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嫌です。無理です。さようなら ~聖女と呼ばれたけど関わりたくないのです。~  作者: こま
仕方がないからあたしがやる! でも勇者お前は許さない!
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80勇者の仲間クロッチェ視点2

 久しぶりに勇者たちと合流出来る。


 俺の居ない間に仲間を増やしておくって話だったが、どうなったんだろうな? 街道を急ぎ足で通り過ぎる。


「ん? 何だあれ」


 勇者に頼まれて魔王の力の欠片を探しだしてそれを勇者のところに持って行く途中、魔族たちの活性化に俺が魔王の力の欠片なんて物騒なものを持っていることを気付かれたのかと焦ったが、それにしては魔族たちは無差別に人間たちを襲っている。


 途中神殿に寄ってこの襲撃が大規模なもので世界各地で行われてているものだと知り急いで仲間たちのところに戻っている時に見つけた。


「おい、そこのじいさん何をしてんだ?」


 じいさんと孫? しわくちゃのじいさんが道の真ん中で空に向かって祈りを捧げはりように顔の前で手を組み合わせ目を閉じている。その近くでは5、6歳ぐらいの少年がじいさんのことを見守っていた。


 えっ怖っでもここ通らねえと先には進めないし、今さら遠回りするのも面倒臭い。


「……」

「……」

「……」


 しばらく待ってみても返事はなく仕方ないから諦めて行こうかと思い歩き出すと裾が何かに引っ掛かったのはぴんと引っ張られるような感覚を感じて振り返れば少年が俺の服を引っ張っていた。 


「どうした?」 

「……」


 少年に視線を合わせるためにしゃがむともじもじしている。人見知りか?


「この子の両親は迷いの森に入ったまま行方が知れなくなった」

「うぉ!」


 いきなりじいさんの方が喋り出してびっくりした。


 え?! このじいさん喋るの? てか──


「迷いの森?」


 何だか不穏な話になりそうな気配がする。勇者のところに戻らないといけないのにこの話を聞いたら戻るのが遅くなりそうだ。


「そうか大変だな」


 少年の指を俺の服から外そうとするが意外と力が強く離れない。

 

 これ以上力を込めると怪我でもさせてしまうんじゃないかって思うと引き剥がせねえ。どうすると悩んでいると後ろから強い衝撃に何だと慌てて振り返れるとさっきのじいさんが後ろからしがみついていた。


「ですからどうか息子と息子嫁を探してくれ!」


 ちくしょう! こいつら見つけてた時点で回れ右して遠回りでも何でもすればよかった!!


「いや、俺は用事が……」

「もう半年、いや一年になるんじゃ!」

「そんだけ経ってたら死んでるかどっか別のところで元気にやってんだろ!」

「そこを何とか! あんたはこの子が可哀想じゃないのか!?」

「自分の子ならともかく他人の子なんて……」

「オニイサンお願い……」

「うっ……」


 反対側からじっと見上げてくる瞳にどんどん涙が溜まってく。


 さすがにこんなに小さい子に泣かれてしまうのは避けたい。


「分かった! 分かったからその森調べてくるから離してくれ!」

「本当ですか?! ありがとうございます!」

「やめろ! 離せってば!」


 ぎゃあぁぁぁあ! 何で力が強くなんだよ! やめてくれー!




◇◇◇◇◇◇


 


 じいさんと少年を宥めすかして詳しく話を聞いてその森にやってきた。


 何で俺はこんな余計なことをしているんだ。


 ため息を吐きたくなるのを我慢して等間隔で目印を付けていく。


 迷いの森っていうのは大体が似たような景色が続くために人が同じところを歩いていると錯覚することが多い。


 だからそうならないようにと初めて来た場所だしと目印をつけていく。


 この森に入ってから一時間以上経つ。そろそろ一度戻るかと顔を上げるとさっきまでつけていた目印のリボンがなくなっている。 


「おいおい……」


 今木の枝に付けていたリボン以外なくなっているとかさすがにマズいだろ。


 この依頼受けるべきじゃなかったかも。 


 これ以上目印をつけて無駄に消耗するべきじゃない。


 だからと言って適当に歩いて行くのも避けたいとこだがどうしたものか。 


 パキッ


「あ? 何だ魔獣か……」


 鋭い牙に鋭い爪。大きめの肉食獣のようだが額には長めの鋭い角に口からはヨダレを垂らし目は血走っている。


 他にも食うもんぐらいありそうなのについてないな。


 腰から大振りの短剣を取り出して構えるとそれを待っていたかのように魔獣が跳びかかってきた。


 それを避けて魔獣の首に短剣を突き立てるとさっと離れたが、着地した場所が悪かった。


「へ?」


 枯れ葉の上に降りたつもりだった。だけど、着地したと思った瞬間地面がなくなった。


 まさかと思って下を見れば深い穴がぽっかり開いていてその辺の落ち葉と一緒にそのまま落下した。


「いてぇ……」


 一緒に落ちた葉っぱやら土やらのお陰で怪我も打撲ぐらいだろう。


 上を見れば殆ど光が差してない。これは土とかと一緒に落ちてなかったらかなりヤバかったかもしれない。


「いっ!」


 出られないか試してみようと立ち上がろうとすると右足に激痛が走り思わずうずくまる。


 しばらく足の痛みに顔を歪めていたが、どうなってるんだと痛みを我慢しながら靴を脱ぐ。


「あー」


 じわじわと染みるかのように内出血が広がりつつある。これは折ったか。


 さっきの魔獣に短剣刺したままだから立ち上がるのに使えそうな物がない。まあ、今魔獣が振って来ても戦えないからあれは諦めよう。


 使えそうなのは弓と荒縄と火付けに使う道具に保存食なんかだな。しばらくはこれらを使ってなんとかするしかない。


 矢を何本か折って添え木の変わりに縄と一緒に脚に巻き付ける。


 右足を使わないように気をつけて弓を杖変わりに立ち上がるとかなり上から獣の咆哮が聞こえてきて俺のこと食えなくて残念だったなざまあみろと思いながら奴がここまで追いかけて来ないことを祈る。さすがにこんなところで戦うのは分が悪い。

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