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「楽観視していたあたしが馬鹿でした……」
出港がお昼だからまだ時間があるけれど、これはない。
早いけど最後の日だからのんびり町を回ってから港に行こうと思って歩いていたはずなのに、気付いたらまた地下道に。
何でどうしてと来た道を振り返ってみたが、入口は綺麗さっぱり消えていて出られそうにもなくてため息しか出てこない。
「何でこんなところ入ろうって思ったのかしら。あたしの馬鹿」
暇潰しどころか下手したら船の代金損してしまう。なんとしても昼までにここから出なくちゃ。
「その為には何かあると思うだけど……」
手かがり的なものなんて一切ないんだよね。せめて落書きとか分かりやすいヒントがあれば楽なんだけどゴミすら落ちてないのが腹立たしい。
「ん?」
なんかここだけ壁の色が違う。
「こういうのって隠し通路とか罠よね」
あからさまな変化にようやく希望の光が見えて来た!
喜んで強く押せばそのまま壁が沈み隠し通路が! こっちの道は暗く外の明かりが通らないみたいだけど、全然平気だ。あんまり暗いようだったらキラキラの球を出せばいい。
そう思って中に入った瞬間落ちた。
「いったー」
何であそこで地面なくなってるとかあの通路作った奴マジ許さんとか色々あるけどとりあえず痛い。落ちた時にあちこちぶつけたみたいでアザが出来てるかも。
落ちたところはどこだと見上げてみたが、隠し通路の入口はもう閉まっているのか真っ暗で何も見えない。
「荷物持ってて良かったわ」
手探りで鞄を漁り宝石箱を開ければキラキラと輝く二つの球。その内の金色の球の方を取り出せばやっぱり辺りを照らしてくれた。大体二、三メートルくらい?
「カナリアさんには悪いけどこれ便利ね」
いつかは返さなくちゃいけないんだけど、まだあたしに必要な気がするし、何より戻るの面倒くさい。いつまでも同じところにいたらゼンターフィアから追っ手が掛かってるかもしんないから用心するに越したことはないもの。
いつか世界情勢が落ち着いたら返しに行くからそれまでは許してね!
心の中でカナリアさんに謝ってから立ち上がる。
落ちた時に足痛めたかもと思ったけど痛みはなくてホッとする。こんなところで動けなくなったらと思うとゾッとする。
「こんなところに人がいるなんて思わないもんね」
隠し通路に入ったばっかのところだけど、この通路人気ないみたいだから見つかる確率かなり低そうなんだもん。
そんなことを考えながら服についた汚れを払って辺りを見回すが、自分の横二メートルぐらいで壁、反対側も壁、後ろも壁、唯一正面だけがどこかに続いているみたい。
「これ、上と同じ道に進むんだったら掘った意味あるのかしら?」
落ちた時にバランス崩したけど、間違ってなければ上と同じ方角に向かって道が伸びてるはず。
「こっちの方がトラップとか多いのかしら?」
足元を見ても分かんないし出港時間もある。ここで考えるだけ時間の無駄だもん。さっさと出口見つけて船に乗らないとお金がもったいないし、次の出港は二ヶ月後になるって聞いたから絶対に乗り過ごせない。
「行くか!」
◇◇◇◇◇◇
さて、あたしの目の前に落ちている赤い色をした大きなお花の形をした宝石がある。
宝石の大きさはあたしの拳くらいはありそうで、色は赤だからルビー? 宝石の種類なんて全く分かんないから多分ルビーっぽいとしか思わないけど、この大きさのルビーなら結構なお値段になっちゃうんじゃないの? 花びらの先に行くにつれて薄くなってくのって技術いりそうだし、そもそもこんな大きな宝石ならとんでもないお値段付いてそう。
それがこんな誰が通るかも分かんないような場所に普通落ちてる? なんかの罠なんじゃないの? それかドッキリ。その内この宝石の花の後ろからドッキリの板持った町の人が出て来るんじゃないかって期待してもいいわよね? それで、これは宝石じゃなくてよく出来たイミテーションだって言ってくれるわよね?
「………………」
待っててもすることがなくて暇だ。
「やっぱり取っちゃう?」
船の出港時間を考えるとここでいつ来るのか分からない町の人を待つ訳にもいかないんだもの。
「それにこんなところ誰も来やしないじゃない。ほら、あそこなんて苔生えてるじゃないの」
よく見ればあたしが歩いて来たところにも苔が生えてたみたいで長い間誰もここに入って来てないのがようやく分かりホッとする。
「なら、もらっちゃっても問題ないわよね」
これだけ大きな宝石なら結構な値段で売れるんじゃない? 巻物もまだあるし、あたしってかなりツイてるんじゃない!?
ウキウキしながら鍵を取ろうと手を伸ばすとすんなり取れた。
「あれ? この紙何だ?」
鍵の近くに古びた紙が落ちていたことに気付いた。
それを拾ってみるとどこかの地図っぽい。×印が付いてるからそこに行けってことなんだろうけど、どこの地図なんだろ? この辺の地図なの? それともどこか違う場所の地図? あたしこの世界の地図なんて見たことないからこの×印がどこを指しているのか全く見当がつかないんだけど。
そんなことを呑気に考えていたら、さっきまで変化のなかったこの場所で一つだけ変わったことが。
行き止まりだったはずなのにいつの間にか道が続いている。
何か音がして後ろの壁がなくなったとか布を掛けて道を塞いでいたとかでもなく消えてて何だか狐につままれたような気分。
「これ平気、よね?」
後ろから水が迫って来るかなって一瞬思ったけど、そんな音はしないし、何より隠し通路の入口よじ登れないからこのまま進むしかない。
異能使えば登れなくもないけどさ、あんなところに木があったら絶対変じゃん。町中でわざわざそんな悪目立ちするようなことするようなヘマして戻されるなんてことあっちゃいけないからねぇ。
「そういえばここって港に続いてるって言ってたわよね」
いつぞや盗み聞きした話を思い出した。そうよ! このまま行った方が早いのならこのまま行ってさっさと船に乗っておさらばしましょ!
「という訳でさようなら」
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