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 煤だらけの人は今は夜だと言った。


 魔族が攻めて来たのは昼前だったから結構な時間が過ぎている。


 街はまだ兵たちが頑張って戦ってはいるがいつまで保つか分からない、ここは今のところ安全だそう。


 魔族も休息は必要なのか夜になったら攻撃が減ったのでここまで来れたらしい。


 この人は兵たちの伝令役でこの避難所に戦える人や戦っている兵たちの治療をしてくれる人を募集しに来たとのこと。


 話を聞いていてそれって大丈夫なの? と思った。


 避難してる人たちって兵みたいに戦えそうな人は居るかと言われたら殆どの人が着の身着のままな人が殆どなのに。


 それでも治療なんかの後方にぱらぱらと手を上げる人がいた。


 その中にはあたしもいる。


 何でかって?


 ここでありったけの薬草を出したから手持ちがない。ここで作ろうにも人目がありすぎるが、外ならば隙があるはずだし、治療する人の側には兵が守るために着いていてくれるらしいから魔族がきたとしても助けてもらえるだろう。


 まあ、危なくなったら逃げるけど。


 自分の安全が第一だし、伝令役の人もそれでいいと言ってくれたから安心だ。


 技術はないかもしれないが、薬草を作るのだけは誰よりも速くて質がいいのが出来ます。


 あたしの他には四人いた。


 その中にはここに来た時に一緒にいたおじさんを治療してくれた人もいてここの治療はいいの? と気になってしまった。


 伝令役の人は戦闘員を欲しがっていたみたいだったけど、そちらは誰も手を上げなかったので残念そうだった。


「……静かに行こう。今は魔族が居ないが何かあるか分からないから充分に気をつけるように」


 伝令役の人に続いて外に出る。


 夜風が頬を撫でるがその風は煙臭い。


 街の様子は暗くてあまり見えないが、あまりよくはなさそうだ。


「行くぞ」


 伝令役の人の声を頼りに歩いて行く。


 行きは無我夢中だったし、怪我人も居たからここまでどれくらいの時間で来れたのか分からないけどそんなに離れてなかったはずだ。


 だけど、瓦礫とかあって歩きにくい。


 たった1日でこんな風になってしまうのなら明日以降はどうなる?


 魔族が別のところに行ってくれるのならいいけどどうなるんだろ。


「わっ!」


 後ろから短く声が聞こえて振り向くとすぐ後ろを歩いていた人が体勢を崩してこちらに転びそうになってるじゃないの!


 一緒に転びたくはないので慌てて受け止める。


 ふんわりと豊かに波打つ金色の髪はゴージャスで一重の鳶色の瞳がミステリアスで綺麗だ。見た感じあたしより少し年上ぐらいかな?


「ありがと……あたしはミランダ」

「あたしはリュリュよ」


 そういえば今まで本名名乗ってたけど、これからは偽名を名乗ったら方がいいかな? 面倒だな。これはまた今度考えよう。


「リュリュ? 可愛い名前ね」

「ありがとう。あ、置いてかれちゃうわ。急ぎましょ」


 今、置いてかれるとマズい。


 暗いから置いてかれたら迷子になっちゃうし、魔族に出くわしでもしたら最悪だ。


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