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今日は烏梅様と玲琴様とご一緒にお出掛け。
トールとの仲を取り持ってくれたお礼だとか。
でも、トール置いて来ちゃってよかったのかしらと思ったらけど、トールは長旅の影響もあってか体調を崩してしまったとかで家族水入らずのお出掛けはまた今度になるそう。後でお見舞いにでも行こう。
「そういえば聞くの忘れてたんですが今からどこに行くんですか?」
玲琴様だけならお買い物だと思うんだけど烏梅様まで一緒となるとまったく予想がつかない。
「あれ、言ってなかったかしら?」
「そういえば私も言うの忘れてたよ」
「先に私の実家に寄ってからリュリュちゃんと観光の予定よ。リュリュちゃんまだここ知らないところ多いでしょ? 今日は案内しようと思って」
言われてみればトールの屋敷に着いた時に馬車から見た景色と祭りでちょっと出掛けたぐらいしかなかったのでかなり嬉しいかも。
「楽しみにしてます」
そういえば玲琴様のお家って古くから続いているお家なんだっけ。あたし田舎育ちだから粗相があったらどうしようと思ったけど、別の大陸から来た人にそんなこと言う人はいないわよとおっしゃってくださったので多少は安心しておこう。
「それに、もしそんなことを言ってくるような奴がいたら私たちに言って頂戴ね」
「そうだな。そんな奴がいたら私たちを怒らせるとどうなるか分からせてあげればいいからね」
「……お手柔らかにお願いしますね」
本当に大丈夫かな? 頬がひきつりそうになるのを堪えて通り過ぎる町並みに早く到着してこの威圧感半端ない夫婦から解放して欲しいと願っていると次第に緑が多くなってきた。
観光もするのに町を出るの?
不思議に思ってお二人を見たけれど完全に二人の世界に入っていて割って入るのが恐ろしい。
そうやって恐怖の時間を過ごしている内にあっという間に森の中。
「あら、大丈夫なの?」
「へ?」
「すごいな。私も慣れるまでだいぶ掛かったというのに」
「やっぱりこのあたしが見こんだだけあるわ」
お二人の会話についていけないから説明して欲しいのにお二人は大盛り上がり。こんなときに説明してくれる人がいればと思うのにこの場には烏梅様と玲琴様とあたししかいない。
お二人といるとトールたちが恋しくなってくるわ。
「あの?」
意を決してお二人に声を掛ければ御者が到着したと声を掛けてきてタイミングが悪いと内心で毒づく。
「ああ、もうすぐ着くから話は後にしよう」
「はぁ」
何だか誤魔化されたような気分。
もやもやする気持ちを抑えていると、すぐに黒の瓦屋根の木造建築が見えてきた。
「うわぁ~」
森の中だから全貌は分からないけれど、正面から見ただけでも烏梅様の家の倍はありそう。これだけ大きな家なら烏梅様が玲琴様とご結婚なされるために頑張ったというのも納得出来る。これだけ大きい家なんだもん格式だとか何だかうるさそうだもん。
愛がなければこんな大きな家の人だと分かった瞬間回れ右して逃げるか逆に利用され尽くされて今頃塵すら残らなくなってそうなんだもの。そう思うと烏梅様もなかなかの強かさを持っているわね。ここにいる間は出来るだけお二人の言うことを聞いておいた方が良さそう。
「リュリュちゃんこっちよ」
「は~い」
馬車を降りてから立派な庭や門の装飾を眺めていると玲琴様に呼ばれたので玲琴様の方を見ればいつの間にか3人ぐらい増えててびっくりしていると玲琴様にもう一度呼ばれたので慌てて烏梅様と玲琴様のところに駆けて行けばいつの間にかいた人たちがあたしに向かって頭を下げた。
「お嬢様と烏梅様、それからお客様のリュリュ様ですね。お嬢様からお話は伺っておりましたがこんなに可愛らしいお嬢さんだとは思いませんでした」
可愛い! 玲琴様以外の人からも言われた! 本当にこの大陸に来てよかった!!
「兄さまたちは?」
「奥で準備しております」
「分かったわ。それじゃあリュリュちゃん私たちも行きましょうか」
「は、はい」
可愛いって言われたことが嬉しくてニマニマしていたら呼ばれた。絶対変な顔してたと思うけど今の顔見られてないわよね?
◇◇◇◇◇◇
「ふうん。この子が?」
「ええ、そうなの可愛いでしょリュリュちゃんていうの」
「本来は一族の中でも一部の人間しか入れないんだが可愛い妹の頼みだからな」
「アリガトウゴザイマス」
玲琴様のお兄さまなだけあってかなりの美形なんだけど、かなりの上から目線に既に嫌いになりそう。
「着いてこい」
「ハイ」
烏梅様と玲琴様は着いて来ないらしくあたしだけがドナドナされる。
「あの、どこへ行くんでしょうか」
「…………」
無視。ハイハイやっぱり玲琴様のお兄さんだからといって好きにはなれないな。
こういう自分の方が上なんだから下の人間が従うのが当たり前みたいな人はよく王都から来てすぐに担当が変わってたな。
あの頃からこういうタイプは嫌いだったんなぁ。
「何も聞いてないのか?」
「えっと、はい」
いきなり喋り出したからびっくりしちゃったじゃない!
「そうか。この家が古い家だというのは?」
「それは聞きました。確か魔王に関係してるとか」
「それだけ知ってるのなら問題ない」
そこからはまた黙り。何か話をしてみようかと思ったけど、特に話題がある訳でもなく、嫌いなタイプだし、話をする必要はないや。
だけど、30分以上歩くのなら前もって教えて欲しかった!
角を曲がり、坂になってるところを登ったり下ったりと何度も繰り返してる内にどこをどう歩いてるのか全く分からずにただ玲琴様のお兄さんの背中を追いかけてる。
これ、1人で帰れって言われたら絶対に迷子になる自信あるわ。
置いてかれないように気をつけなくちゃ。
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