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トールの両親にお会いしました。ええ、ノヴァの言ってた通り二人共迫力のある美男美女で腰が引けましたよ。
この前部屋に乱入してきたおっさんについて謝られた時はこちらこそ何もしなくてすみませんでしたと謝りたくなった。
玲琴様は切れ長の一重が凛々しく、すっと通った綺麗な鼻筋に真っ赤な口紅と真っ赤な服がよく似合ってる黒髪の美女だ。もうすぐ四十になるそうだけど全くそうは見えない。
烏梅様はこちらは年相応なんだけど、迫力というか、貫禄がすんごくある。短い黒髪は清潔に整えられ太めの眉は凛々しく男らしさを感じさせる。マハリタはどちらといえば可愛らしいというような雰囲気だが、この二人は格好いいとしか言い様がない。
トールの将来もこうなるのかしら? だとしたらかなり優良物件なんじゃないの? お金持ちだし優しいし、顔も将来性があるし。
それはともかくとして、烏梅様が交易を始めそれが大成功すると今まで烏梅様に見向きもしなかった連中が連日押し掛けて来て迷惑しているらしい。
そんな時に産まれたのがトールでただでさえうるさかった連中が余計うるさくなり、仕方なく他の国に避難させていたけれど、ようやく静かになったと思ったのにと二人とも静かに怒っていたのであの蝿が成敗される日は近いだろう。
玲琴様も怒ってご実家の力を借りるとかおっしゃっていたので心配はいらないそう。
玲琴様のご実家は古くから光華国の神職を務めてらっしゃるとかで一瞬どきっとした。
あたしの浄化の力について分かるかも?
そんなことを考えたけど、玲琴様自身にはそういった力はないため普通の人と結婚したということだったので浄化の力についてはまだ分かりそうにない。
玲琴様はお見合い結婚みたいなことをおっしゃっていらしたが、烏梅様は玲琴様にぞっこんで見ていると砂を吐きそうになる。ここは絶対恋愛結婚だ。うらやましい。
そういえばトールたちの名前はこちら風ではないのかちょっと違うようなと思って聞いてみれば産まれてすぐにうるさくなったので静かにさせる間他の国で育てるつもりだったからとおっしゃられていた。トール以外はただの偶然らしい。
それで離れて暮らしてる間のトールのことを聞かせて欲しいと聞かれた時はついに来たかとどきまぎしながら答えたけど不自然なところはなかったわよね?
後でトールに確認した時に時に何も変なことはなく烏梅様と玲琴様はあたしのことを初々しい可愛らしいお嬢さんと褒めてくれていたとかでホッとした。
「ん~~~」
トールのご両親と会ってから一晩経ちいつもよりぐっすり眠れたんだけど結構図太い神経してるんだなと笑ってしまう。
「よく眠れた?」
「えっ」
この声は……。
バッと振り返ればそこには昨日会った麗人の玲琴様。
「お、おはようございます!」
何でこんなところに? いや、ここは玲琴様の屋敷でもあるからいたっておかしくはないんだけど、でも、朝一で会うとは思ってなかったから……。
「そんなにかしこまらないで」
挨拶もしてなかったとバッと頭を下げれば頭上から麗人の困ったような声。
麗人を困らせる訳にもいかないけど嘘で固めた身の上の為バレる訳にはいかない。そんなことを考えていたから多分玲琴様には恐る恐る顔を上げたように見えたのだろうにこやかな笑みと優しい声が降って来た。
「今起きたところ? 暇だったら一緒に散歩でもしない?」
「えっと」
混乱しつつも頷く。
ノヴァに駄目だって言われてたんだけど、相手は玲琴様だし断れなかったと言えば文句は言われると思うけど、そんなに怒られないはずだ。
それにお庭の花も気になってたから近くで見れるのなら多少の緊張ぐらいで文句は言えない。
玲琴様にはちょっと待っててもらって部屋から出て玲琴様のいる庭に出ると色とりどりの花であふれてる。
「うわっ~」
「お花好きなの?」
「村にいた頃は育ててました」
その後は家族で聖地巡礼の旅に出ていたが、途中で両親が病気で亡くなって途方に暮れてるところをトールに助けてもらったと言う設定で昨日話していたから問題ない。
「そうなのね。やっぱり花は違うのかしら?」
「ええ、見たことない花ばかりですごく綺麗です」
「それは嬉しいわ。それにしてもあの子はこんな可愛い友達がいたことを内緒にしてたなんて酷いわ」
「あはは」
内緒というか、こっちに来る船に乗ってる時に出会ったんですけどね。まあ、そんなことは言えないので笑って誤魔化すしかないんだけどね。
「そうだわ! うちの息子の嫁にならない?」
「いえ、遠慮します」
「あら、もういい人いるの? ……いるならここまでは来ないわよね」
「まあ、いませんが……でも、結婚するなら好きな人がいいので」
「それもそうよね。あたしったらごめんなさい」
よかった玲琴様は結構話が通じる方みたいで。まあ、この人たちも恋愛結婚だったから子供にもおんなじようにって考えなのかもしれない。あたしにそれを言って来たのは謎だけど。
ここまで着いて来たから好きで着いて来たとでも思ってたのかな? それだったら誤解を解いておかないと。
「あの、あたしずっと旅してて、それでトールに助けてもらって友達って言ってもらえてるし楽しいけど、ずっとその優しさに甘えるつもりはなくてですねって、えっ!?」
しばらくしたら出て行きますんでって言う前に玲琴様にぎゅっと抱き締められてびっくりした。
「えっあの……」
「辛い時にそんなこと言わせてごめんなさい。いつまでもこの家にいてくれていいから」
「えっと……」
これってあたしが健気な子だと思われたってこと? どうしようなんて答えたらいいの。
「あの、そうじゃなくて」
「ええ、そうね。ここにいる間はあたしのことを母だと思ってちょうだい」
「えっ!?」
「ああ、ごめんなさいそろそろ行かないといけない時間だったわ。それじゃあ、何かあったら遠慮なく言ってちょうだい」
「えっあの、待ってください!!」
さすがにそれはと言いたかったのに玲琴様は言いたいことだけ言うと止める間もなくあっという間に去って行ってしまった。
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