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嫌です。無理です。さようなら ~聖女と呼ばれたけど関わりたくないのです。~  作者: こま
仕方がないからあたしがやる! でも勇者お前は許さない!
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「すみませんが私はしばらく別行動をさせていただきます」

「何故ですの?」

「聖女様が見つかったので神殿に報告に」

「お、それなら俺も国に報告に行きたいから一緒に行くわ」

「分かりましたわ。では、これを」


 アマンダが何かの紙を渡していた。


 宿の食堂であたしは食べ終わったから部屋に戻ってちょっと休憩しようかなって時だったから興味があった訳でもなく暇だったので聞いてみた。


「それ何?」

「移動用の魔法陣ですわ」

「へぇ。そんなのあるんだ」


 そんなのがあるのならあたしも使えないかな?


「あなたには無理ですわ」

「何でよ!」


 小馬鹿にしたような言い方にムッとして言い返す。 


「これに使う魔力はかなり大量に使いますの。ですから無理なのですわ」


 なるほど異能しか使えないあたしじゃ無理な訳だ。


「じゃあ、他の誰かにやってもらえば使えるの?」

「……まあ、そうですけど。ですが、あなたに逃げられたらあたくしたちが困りますから渡すつもりはありませんわよ」

「あっそ」


 何となくそんな気はしてたけど、やっぱり無理か。


 そういえば聞いたことないけど、トールたちは魔法使えるのかな?  


「リュリュ様が移動なさりたいのならば我々が魔法陣を起動させますのでどこか行きたいところとかありますか?」


 気になったから聞いて来ようかな。


 勇者が何か言ってたけど、それを無視してトールたちのところに行く。


 そりゃ、行きたいところは沢山あるけど、あんたたちと一緒じゃ嬉しくないんだもの。こうやって大人数で移動することになって気付いた。あたしやっぱり一人で行動する方が好きだ。


 あれこれ口出しされるの嫌だし、アマンダはあたしが逃げ出さないようにって監視してくるしで全然自由がなくてつまらない。


 そりゃ、一人で旅をしていた時は誰か一緒に行動してくれないかって思ってたけどそれは勇者一行ではないし、こういうのは期待してなかった。もっとわいわいと楽しい旅を期待してたんだあたしは。


「あのー」


 トールたちのところに行こうとしていたらカナリアさんに声を掛けられた。 


 そういえばこの子はどうして勇者たちの仲間になったんだろうか?


「何か?」

「リュリュさんとあんまり話す機会がなかったのでお話したいんですけど大丈夫ですか?」

「んー。いいけど」


 トールたちは離れた場所にいるし。そういえばトールたちも勇者たちとあんまり一緒に居ないけどあっちもどうして勇者と一緒に行動しているか謎なのよね。


 トールに聞いてみてもはぐらかすし、三人はトールが決めたのならって感じだから聞いても意味がないっていうか。


「よかった。リュリュさんに声を掛けようかなって思っててもいつもその、何ていうか、リュリュさん機嫌が、その、あんまりよくないって言うか……」

「あー、それはごめん」


 カナリアさんは悪くない。


 あたしの機嫌ずっと悪かったし、アマンダが鬱陶しかったし、勇者が嫌い過ぎたからね。仕方ないよ。


 カナリアさんは悪くない。


「えっと、それであたしに話したかったことって?」


 あの宝玉のことは再会してわりとすぐに伝えたから別に用はないと思うけどんだけど。


「あの、せっかく一緒に旅をしているから仲良くなりたかったんです。ダメですか?」

「ううん。ダメじゃない!」


 カナリアさんが上目遣いに見上げてくるから思わずあたしの心の中のおっさんが目覚めかけたけど、あたしの前世っておっさんだったかしら? いえ、女だったはず。レース編みとかしていたもの。


 じゃあ、何だろこの気持ちは。女性しか入れない歌劇にハマっちゃった人みたいな?


 そんな感じかなと決めつけて、トールたちのところに行くのはまた今度にした。


「あの、リュリュさんは勇者様たちのことどうしてそこまで嫌うんですか?」

「あたしの日常を壊したから」

「でも、リュリュさんもみんなの日常壊してますよね」

「は?! あたしが?! いつ?!」

「だってリュリュさんが逃げなければ魔王の封印はすぐに終わって今こんな風になかったはずですし」

「それは……」


 そう言われるとそうなのかな? って思うようになってくる。アマンダも騎士もずっと同じようなことを言ってくるし。


「リュリュさんが逃げなければ沢山の人が傷付かずに済みましたよね。砦で怪我人の治療に当たってたリュリュさんも見たはずです。あの方たちはリュリュさんが逃げたからあんな風になったんです。リュリュさんだって沢山の人の日常を壊したんです」

「……」

「最近勇者様と一緒に行動することになったあたしが口を出すのは間違ってるかもしれませんがもうやめませんか? リュリュさんが勇者様と仲が悪いとみんな困っているみたいだし」

「……なら、あんたが聖女でもなんでもしたら?」

「え?」

「え? じゃなくてあんたが聖女やるの。元々あたしは聖女なんてやりたくないって言ってたんだし、カナリアさんは勇者と仲良くしたいんでしょ。それに魔族がやらかしたことをあたしのせいにして何様のつもり? 神様にでもなったつもりなの?」

「あたしはそんなつもりは……」


 カナリアさん。いや、カナリアはあたしに向かって手を伸ばしてきたのでさっと避けた。


「じゃあ、どんなつもりで言ったの? あたしだけ悪者にして自分は正義の味方ですってやりたいだけじゃない! 気持ち悪い偽善者!」

「リュリュさん落ちついてください。あたしはそんなことが言いたかった訳じゃなくて……言い過ぎました」

「聞きたくないわ!」

「待ってください!!」


 カナリアが何か言ってたけどあたしはその場から逃げ出した。


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