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「……ん。ここは?」
頬に当たる場所がひんやりとしていて冷たくて気持ちいいような少し肌寒いような。
「……って何ここ?!」
確かあたしリスみたいな魔獣にやられたんだったんだけど痛むところはないっぽいから怪我はしてないみたい。
「暗い」
薄暗い程度だから全く何も見えないって訳でもないが、かろうじて物の輪郭が分かるって程度だから危なくて仕方ない。
「こんな状況で襲われでもしたらあたしヤバいんじゃない?!」
さっさと逃げよう。
そういえばトールたちはどうなったんだろ。近くには居なかったから平気だったのかな。
まだ近くに魔獣が居るかもしれないから大声は出せない。手探りて何かないかと探ってみたけど岩なのかゴツゴツとしていてこんなところで呑気に寝てたのかと自分の危機感のなさにどうなのかと頭を抱えそうになった。
「そういえば荷物……ある」
岩みたいだから何か生やすのは少し時間が掛かるかな。
というか、荷物盗られなかったって魔獣は何をしたかったのか分からないんだけど。
「誰か分かる人いるのかしらね」
薄暗いけど少しだけ見えるってことはどこかから明かりが漏れていり可能性がある。
異能を使う時に光るからそれで辺りの様子を見たいけど、そうしたら魔獣からも丸見えになっちゃうからね。
まあ、動物とかって暗いところでもしっかりと見えるらしいから向こうからしたら意味はないかもしれないけど、でも、明るくなったとたんに魔獣なんか見たくない。そう、これはあたしの精神衛生のためでもある。
だから手探りで移動するんだけど、こうも暗くちゃ危なっかしくて仕方がない。
明かりをつけてしまおうかと悪魔が耳元で囁くような誘惑を振り切って移動していると湿気が凄くなってきた。
もしかして水場でもあるのだろうか?
このまま水場に出てみる? 危なくなったらすぐに逃げれば何とかなるでしょ。
気にせずに進むとしばらくすると靴がバシャッと音を立てたので水場に出たのかと気づく。でも、明かりはこの辺りにもないのでうっかり水場に入ってしまわないように足を戻した。
ここに来るまでに魔獣は現れなかった。
もしかしたらあたしをここに置いてくだけ置いてまたどこかへと行ってしまった?
もしくはあたしが暗闇の中右往左往してるのを嘲笑ってるとか? よく分からないけどここまで無事だったのならもしかしたらこの先も大丈夫なのかもしれない。
それなら明かりをつけても平気なんじゃないかって追い払ったはずの悪魔が再び囁いてくる。
しばらくそのまま迷ったけど生き物の気配はしないので種を取り出そうとしたけれど、それより先に一人旅をしていた時のランプを手探りで探り当てラッキーってなった。
異能はすぐに消えちゃうけど、これなら長く火がつく。
さっそく火を付けて辺りを確認する。さっきまで暗闇に慣れてたから目がパシパシするけどすぐに慣れるだろうと、それよりもまわりを確認することの方が大事だ。
小さな水場だと思ったらかなり広い。大きめの池ぐらいとかそれより大きいか。これ全体を歩こうと思ったら結構時間が掛かりそうなので水場は後で考えよう。
あたしが歩いて来たのはどこだろ? というか、上はと思ったけどどこかの洞窟みたいで上は真っ暗でかなり高い。
上からも出られそうにない。
ならばあたしが歩いて来たところをと振り返ってみたけどのっぺりとした岩壁にいくつもの穴が空いていてどこから歩いて来たか分からない。こんなことならもっと早くに明かりをつければよかったと後悔する。
あの穴の1つ1つをしらみ潰しに探して外に出られる場所を探しに行かないといけない訳? ああ、もう面倒臭いな!
「何であたしがこんなところに居ないといけないのよ!」




