れたので木の陰に隠れてノヴァが倒してあたしが浄化してとそれを繰り返してるが、魔獣が出てくるまでの感覚が短くなってきてる。
その内魔獣の巣の中に出ちゃうんじゃないかとヒヤヒヤしてきた。
本当にこっちにクロッチェが居るの? あたしがノヴァを見つけるまでは魔獣に遭遇しなかったのに何でこんなに現れたんだろ。
「っと! わりぃそっちに血が飛んだ」
「ついてないから平気よ。それにしても凄い数になってきたわね」
「そうだな。さすがに……何だ!」
休憩するか聞こうとしたらいきなり辺りに爆発音が響き渡り二人して驚く。
「誰かが戦ってる?」
「誰かって誰? 勇者の仲間?」
「知らねえけど、あいつらにしろシルシェたちにしろここは合流しておいた方がいいだろう」
ちらりとこっちに視線を送ってきたので頷く。
「その分危険になるだろうけど、ちゃんと守ってね」
「分かってるよ」
その後は向かってくる魔獣をノヴァが倒しながら爆発音の発生源に向かって走った。
「おい、早く……しろ!」
「分か……てますわ!」
「あの声って」
「勇者の仲間だな」
途切れ途切れに声が聴こえてくる。だけど勇者の仲間の姿は魔獣の数が多くてまだ見えない。
「あの中って危なくないの?」
かなりの数の魔獣の大群に入った瞬間やられるんじゃないかって気になってくるが、ノヴァは戦うつもりらしくやけにキリッとした顔をしていた。
「だろうな。だが、やられてないんだから無事だろ。こっち側は俺たち二人しか居ないんだ。あっちに行った方がまだ生存確率が上がるぞ」
「……そこまでが危なそうだわ」
マジか。生存確率とか言われると確かにそんな気はしてくるが、多種多様な魔獣の群れ、その中心と思われる場所までが安全じゃないような気がするんですがと一応言ってみるものの、完全に無視。
「一番魔獣が少ない場所狙って行くから着いてこい」
「えっ、ちょっと待って!」
まだ覚悟も何も決めてないのにノヴァが走り出してしまった。身を守るすべのないあたしは着いて行くしかなかった。
無事に生きてこの森から抜け出せたらノヴァのこと殴ってやる!




