18骨董品店のオーナー視点
「ナーダさんナーダさん大変です!」
「んあ? どかしたか?」
ぐっすりと寝ていたら店番を任せていたカナリアに起こされた。なんかやけに興奮してるみたいだけど何かあったの?
「もう! こんなとこで寝ないでくださいよ!」
「いいだろ俺の家なんだから」
それに床で寝てなかったんだから文句を言われる筋合いはないと寝ていたソファから起き上がった。
「んで? 何が大変なんだ?」
「ああ、そうでした!」
こいつのことだから鳥のヒナか何かが孵ったとかだと思ってたのに違った。
「さっき来たお客さんあの遺跡に入ったって!」
「あの?」
「あたしがいたあの遺跡よ!!」
まだ寝ぼけてんのかと睨まれながら差し出された巻物を手にして反対側の手で頭をボリボリと掻きながら情報を整理する。
「あーあの……ってあの遺跡か!?」
「そうよ」
「マジか……」
今のでばっちり目が覚めた。
カナリアがいた遺跡というのは封印されていて誰も入れないようになっている上に洞窟から丸2日程歩かなきゃならないから、誰も行かないだろうと思っていた。
昔、興味本意で行ってみたらえらいめに遭ったし、いや、あれは自業自得だけど。でも、あそこが気になって気になって仕方がなくなった俺はあそこの封印を解くのにかなりの年数を費やして、連れて帰って来たのはカナリアだけ。
しかもあそこはカナリアを連れ出した時に再び閉じられたはずだけど、そいつはどうやって開けたんだ? まさか他にも鍵があったのか?
カナリアはあの遺跡の中で封印されていた小さな赤ん坊だった。しかも7つぐらいになるまでどうも俺の言っていることは分かってなかった様子だった。
今ではこちらの言うことも理解しているが、あそこにいた理由は全くもって分かってないし、手掛かりらしきものも全くない。
カナリアをあそこから引き取って育てて15年か。俺もいつの間にかおっさんになる訳だ……。
何かしらの手がかりがあるんじゃないかとドキドキしながら巻物を開いてみたが、何書いてあるのかさっぱり分からん。こりゃ専門家に渡して調べてもらうしかないな。いくらぐらい掛かるか……。
「これ持って来た奴は?」
「ああ、うん。旅してるからお金にすると邪魔だからって言うからあのぬいぐるみとお金渡したよ」
「あー、あれか……」
男の子だったと言う声を聞きながらあれはうちの店にある中で一番高い奴じゃねえかと衝撃を受ける。まだこの巻物にそんなに価値があるのか分かってないのにあれ出しちゃったかぁ……。
「ダメだった?」
「……次からはそういう時は俺を呼んで」
「はーい」
元気良く答える声に次も同じようなことがあるかもしれないと危機感が募るがそれには気付かない振りをした。
「これ持って来た奴ってまだ店にいるのか?」
「ううん。でも、しばらくこの町にいるって言ってたけど会うの?」
「ああ、出来たら会いたい」
あの遺跡に入ってこの巻物を手にしたのだからまだカナリアに関する情報が残されているかもしれかい。
そいつに会ったら遺跡内のことやこの巻物を見つけた時の状況やなんかを聞いておきたい。
「探してくる?」
「そうだな。いや、俺も行く」
あそこに行った奴の顔を早く拝みたい。もしかしたらそいつがカナリアの秘密を見つけてくれるのかもしれない。いや、その前に久しぶりにあの遺跡に行ってみるか? これを持って来た奴が入ったってことは封印は解けているだろうし、まだ何かしらの手がかりが見つかるかもしれない。
ああ、そっちの方がいいな。
「カナリア、そいつどれくらいこの町にいるって言ってた聞いたか?」
「ううん。しばらくって言ってたけど何日とは」
「そうか……」
不思議そうな顔をするカナリアに何でもないと頭を撫でてやれば途端に嬉しそうな顔をする。
そろそろ年頃だと思っていたがこいつのこんな顔を見るとまだまだ子供にしか見えない。
「まあ、いなかったら仕方ない。予定変更だ。先に遺跡に行く」
「遺跡に? あのお客さんはいいの?」
「ああ、いなくなってたら追いかければいいからな」
それよりも先に久しぶりの冒険に血が騒ぐ。
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