74ノヴァ視点
「あれ? トール様は?」
「あたくしは見ていませんわ」
おかしいな。リュリュのところに行くって言ってたからてっきりこっちで一緒に飯でも食っているかと思ったのに。いないのか。
アマンダと喋っていたら神官と騎士の二人が立ち上がって行ってしまった。
「邪魔しちまったか?」
「違いますわ。彼らには用があっただけですから気にする必要はありません」
アマンダは独特な言葉遣いで気の強さならリュリュに負けないんだが、俺は嫌いではないので勇者一行の中でならこいつとならわりと喋れる。
「そうか」
じゃあ、気にする必要はないな。それにしても、トール様はどこに行ったんだ? トール様にそろそろ薬飲ませないとクミンが怒ってくるからな。あいつ怒らせたら面倒なんだよな。
「あ、あの……」
カナリア。勇者の仲間でいつもおどおどしたようにアマンダの後ろに隠れてる女の子だけど何か好きになれなくてトール様もクミンやシルシュも相手にしてないから別に俺が嫌いでもいいかなって思っている子だ。
今も俺がいるのが嫌なのか何度もこちらを見てくるからアマンダにリュリュの居場所だけでも聞こうかと思ってたけど、こうも邪険に扱われるとなぁ。
「じゃあ、俺は行くんで」
「あら、そうですの?」
「ああ、トール様探すんだったらリュリュ探した方が早いから」
リュリュはこいつらのこと嫌って大概離れた場所にいるけど、こいつら側から声を掛けに行くこともあるけど、大概声を荒げて、俺らってかトール様のとこに来てる。
あの二人両方ともはっきり言わないけど、かなりいい雰囲気だよな。ちょうどいい当て馬になりそうな勇者もいるし。いつくっついてもいい感じなんだよな。俺もちょっかいかけてみるか? いや、リュリュの性格を考えるとちょっかいかけすぎるど怒ってきそうだからここは見守っとくべきか。
じゃあなとアマンダに声を掛けてから離れる。
カナリアのあれ計算なのかね? 計算だとしたら怖いし、計算じゃなくても鬱陶しいわ。
何でアマンダはあれが平気なんだろ。同性だから? 今度聞いてみるか。
「はっ?! 聖女がどっか消えたですって?!」
「?!」
な、何だ? いきなりアマンダが声を荒げるからびっくりして振り返ると他の客もちらほらとアマンダたちを見ていたので二人のところに戻る。
「どうした? お前たちが騒ぐから他の客が気にしているぞ」
「え? ああ、申し訳ありませんわ」
アマンダに声を掛けるとアマンダはまわりを見回すと何人かの人はこちらから視線を反らした。それでも視線をこっちにやる奴には俺が睨み付ければそそくさと視線を反らした。
「あたしのせいなんです。リュリュさんに酷いこと言っちゃって……」
「何を言ったのか分かりませんが、それは後で謝ればいいのですから今は聖女を探すべきですわ」
さっきより声を落としたアマンダはリュリュを探すべきだと言うが、あいつはは隙あらばこいつらから逃げようとしていたからなぁ。
「シルシュとクミンにも言ってくる。さっきの奴らにはお前から言っといてくれ」
トール様を探しに来たってのに。リュリュは世話がかかるな。
「それが……」
「何だ?」
アマンダ曰くあいつらは所用がありしばらくは離れて行動するらしい。
呼び戻せば? と思ったがどうやら魔法を使っての移動のためにどうしようもないとのこと。
「なら、お前ら二人も探せ……ああ、どっちかがここに残って連絡役してくれ。見つからなくても定期的に戻ってくるから」
「は、はい!」
「それでいいな」
「ええ、あたくしもセルジオとモンスパルが戻れないかやれるだけのことは致しますわ……クロッチェもそろそろ合流出来るはずですから」
クロッチェ? ああ、そういえば勇者にはまだもう一人仲間が居るんだっけか。そいつも探してくれるのならありがたいが、そいつが来るまでに見つかるんじゃないのか?
まあ、どっちでもいいが俺らはトール様も探さないといけないんだがなぁ。




