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襲われていたのは40代くらいの男性だった。
男性は魔族に押し潰されて今にも押し潰されて死にそうだ。
「おじさん大丈夫?!」
とっさに近くの木を成長させ、男性と魔族の距離を無理やり取らせる。
「げほっ……ああ、くそっ」
「……っ」
おじさんの方を見れば片腕が喰いちぎられてる。
無理やり距離を取ったとはいえ、まだ近くに魔族はいる。どうにかして逃げなきゃ。
「な、なぁ今のあんたがやったのか?」
「違う。近くの誰かじゃない? それよりも逃げなくちゃ」
ギクリとしたがこんな時でも保身は大事だ。魔族にやられていたおじさんに返事をしながら鞄から適当な服を引っ張り出す。
あ、これ玲琴様にいただいた服だけと今はそんなこと言ってる場合しゃない。おじさんの腕を止血するのに千切ったりする。
「走れる?」
「……喰われたくはないからな。走るさ」
「それならよかった。あたしここ来たばっかりでよければ避難所まで案内してくれる?」
「……頼りない助っ人だ」
きた。
距離を取らされた魔族が怒りからか奇声を上げて突っ込んでこようとしている。
異能はあたしじゃないって言った手前魔族とあたしたちの間に木を生やして邪魔をするって手は出来たら使いたくはないんだけどそうも言ってられそうにない。
「大丈夫ですか!?」
「え? 何?」
「ここは危ないから下がって!!」
鎧を着ている。ここを守っている兵士かしら?
でも、さっき見た時は顔は見える装備だったのに?
何者なんだろ? この街の兵士でいいのかしら? だけど異能を使わなくて済んでよかったわ。
おじさんが兵士? の姿にほっとして座り込みそうになっているけど安心するにはまだ早い。
この人が魔族を倒してくれるか分からないし、街中はどこもかしこも魔族だらけなんですもの。
どこか安全な場所に逃げられるまでは安心しちゃダメだ。
「おじさん早く逃げましょ!」
「いや、でも……」
おじさんの無事な方の腕を掴んで引っ張るがおじいちゃんはもごもご何か言ってる。
大方この鎧の人と一緒にいた方が安全だとか言いたいのだろうがこの人が魔族を倒してくれるって保証はないし、この人だってあたしたちが居ない方が戦いやすいだろうし、おじさんは早く怪我の手当てした方がいいんだから。
そんなことを言い返して無理やりおじさんを引っ張って移動すると鎧の人はさっきとは違ってすごい動きをしている。
やっぱりあたしたち邪魔だったじゃんとおじさんを睨むもおじさんはこっちを見ようともしない。
「さ、さあ、避難所はこっちのはずだ」
「……ゆっくりね。あたし戦えないし」
「俺もだよ」
おじさんの返事に鎧の人を頼りたくなった気持ちが分かって憂鬱な気持ちになりそう。
だけど、鎧の人を待ってる内に他の魔族まできたらただでさえ危ない状況なんだから逃げられる訳ない。
どうやったらあの魔族たちを退けられる?
異能がバレる覚悟でこの都市を覆うように木を生やす?
多分それでもしばらくしかもたないだろうし、火の魔法とか使われたら危な過ぎる。
ここは勇者のような存在にお任せするのが一番なんだろうと痛感させられてしまった。
あのしつこさは嫌いだったけど、こんな時はああいう存在は必要なのかもしれないと思いしらされた。




