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「及第点には程遠いけど、まあいいや」

「な、なんですって……」


 肩で息をして睨んでくる勇者の仲間に心の中であっかんべーをしてからタクランさんに貰った今日植える分の種を蒔く。


 勇者の仲間が耕した場所は今日は寝かせて明日やる。


 んで、異能を使ってばばっと育てる。


「す、すごいですわ。一瞬でここまで……」

「驚くのはいいんですけど、収穫はして」


 ここの侍女さんたちや兵士の皆さんも収穫してるんだし、勇者の仲間なんだから体力あるでしょ? と言って剪定用のハサミを渡してあたしは移動する。


「ちょ、待ちなさいよ! どこに行くっていいますの?!」

「は? まだあっちの木何もないから育てて収穫するの。それが終わったらまたこっちで野菜育てて収穫して」


 元々土壌が豊かな土地だからか収穫出来る量は多いけど、村にいた頃はこれの三倍は作っていたわよ?


 そう言ってやれば唖然とした顔をしてたけど何か変なこと言ったかな?


「能力が高いと聞いてましたがまさかここまでとは……もしかしてあなた! あなたカナリアに会う前に洞窟に行ったとおっしゃってましたわよね」

「なんで知ってんの?」


 カナリアさん喋っちゃった? あ、そういえばカナリアさんにクマに入っていた奴が魔王の力の欠片で大変物騒な物だったって言うの忘れてた。


「カナリアさんってまた来るの?」

「え? えぇ……そうじゃなくて」

「まだ何かあるの?」


 こんだけ立ってるだけだったら休憩しているのと変わらないんだけど。


「ありますわ!」

「……仕事したいんだけど」


 長くなりそうな話の気配にどうしたものかと頭を抱えそうになる。


 最初に会った時とは違って今回は手伝ってくれるって言うし話が通じるかと思って話してただけなんだけど。あと、こうやって話してる間も魔族は外をうろついているんだけど。


「少しだけですわ。あなたカナリアのお話では洞窟に行ったんですわよね」

「ああ、うん」


 あの時の物はまだ少し残っているがほとんどカナリアさんのところで売っちゃったのよね。残りもその内換金しようと思って忘れてた。


「あの洞窟あたくしたちも行きましたわ」

「何もなかったでしょ」


 売れそうな物はあたしがかっぱらってきちゃったし。


「いいえ。ありましたわ沢山の植物が。あれあなたの仕業ですわよね? どれぐらいでしましたの?」

「あ、そういえばそのままだった」


 枯らして種を貰っておけばよかった。


「えっと、種を適当にばら蒔いて割りとすぐ?」


 あれで魔族を全員殺れたのはよかった。


 一匹でも仕留めそこなっていたら今ここにあたしは居なかったかもしれないんだから。


「それが?」

「……あなたそれだけの能力があれば王族との婚姻だとてあり得たでしょうにどうして」

「どうしてって言われても村から出たくなかったから」

「でも、今はこうして村を出ているじゃありませんの」

「そう言われると……でも、危険な旅なんでしょ? あたしは村で平和に暮らしたかったの」


 頬をかきながらどう言えばいいんだろと迷いながら言葉を紡いでく。


「今だってこんなに危ないのにそれをたった七人でって言われたら嫌じゃない」

「それは……ですが、あたくしたちが居ますわ。それにあの勇者ならばあなたを危険に晒すようなことは絶対にいたしません!」

「そんなの分からないじゃん。人生何があるか分からないんだし、そうやって簡単に言える方が信用ならないよ」


 現に前世のあたしが死んで今世のあたしがいる。


 人生何があるか分からないのに絶対とか言うような奴は信じる方が損だ。


「そんなことありませんわ!」

「そうです。あなた様を危険になんか晒したりしません」

「え?」

「遅くなりましたが迎えに来ました」


 急に割って入った声は今世ではもう二度と聞きたくなかった声をしていた。


 最悪。さっさと逃げておけばよかった。

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