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「何ですって!」
びっくりして勇者の噂をしてる人たちの会話に耳を傍立てる。
ここまで追っかけてきた? ストーカー?
いや、きっと勇者のお仕事だ。あたしは関係ない。そうよ、あたしがここに居るなんて誰にも言ってないんだし勇者の仕事に決まってる。
でも勇者の仕事って何をするんだろ? と疑問に思ったところであの宝玉の存在を思い出してしまった。
あれだ。ならば玲琴様のお兄さんのところに行くはずだ。
それならば近い内にあたしの存在がバレてしまう。
噂話をしていた人たちはそれ以後は知らないみたいで話題は別に移ってしまって思わず役立ずと思ってしまった。
「仕事なら魔王よね」
いや、慌てて移動した先で出くわす可能性もなくはない。
勇者がどこかに行くのを待ってから移動した方がいいのかも。
「ああ、もう、何だってあいつら居るのよ!」
移動出来ないんだったらトールの家でまだのんびり出来たかもしんないのに!
いや、あっちにも行く可能性がある。もし、そうだったなら今のタイミングで出てきて正解だったかもしれない。
頭の中で無駄にキラキラした勇者と顔も知らない勇者の仲間たちを気の済むまでぼこぼこにしてから黒のショートのカツラがズレてないかチェック。
大丈夫。ズレてない。
「仕方ない。勇者の情報集めますか」
◇◇◇◇◇◇
「うーん」
夜まで勇者の目的を観光しながら探っていたが昼の噂話以上の物はなかった。
この国ではなくこの大陸の他の国に居るってことかな?
よく分かんなくて居酒屋的なお店に入って晩ごはんついでに情報を集めてるとこ。
「あ、おじさんお代わり」
「お、あんたよく食べるね」
「へへっ、ここの料理おいしいからさ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか! これはおまけだよ」
ラッキー! さっきの炙り焼きある! これおいしかったんだよね。
「ありがとう! ところで何か変わった噂ある?」
「変わった噂?」
「昼間勇者が来たって聞いたんだけど」
「勇者ぁ?」
「ゲホッ」
「ん?」
誰かあたしたちの会話聞いてたの? 辺りを見回すと遠くのテーブルで噎せてる人がいる。旅の人たちなのかテーブルの全員がフード付きローブを着て顔が分からないけど、ローブが結構汚れてるから長旅なんだろう。
かなり遠いしタイミングよく噎せただけみたい。
お店のおじさんは知らなかったみたいで特に収穫もなくおいしいご飯をたらふく食べただけになった。
「ぼうずしばらくここに居るのか?」
「うーん。迷ってるんだよね」
「お、どっか行くのか? 行くんだったらこの店紹介してくれよ」
「あはは。言われなくたってこんなにおいしいんだから紹介するさ」
「お、それならここは俺が出してやるよ!」
「やった!」
「おやじ、こっちも奢ってくれよ!」
「溜まってるツケ払ってくれたらな!」
「うげっ、そりゃまた今度!」
楽しいなトールの家も楽しかったけど、この店で食べるご飯もおいしいしとっても楽しい。
もし、旅が終わったらその時はまた来ようかな。
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