表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/431

7

「……あれ?」


 ベリーを食べたあといつの間にか寝ちゃっていたみたい。


 起きた時はびっくりした。ていうか、いつの間にか朝になっていたことにもびっくりした。いくら疲れてたからって森の中で無警戒で爆睡とか流石にあり得ないでしょ。旅人としてもうら若き乙女としても。


「よかった。熊とか出なかったみたいね」


 自分の体を改めて見ても、昨日熊から逃げる時に出来た擦り傷ぐらいしかなくてホッとする。


 ただ地面に転がってたから身体中バキバキだし、冷えきっていてちょっと寒い。まだ春先だから風邪でも引いたらたまったもんじゃない。着替えなきゃ!


 と、そこまで考えたところで、そういえば着替えもせずに寝こけてしまったと日の下で自分の服を見ればやっぱりかなり酷かった。


 葉っぱが至るところについてたり枯れた小枝がいくつか刺さっていたりしてるし、破けてる場所は一ヶ所や二ヶ所どころじゃない。これで荷物が無事だったのが奇跡的だと荷物を降ろせば鞄にもいくつか小枝が刺さっていたし、自慢の髪も縺れて酷い有り様だった。


「中身は大丈夫かしら?」


 裁縫道具なんて持って来てないわよとぶつくさ荷物を漁ってみると、鍋を突っ込んでたお陰か鍋に枝先が折れて入ってていくつかの服は無事でホッとした。


 でも、ダメになった服もある。これは捨てないといけないけど、こんなところにまとめて捨てたら変に思われるかも? 焚き付けに使えないかしら?


 そうじゃなかった! それで、櫛は入れてたかしら? あら? ないわ。どっかで落とした?


「そういえばあたしに浄化の力があるって言ってたわよね。その力で綺麗に出来ないかしら?」


 ファンタジーとか見てると服やら体の汚れを綺麗に出来る場合もあったようなと考えながら綺麗に出来ないかと考えてみたが、全くもってやり方が分からない。


 魔物を倒した時だけ発動する力なのかしら? それともやっぱり神官を頼らないといけないの? 神官はどこに行ったら会えるのかしら?


 魔物をだった場合だと魔物を殺してみないと分からないからあれこれ考えても無駄なような。じゃあ、手っ取り早く魔物を探す? いや、待てあたし戦えないだろ。早まるな。


「それとも騙された?」


 王都に行かない腹いせに無謀な旅に連れてかれそうになったとか? そりゃこの異能があれば食料調達とかは楽になるだろう、だけどそんなことで豊穣の力を持つ異能力者を危険な旅に同行させるかしら?


 この異能を持っている者は少ない。その為囲っておきたいって考える人間は多い。それは他の国でもそうだし、あたしの他に四人もいる豊穣の力を持つ者を囲っているこの国だって同じこと。


 あたしが今まで村で暮らせていたのは奇跡的なことよ。だけど、あたしが今まで拒否してたのを快く思わない人間もいるはず。素直に従わないなら──


 ……やめよう。これ以上考えてもロクなこと考えなさそうだ。この件は保留だ保留。


「それよりこれからどこに行くか考えないとね」


 とりあえずこの国にいるのは危険かもしれないから他の国に行こうかな。


 行ったとしても異能は隠しとかないとあっという間に噂になってしまうから異能を使う時は他に人がいない時とか、どうしてもお金が必要な時にしとこう。どうせ日雇いの仕事なんてどこにでもあるはずだし。


「どこの国にしようかな」


 近くの国にする? いや、やっばり遠くの国がいい。海の近くとか他の大陸とか! 前世の知識さえあればどこでだって生きていけるわ!


 そうと決めたら先ずは一番近くの村か町を探して国境まで行かなくちゃ!


 これからのことを考えるとうっきうきした気分になる。今までのこととか一部の思い出したくないこととかは一切考えない。


 うきうきした気分のまま荷物を片付けて歩き出した。まずは人のいるところを探して自分がどこを歩いてるか教えてもらわなくちゃ!


ブクマ、評価、いいねありがとうございます(。・x・)ゞ♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ