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嫌です。無理です。さようなら ~聖女と呼ばれたけど関わりたくないのです。~  作者: こま
仕方がないからあたしがやる! でも勇者お前は許さない!
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96勇者の仲間クロッチェ視点3

「あー……くそっ」


 あいつにさっさと行くように言ったけど、こんなに痛いのなら先に行かせる前にもっと薬とか出さしておくべきだったし、あの化け物のような大きな魔獣はまだ暴れてる。


 大方餌だと思っていた俺らが逃げ出したから腹を立てているのだろう。この洞穴が揺れる程の攻撃をするなんてあの女が戻ってくる前に俺生き埋めにされるんじゃねえの? 


 あり得そうで笑えねえ。録なこと考えねえなと笑おうとするとズキズキとあちこちに痛みが走りため息しか出てこねえ。


「いってぇ……」


 駄目だ。痛すぎる。寝て痛みを誤魔化そうかとも考えたが、痛すぎて寝れやしねえ。外に出たくてもあの聖女が生やした木はパラパラと砕けて焚き付けぐらいにしか使えないだろうな。


 しばらくは薪には困らないか? いや、細か過ぎるから狼煙向けか。


「あ! 狼煙!!」


 そうだよ! 狼煙があった。


 あいつの話じゃ一緒に行動してたっぽいし誰かが見つけてくれる可能性だってある。


 そうと決まったら焚き火を始めるが、その動きも痛い。じっとしててもあちこち痛いのならどっちでも同じだ。


 誰かが早くこの場所を見つけてくれるのを待つだけだ。


「っと、忘れるところだった」


 焚き火の中に獣避けの薬剤を混ぜる。これを忘れると魔獣がやってくる可能性があるのをすっかり忘れてた。痛すぎて何も考えられねえわ。


 ここから出られたらとか考えていたいけど無理だな。痛すぎる。痛み止めの薬を追加で飲んで紛らわす。早く効いてくれ。


 ついでに眠り薬とかも置いて行ってくれたらよかったのに何で俺頼まなかったんだろ。あー、痛すぎて説明とか聞く余裕がなかったからだわ。


 洞穴を塞いでいる木もいつまでもつかな。頑丈な木だって言っていたけど、あの魔獣の攻撃どれくらいもつ? いや、考えるのはやめとこう。


 怪我してる上に暗いところに居ると考えることまでジメジメしてきたぜ。


 なんか気を紛らわせる物があればいいんだけど何もねえな。


 装備の手入れもあのでっかい魔獣が出てくる前に終わらせてしまったけど、もう一回やるか。


 ちょっとでも気が紛らわせられたらいいとがさごそとやっていると何だか上が騒がしくなってきた。


「…ε$…₴?」

「……₪ゞ『ゝ……」

「おーい! 誰か居るのかー?! 居たら返事してくれー! 穴に落ちてしまったんだー!」


 大声で呼び掛けると上で聞こえていた声はぴたりと止まった。


 誰だろ。声が小さ過ぎて男か女かもいまいち分からなかったけど助けてくれるか? それとも面倒だと逃げられてしまうか?


「その声はクロッチェか?」

「勇者か!?」


 やった! 成功だ! 勇者なら助けてくれる!!


「助けてくれ! 怪我して動けないんだ!!」

「ちょっと待ってろ」


 あの聖女が勇者を連れて来てくれたのか? それとも狼煙に気付いてくれたお陰か? 何だっていい。勇者が居るのならモンスパルが居る。あいつは怪我の手当てとかも上手かったからこれで大丈夫だ。


 しばらくすると勇者が降りて来た。


「……久しぶり」

「ああ、運ぶから動くなよ」

「ぐっ」


 勇者が運ぶ為に俺を持ち上げてくれたが痛くて思わず呻いてしまった。


 聖女が置いてった薬とか食糧のことを告げる前に勇者が外に出してくれた。


 外に出ると俺が落ちた場所とは違う場所? それと見知らぬ奴と小さな生き物。あれは何だ? 安全な生き物か?


 勇者に説明してもらおうと後ろを振り返ると勇者の姿は見えなくなっていた。


 誰か説明をと困惑していると見知らぬ白髪頭? 老人? いや、それにしては動きがなめらかだ。


「怪我治しますね」

「へ? ああ」


 肌も張り艶があって若そうだなっと見ていると相手が喋って男だったのかと慌てそうになったが、何とか平静を保てた。


「クロッチェ荷物だ」

「あ、ああ。ありがとう……痛くない?」


 さっきまで痛すぎてどうにかなりそうだと思っていたのがすっきりした。


 慌てて傷の確認をするが、傷が綺麗さっぱりと消えてしまった。


「何だこれ?!」

「治癒の異能だ」

「そんなのあるのか?」


 初めて聞いた。どうやって治したんだとまじまじと自分の体を確認していると俺を治してくれた奴が喋った。


「珍しいらしいからあまり騒がないでもらえると嬉しいな」

「あ、ああ、すまない。珍しかったからつい……」


 こんな異能があるなら病院とかいらなくなっちまう。豊穣の異能だって珍しいのに治癒の異能までとかすごすぎる。 


「僕はトール」

「俺はクロッチェだ。よろしく。あ、そうだ勇者、聖女に出くわした」

「どこでだ?!」


 忘れる前に報告しなければと告げるとものすごい勢いで反応するからちょっとびびった。


「この下だけど俺が怪我して動けないし、下には馬鹿でかい魔獣も居たから逃がしたけど」

「リュリュ様は下には居ないのか?」

「居ない。魔獣だけだ」

「……そうか二人共ちょっと待ってろ」


 勇者はそう言うと再び下に降りて行った。あの魔獣退治するのか?


 というか、見知らぬ人間と置いてくなと言いたいんだけど。


「えっと、トールだっけか? とりあえずその二匹は魔獣か?」

「違うよ」

「ちょっとあなた失礼よぉ!」

「うわっ喋った!!」


 何だこれ? トールにどういうことだと話を聞いている内に勇者が魔獣を仕留めてくれたらしくとりあえずは大丈夫だろうとのことだ。


 この後どうするのか聞けば仲間を探すとのこと。


 何でばらばらに動いてるのか聞けば二人共黙ったのでこれは聞いても駄目な奴だと諦めた。


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