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ノヴァと二人して蔦を追いかけていたけど、どこかで枯れ果てて風でも吹いたのか途中から蔦がなくなってしまっていた。
「……どうすんだこれ」
「……どうしようもないよ」
また森の中でさ迷うしかないんだよ。
村を出てから森で迷うの何度目なんだろ。
というか、怪我しているクロッチェが待っているから絶対に戻りたかったのに。遅くなったら死んじゃうんじゃないの。
「今からシルシェたちのところに戻れる訳でもないしなぁ」
「な、なんかごめん」
「いいよ。あそこで待ってたとしても合流できるか分かんなかったし、それよりリュリュのこと一人にしたらトール様に怒られる」
「トールが? というか、お屋敷でもないのに何でまだトールのこと様付けなの?」
前はお屋敷に着くまでは呼び捨てだったのにと不思議に思って尋ねてみた。
「そりゃあれだ。勇者一行なんて大層な奴らと行動するんだトール様がナメられたらどうする」
胸を張って主張するノヴァに何言ってんだこいつはと言いそうになったけど、我慢した。
「そうなんだ。まあ、頑張ってね」
「おう! リュリュも聖女なんだから様付けてやろうか?」
「いらない」
「遠慮するなって」
「いらない」
思わず真顔になってしまったけどそういえば勇者も様付けしてきてたわね。
うっかり余計なことを思い出してしまって顔をしかめる。
「そんなことよりも蔦もなくなってしまったからこれからどうしましょ」
「適当に歩くか?」
「それで誰かに会えればいいわね」
「会えるさ。でなかったら俺達だって出会えてないだろうし」
「それもそうね」
とりあえず蔦があった方に歩いて行くけど、しばらく歩くと本当にこっちでよかったのか怪しくなってくる。
というか、同じような木しかないのがもうね。迷ってしまえって感じで嫌なんだけど。分かりやすく岩とか倒木とかあればいいのに。
時たま魔獣が現れることもあるけど、それはあのリスみたいな魔獣ではないからノヴァがささっと倒してくれる。
全然知らなかったけど、ノヴァって強かったんだと呟けばシルシェさんの方がもっと強いと教えてくれた。
「お願いしたら教えてくれるかしら?」
「戦うつもりか? やめとけお前じゃ怪我して終わりだ」
「何でそう決めつけるのよ」
思いつきで言ったけど、頭ごなしに否定されてムッとなる。
「そうだなぁ……何か聞こえね?」
「何が?」
気になって耳を澄ましてみるが特に何も聞こえてこない。
ノヴァの気のせいだったんじゃ? と言いたいけどノヴァは真剣な顔で耳を澄ましているのでそんなこと言える雰囲気じゃない。
「何の音?」
「分かんねえ。もしかしたら誰か居るのかも」
「それじゃあ見に行きましょ」
クロッチェが助けを求めて居るのかもしれないし、そうじゃなかったとしても誰かとは合流出来るかもしれないんだし。
そう言うとノヴァもそうだなと頷いたので二人して音が聴こえてきた方に向かって歩いてく。
「リュリュちょっと隠れてろ」
「何で?」
しばらく歩いてるとノヴァがそんなことを言ってきた。
「魔獣だ」
「えっ、わかった!」
魔獣だなんて。今まで会ったことないから分からないけど、この森魔獣多くない? ノヴァの指示に従ってすぐに隠れると狼のような魔獣が数体現れた。
その狼魔獣にノヴァが飛びかかり一体二体とナイフで倒していくんだけど、かなり手際がいい。
その無駄のない動きに狼魔獣たちも驚いて二体程逃げ出してしまった。
「もういいぞ」
「えっ、あ、ああ、うん」
その鮮やかな動きに魅入ってたらノヴァが声を掛けてきて我にかえって。
これで大して強くないみたいな言い方していたけど、あたしからしたらノヴァも充分強いと思うんだけど。
「逃げてった魔獣は追いかけなくていいの?」
「襲ってくるなら倒すけどそうじゃなければ倒す必要はない」
「そうなの」
浄化して魔獣の死体を片付ける。
「すげえなそれ。どうやってんだ?」
「知らない」
「え」
「あたしも知りたいの」




