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おじさんの案内でやってきた避難所は人でいっぱいだった。
おじさんみたいに怪我をしている人も沢山いて悲鳴やうめき声なんかも聞こえてくるし、すすり泣く声や家族を探す声なんかも聞こえてきて胸が痛む。
「あの、どうして魔族が襲ってきたんですか?!」
「ごめんなさい。今忙しいので!」
この避難所のスタッフらしき人が近くを通ったので意を決して聞いてみたものの、素っ気ない返事だけを残してすぐに姿が見えなくなってしまった。
この避難所が襲撃される可能性はないのかとか色々聞きたかったのに。
とりあえずおじさんもだけど今出せるだけの薬草を使ってくださいと治療に当たっている人たちに渡してきた。
ここのやり方とかあるだろうし、いきなり手渡しは不審かなとは思ったものの、こんな状況なんだから出した方がいいに決まっていると渡した。
最初は困惑してたけど最後はお礼を言ってくれていたから多分よかったんだよね。
もし、まだ足りなかったらどこかで育てようかな? あるかな場所。
とりあえず薬草を渡すという仕事を終えてどこかで休める場所をと探すが座れそうな場所はとっくに誰かが座っていてあたしみたいに後から来た人たちは壁の方で立っているしかない状況だ。
座ってる人たちももう少し詰めて欲しいけど今はみんな憔悴してるみたいだし、仕方なく立っている。
避難所は街の外れにあった石でできた遺跡を使っているとここにくるときに一緒にいたおじさんが言っていた。
遺跡は大きな岩をくりぬいたのか年月が経って遺跡の上に降り積もった落ち葉が腐葉土となって埋まってしまったのか入り口の一部しか地上からは見えない。
入り口を塞いでしまえばここに人間が居るだなんて魔族も気付かないだろう。
「ん?」
そんなことを考えていると先ほどより若干人が少ないような気がする。
まだ奥があるのだろうか?
それならばその内座れるようになるかもしれないと考えながらボーッと待っている。
聞くともなしにここに集まっている人たちの声に耳を傾けていると「魔族」「どうして」「一斉攻撃」「魔王」「他の地もやられてるんじゃ」だの段々と物騒になっていくので耳を傾けるのをやめた。
いつまでこうしてなきゃいけないのか分からないけど、ああいうのは耳に入れると精神衛生的によくない。最悪パニックになった人たちに押し潰される可能性だってあるんだ人との距離は取れるだけ取っておかなきゃ。入ってきた順番なのかあたしは入り口からそう離れてない場所に立っているんだし。
そういえばあたしたちを助けてくれたあの鎧の人はどうなったんだろ?
まだ鎧姿の人は現れてないからまだ戦っているのかやられているのかのどっちかなんだろう。
あの人がどうなったか気になるけどあたしが行ったところで邪魔になるだけだ。
「いたっ」
手を見るといつの間にか切り傷や擦り傷が出来ていた。逃げてる時は気付かなかったけど体のあちこちに傷が出来てるし、着ていた服もあちこち擦りきれたり、汚れてしまっている。
とりあえず傷の手当てをと思ったけど、あたしより重症の人はいっぱいいるし、薬草を渡す時も手当てをと言われなかったからこれぐらいならほっといても平気ってことなんでしょうね。痛いけど。
せっかく温泉に入りにきたのに魔族のせいで……。
着替えたいけど着替えられそうな場所はない。
ああ、本当いつまでここに居なくちゃいけないのかしら?
ちょっと外を覗くぐらいならいいかしら?
新たにここに入ってくる人は段々と減っていっているみたいで出入口付近には人は居ない。
誰も近付きたくはないのか出入口付近だけはぽっかりと空いている。
ちょっとだけならいいよね?
そろりそろりと出入口に向かう。
行っちゃだめとかはないんだけど気分的にね。
「!」
もうちょっとで出入口から外が見えそうだと思ったところで鎧姿の人が現れてびっくりした。
鎧の人はさっき見た時より薄汚れている。というか、小脇に何か抱えている?
「すみません。この子お願いします」
「へ? ちょっと!」
くぐもっていたけど女の人の声だった。
彼女から渡されたものはずっしりと重い。
何だろ? と思ったら小さな子どもだった。




