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「……歩ける?」
「ああ」
クロッチェさん改めクロッチェに肩を貸しながら歩く。
クロッチェが現れてから多分半日ぐらい経ったからさすがに魔獣は移動しているはずだと言うので外に脱出するためだ。
タクランさんのところで看護の仕事していたお陰でクロッチェの怪我の手当てもスムーズに出来たけど本当ならしっかり休ませたいところだけど、あたしもこいつもこんなところには長く居たくないのでさっさと出ることにした。
休むのは宿でも出来るもの。その前にどうやって森を出るかが問題だけど。
それは後で考えればいい。嫌だけど上で勇者に合流出来る可能性だってある。頭脳系は他の人に任せてしまえばいい。
クロッチェと二人で洞穴に入る。
二人だとさすがに狭いけど行けなくはない。
「あ!」
「何だ? クソでもしたくなったか?」
「違うわよ!」
デリカシーのない男ね。
「ここで試してはないんだけど上であたしの異能あんまり使えなかったんだった」
「そういうことは早く言えよ!」
「今言ったんだからいいじゃない!」
それに使いにくいってだけで生やすことは出来たんだし。
「……試してみろ」
そう伝えるがクロッチェはかなり疑り深い顔をして異能を使うように言ってくる。
「面倒臭いなぁ」
「こっちは怪我してんだから慎重にもなるだろ!」
それもそうか。勇者の仲間だからって何かしてあげたくなくなるの不思議。
「分かったわよ」
野菜や花なんかを育てるのならここでもこと足りるんだけど、育てる予定なのは木だからさっきの水場に戻った方がいい気がする。
それを伝えると嫌そうだが戻る気はあるみたいで水場へと戻り出した。諦めて歩いてくれた方があたしとしては楽なんだけどねぇ。
怪我するのはあたしも嫌だしちゃんとした方がいいか。
自分を納得させて水場に戻る。
「さっさとやれよ」
「うるさいわね。黙っててよ」
どうして勇者の仲間は一々文句を言わないといけない訳? そういった様式でもあるの?
適当な場所を軽く掘ってがっしりした木がいいわね。と上に生えているような木の種を取り出して植えてから異能を使う。
ぼんやりとする光にぐんぐん育て始める木に順調に育ってる? でも、半分以上の異能の力がどっかに行っちゃってるようにも感じる。
「うーん。やっぱりいつもより時間が掛かるわね」
「いや、早くね?」
「え? そう?」
他の豊穣の人を見たことないからわからないないけど、量はともかくとして成長だけならこんなものじゃないの?
話している間異能を使うのをやめていたらてっぺんの方から枯れ始めた。
「こんな感じで枯れちゃうのよね」
「出られないのか?」
「失礼な!」
あたしとしては枯れちゃう姿を見せられるのは嫌なの!
「維持するのに思った以上力を取られちゃう感じよ。それからあたしは戦えないからそれはあんたにお任せするわ」
「人使い荒いな」
「それはこっちの台詞よ! それなのにあんたたちときたら!」
連日浄化に豊穣にと次から次にと仕事を持ってくるし! 口を開けば嫌みばかりで本当に嫌になっちゃう。
「あいつらに会ったのか?」
ぷりぷりと怒ってたらクロッチェが不思議そうな顔をしてきた。あれ? あたし言ってなかったかしら?
「会ったわよ。……上に勇者がいる。他の人たちは森に入ったかは知らない」
「なるほど、予定変更だ」
にやりと笑うクロッチェにどういうことだと詰め寄るもクロッチェは答えずに矢を作るから細い木を沢山作れとか言ってきた。
どう考えてもあんたの方が人使い荒いから!!




