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おじさんへのお土産を沢山買って港街に戻って来た。
一瞬トールたちに顔を見せに行こうかもと思ったけど、何となくやめた。
だって、玲鈴様怖いし。
服とか散々もらったから本当は直接お礼を言いに行った方がいいのだけど、騙し討ちのようにカケラのところに連れてかれたしで、いい印象がなくなってあたしにとっては警戒しなくちゃいけない人第二位になってしまった。
一位はもちろん勇者ね。
だから、この国を出るからと人づてに手紙を渡してもらうことにした。
この国に郵便事業みたいなのがあってよかった。
手紙と一緒に何か送ろうかと思ったけど中々良いものが見つからずに手紙だけにした。
「おい、聞いたか? この国一番の豪商の息子、この間戻って来たばっかなのにまた旅に出るんだって」
トールのこと?
興味がそそられたので噂話している人たちの話に耳をそば立てる。
「息子って体が弱くてずっと海外で暮らしてたって奴? また体の調子でも悪くなったのか?」
「いや、俺が聞いた話だと旅人が来て仲間になってくれって連れて行ったんだと」
「仲間って……足手まといだろ」
「そうだけどよ。あそこの女主人ってほら、祭司様の所の出だろ? あの息子にも何らかの不思議な力があるんだとか」
「不思議な力? 何だ?」
やっぱりトールのことだった。
あとトールのこと足手まといって言った奴ハゲろ!
それにしてもトールに不思議な力があるなんて知らなかった。
スキルとは違うのかな? トールに聞いておけばよかったかも。
まあ、あたしはそんなに一緒に居なかったから言う必要はなかったのだろう。
あたしに出来ることはトールの仲間になった人たちがいい人だといいなと願うだけだ。
「ふーん、それで俺らに金が降って来るってんならいいけどよ。俺らには関係ない話だろ」
「はは違いねぇ。酒でも飲むか?」
「いいねぇ。あそこにうまい店が出来たんだ。行くか?」
噂話を聞きながらトールの幸せを祈って船に乗る。
もう戻ることはないと思っていた大陸に戻るだなんて不思議な気分だ。
トールに貰った報酬はすでに換金してある。手数料は痛かったけど、ここに戻って来るかは微妙だから持ってても仕方ないもの。
玲鈴様に貰った服もまとめて古着屋に売ろうかと悩んだけど全然着てないし可愛いから残しておくことにした。
あとカツラをいくつか追加で買った。
ムレるのは嫌だけど意外と便利だし、また旅に出るのなら必要になるかもと思って色んな色を馬鹿みたいに買ったら店員さんがビックリしていた。
金に銀に緑だのお店の人はちょっと呆気に取られてたみたいだったけど、売ってくれた。こっちにはコスプレの文化はないみたいだから仕方ない。
危ない職業でもなくてちょっと勇者から逃げ惑っているただの民間人です。心の中で店員さんに言い訳をしつつお会計をして目ん玉飛び出すかと思った。
トールにもらった報酬の半分ぐらいは消えてしまったんだもんビックリしない方がおかしいわ。
船にだって乗るんだし、野宿は嫌だから宿にも泊まりたい。
もうちょっと節約するか、どっかにしばらく滞在して薬草を売らないとね。
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