40
「すみません、今よろしいでしょうか?」
「はい?」
観光をしていると声が掛かった。
振り替えるとどことなく見覚えのあるような……このローブ昨日の店にいた?
「あの」
「あたくしたち旅をしているんですの」
「はぁ……」
男の人の方の言葉を遮って女性の方のローブが独特の喋り方で厄介そう。
「この辺りで赤毛の女性を見ませんでした?」
「え」
赤毛? この国は黒髪の人しかいない。あたしのこと? 一瞬どきりとしたけどここは知らんぷりしとこう。
「アマンダびっくりしてるじゃないですか。すみません我々は隣の大陸からきた者なんですが、人を探しながら旅をしてるんです」
「ミテマセン」
あー。この人たちが勇者の仲間かぁ。じゃあ、昨日お店で見たのは勇者一行かぁ。
「ですがモンスパル……見てませんの?」
「ハイ」
「ですが、昨日夜にお店で見かけましたけれど、旅をしているみたいなことをおっしゃられていましたわよね」
わー。よく聞こえてましたね。あの席からかなり離れてると思ってましたが。
「ハイ。デモ見テマセン」
「やはりこんなところまで来てませんよ」
「ですがあの女を見つけない限りは……」
「それはそうですが、私たちにはやらなければならないことがあります。彼女を見つけるのは他の人たちに任せるほかありません」
勇者の仲間が居るなら当然勇者も居るんだろうな。
あたしを探していると言いながら別にすることがあるって言っちゃってるよこの人。
ついでに聖女が見つかればいいな。って感じで行動してるってこと?
よく気付かれなかった……いや、気付かれたからこうやってカマを掛けられているのか?
ああ、もう、分かんなくなってきた。早くどっか行って欲しい。
「あら、そうなのね。どういたします?」
「そうですね、あの、この町にはどれくらい居ます?」
「えっと、どうしてでしょうか?」
冷や汗止まんないから早く解放して!
「旅をしているのならこの周辺のこと詳しいですよね。我々はここに来たばかりで詳しくないのです。今、仲間の1人が慣れない船に船酔いになってしまいまして宿で寝ていて、彼の体調が戻り次第案内していただけたらと思って」
昨日お店で見たローブの集団はこの二人ともう二人。1つは小さめでもう1つは大きかった。
なら倒れているのは勇者?
よっしゃ! なら、あたしの顔は多分知られてないはず!
異能持ちで絶対王都には行かないって駄々こね続けてたからあたしの顔は有名じゃないはずだ。勝った!
「いえ、残念ですが。今日にでも旅に出るつもりで、今は馬車の時間まで観光してただけなので」
一瞬同行してどれだけあたしについて知っているか調べようかとも思ったけど余計なリスクは負いたくない。
「そうなのですね。それじゃあ、他に詳しい人知りませんか?」
「イエ」
「モンスパルこれ以上引き留めてちゃ悪いわ。行きましょう」
やった! 解放された! にこやかに挨拶して振り返らずにすぐそばの角を曲がる。
曲がり切ってからこっそりとさっきまで居た場所を見れば二人はまだ何事かを話してた。
「うーん」
しばらく彼らはこの町に居るそうだ。
逃げる? いや、ここまで追いかけてきたってことはどこかで見つかってしまう可能性が高い。それなら居なくなるまで宿で大人しくしていた方がいい。
さっき出るって言ってしまったから食糧を買って宿にでも籠ってしまえば問題ないでしょ。
あのクマたっぷり物が入るから沢山買ったとしても腐る心配はないんだし。
「市場に行きましょっと♪」
ささっと買って帰れば問題ない。
あの人たちがどれくらいここに居るのか分からないけど、10日分ぐらいの食料を買えば平気でしょ。
ブクマ、評価、いいねありがとうございます(。・x・)ゞ♪




