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 走って走って死にもの狂いで追ってくる魔族からあたしは逃げた。


 どこもかしこも魔族と戦っていて最初の襲撃なんかよりもよっぽど酷い。


 今まで手加減していたのか伝令に兵が出て手薄になったタイミングを狙ったのか……。


 そうだったとしても数が多過ぎる。


「ひっ!」


 そう思って街を見ようと窓から外を見れば瓦礫の山に怒号に悲鳴。


 空には数え切れないぐらいの魔族。そこから視線を下に向けて見るんじゃなかったと後悔。


 最近は街に帰る人も多かった。魔族にやられたと思わしき死体から極力目を反らして様子を見ようとするがどこもかしこも似たり寄ったりな状況に目眩がする。


 これどこに逃げても危ないんじゃ?


 うっすらそんなことを思い始めたけど、そんなこと考えたって魔族の攻撃は止む訳じゃないし逃げ場所が増える訳でもない。


「あ、そうだ!」


 逃げ場所で思い出した。


 薬草園!


 あそこなら結界が張ってあるって言ってたわ。


 兵士はどうせ戦っていて助けてくれるか分からない。それならばより安全そうな場所に逃げた方がいい。


「きゃ!」


 進路変更しようとしたらすぐ横を魔族の腕。


 えぐれた石壁にゾッとしながら逃げる。


 こちとりゃ勇者と熊から逃げ切った女よ。魔族から逃げ切れない訳がないわ!


 内心で自分を鼓舞して魔族から逃げる。もちろん障害になりそうな物を魔族に投げつけたりしながら走ればさっきよりは距離が出来た。


 あたしだけなら木とか生やして逃げればもっといい障害になったんだけど、他にも沢山人がいるからどうしようもなくなった時以外やりたくない。


 だからその辺にある花瓶とか投げつけてるんだけど後で弁償しろとか言わないでね。


「リュリュ!」

「ミランダ! 無事だったの?!」


 角から現れたミランダに思わず足を止めて声を掛けた。


「うん、今のところはね。リュリュは?」

「ごめんあたし魔族に追われてる……」


 ゼーハー言いながらそう言うとミランダがバッとあたしの後ろを覗き顔を青ざめる。


「走って!」

「うわぁああ!」


 どっちの悲鳴だったのか分からない。もしかしたら両方が上げた声だったのかもしれないがあたしたちはとにかく走った。


「薬草園! 薬草園に逃げ込もう!!」

「ちょ、待って!」


 ミランダの足が思ったより遅い。こんなんじゃすぐに追い付かれてしまう。


 だけど、ここでミランダを見捨てて逃げたら後から恨まれるだろう。


 だからさっきと同じようにあっちこっちにあるものを投げつけてる。


「ちょ、それ大丈夫なの?」

「緊急事態」


 短く答えてまた投げた。


 他にも無事らしき人には薬草園に逃げるように声を掛けながら走ってもうすぐ着くというところで転んだ。


「いたっ」

「リュリュ! 大丈夫?」

「うん」


 返事をして立ち上がろうとすると近くで爆発音。


 音のした方を見ればさっきのガーゴイルみたいな魔族。


「……しつこい!」


 こいつもしかしてあたしたちが逃げ惑ってる姿を嘲笑ってるんじゃなかろうか?


 だって爆発はするけどそれに巻き込まれて怪我をしたとかはないし。


 そうよ。魔族って勇者が必要なぐらい強いんでしょ? 魔族がその辺の花瓶とか投げつけたくらいで足止めになる訳がない。


 そう思ったら何か段々とムカついてきた。


「ミランダ先行ってて」

「え? リュリュはどうすんのよ」

「こいつさっきからあたしのこと追っかけ回してる。このまま薬草園に行ってもこいつも連れてくことになる。そうしたら他に避難してきた人の邪魔になるかも」

「そんな……だったら誰か呼んで倒してもらった方が……」

「っくる!」

「えっ、きゃ!」


 攻撃はしてくるけど、あたしたちがかわせるぐらいの攻撃にあたしはやっぱりと確信する。


「こんなんで呼べると思う? とにかくあたしがこいつ引き付けるから!」

「えっリュリュ待って!」


 人気のないところなら異能使って浄化してしまえ!


 そうよ。生きたまま浄化出来るか試してみたかったし、ちょうどいい。


 ミランダを置いてだっと走ればガーゴイルみたいな魔族はあたしの方に着いてきた。


「しつこい奴は男でも女でも嫌われるっての!」


 魔族に性別うんぬん関係ないかもだけど思わずに言わずにいられないわよ! 何であたしばっかり追いかけてくんのよ! いい加減どっか行きなさいよ!!


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