64カナリア視点2
「へぇ、あなたが聖女様なんですの」
「あ、あの……」
「カナリアあなたは黙ってらっしゃい」
あの旅人さん、リュリュさん。
先程からアマンダさんの方を見ようともしないでさっきアマンダさんに殴られた頬を押さえて床にしゃがみこんだまま俯いている。
食堂に入った時に雰囲気が少し変わっていたけどあの旅人だと分かったので声を上げるとアマンダさんがそれを察し、リュリュさんも気付いたらしく席を外そうとしたのでアマンダさんがリュリュさんに殴り掛かった。
ここの領主様のタクラン様にはアマンダさんが暴れた時点で席を外してもらっているのであたしとリュリュさんとアマンダさんの三人しか今は居ない。
「あなたが居ないお陰であたくしたちが散々苦労しましたのよ。見てみなさいあなたが役目を放棄したお陰でこの街だって魔族に襲われてますのよ! ここだけじゃなく沢山の国や街、あなたの故郷ですら襲われてますのよ! 黙ってないで何とか言いなさい!!」
「……じゃないの」
「え?」
「なんですの聞こえませんわ」
アマンダさんがリュリュさんに近付く。あたしも何を言ったのか気になったので。
「どうしてあたしがそんなことしないといけないのよ! あたしは村からも出たくないって散々言ってたのよ! 大体これあたしのせいじゃなくて魔族のせいじゃないの!! 魔族が襲ってこなかったらこんな風になってなかったわよ! あたしのせいにしないでよ!!」
呆気。
アマンダさんもびっくりして珍しく口を開けてポカンとしている。
リュリュさんは勢いよく立ち上がると「あたし知らない! やりたいならあんたたちがすればいい!」とこれまた勢いよく食堂を出て行った。
「……カナリア」
「あ、はい!」
「今、あの方は何て言いましたの?」
「いえ、あたしには……」
リュリュさん戻ってきて。
「そうですわよね。とりあえず……カナリアは一度戻って勇者たちにあの方を見つけたとご連絡をしてくださいな」
「はい、アマンダさんは?」
さっきリュリュさんと殴っていたし、二人がまた言い合いになったらどうするんだろ。
「あの方の説得とここの魔族を蹴散らすことをしなくては。あたくしたちだけでは魔族は殺せませんが追い払うことはできますでしょ。ここは被害も大きいみたいですし、火力だけならあたくしその辺の方には負けませんもの」
「それは……そうですけど」
「問題ありませんわ。何があっても聖女を引きずり出してやりますわ」
それが心配なんですけど。
さっきの見ていると二人の性格合わない気がしてならないんだけど……。
それにリュリュさん怪我してるみたいだったし、あんまり無茶しないといいんだけど。
戻って来た時にお屋敷が破壊されてないことを祈りながらあたしはお屋敷を後にした。




