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 散々歩き回ったがめぼしいお宝は池に沈んでいた綺麗な球ぐらいしかなかった。あと何書いてあるか分かんない古代の巻物らしき物。これは普通に売れそうだったから何本か持って来た。


 それ以外はこれといって宝石とかも見つかんなくて仕方なく地上に戻ってみたけどまだ吹雪いていて動けそうになかった。


 もしかしてこの冬ずっとここから動けない? さすがにそれは嫌なんだけど。


「こういう時他の異能が使えたらよかったのに」


 あたしの異能も空を飛ぶとか違う場所に移動出来るとかだったらもっと便利だったわよね。


 こんな時は豊穣だの浄化だからこんな時にはどうしようもない。飢えないからいいけど、他の異能も使ってみたかった。そういえば勇者も異能を持ってるんだっけ? どんな異能か聞いときゃよかったかも。


 そうやってラノスのことを思い出していると芋づる式に昔のことを思い出していたら久しぶりに行商のおじさんのことを思い出して会いたくなっちゃった。


 今なら戻っても大丈夫かしら? いや、あたしが生きてることがバレたらまた勧誘……いや、下手したら王都に強制連行か勇者のところに引き渡されるかだ。やめておいた方が懸命だ。うん。戻らない。戻れない。 


 それに吹雪で動けないからどっちみちまだどこにも動けないのでこれからのことを考えても仕方ないや。


 とりあえず今どうやって暇を潰そうかと考えていると肩のところで髪が揺れた。


「そろそろ切らないといけないかしら」


 国境のところで切ったっきりだからそろそろ切らないといけないのは分かっていたけど、ずっとほったらかしにしてた。


「することないし切ったっていいんだけど……」


 なんとなく切るのが面倒でずっとほったらかしにしてたらこの長さになってしまった。今世ではずっと長かったから短いの落ち着かなかったけど、いざ切ろうかってなるとちょっと躊躇ってしまう。それに短いのは短いで楽だったのよね。


 どうしよっかな。旅をしててもあんまり人とかに出会わないから伸ばしてもいいような気もするけど。男の格好してるのならあんまり長いと変になっちゃうわよね。


「そういえばハサミってあったかしら?」


 切った時はかなり酷いことになってたから適当でいいやってナイフで切っちゃったけど長さは揃えたい。後ろの方とか長さバラバラで気になってるのよね。


 そう思ってハサミを探してみたが、持ってなかったので切るのは諦めて適当にリボンで縛った。ナイフで切ったらまた不揃いな長さになっちゃう。


 そういえばこのリボン旅に出る時にどっかに落としてこうと思ってたのにすっかり忘れてここまで持って来てしまった。まあ、まだ使えるしまだ持っててもいいかな。


 というかいい加減そろそろ雪やんで欲しいのよね。干し肉もなくなっちゃったし、お菓子食べたいし、宿のベッドで眠りたいし、体拭くだけじゃなくてお風呂も入りたいんだから!!




◇◇◇◇◇◇




 あれから春になるまで洞窟にいました。


 ええ、ええ辛かった。調味料もなくなって果物と葉っぱだけの生活。飢える訳じゃないからいいやと思っていた自分にグーでぶん殴りたくなった。ベジタリアンの人凄い。ていうか塩すらないのかなりきつかった。


 しょっぱいのとか香辛料の効いたパンチのある肉料理が食べたいと何度夢見てうなされたことか。


 だから春になって洞窟から出られるようになって最初に寄った町で香辛料をたっぷり使った料理を食べてお腹を壊した。


 久しぶりだったからね。お腹がびっくりしたんだろうけどさ、あたしも年頃の女の子なんだからもうちょっと頑張って欲しかった。というか、香辛料も植物だから種を手に入れとけばお腹痛くならなくて済んだんじゃないの? あたしの馬鹿。


 冬の間ベジタリアンになってたのに町に着いた途端にお腹を壊したせいかは分からないけど、熱まで出てすっかり寝込んでしまった。

 

 そうそうすっかり忘れてたけど、洞窟の中で過ごしている間に気付いたら15歳になっていたらしくてショックを受けた。


 村を出てから初めての誕生日だったから盛大に祝おうと思っていたのにとんだ大誤算だ。


 今からでもいいから盛大に祝おうかしら?


 起き上がれるようになった頃には痩せて別人だとまではいかないもののパッと見違う人みたいになってた。髪の長さも前と違うし背だって伸びたし、腹痛と発熱で結構痩せた。


 これなら元いた国の人があたしを見たって言っても他人の空似で押し通せるかも。


「リュリュもう起きてもいいのかい?」

「セリーナさん平気よ」


 ようやくあたしにも仲間が! といいたいけど、セリーナさんはあたしが泊まっている宿の女主人で多分四十代か五十代くらい。だから仲間じゃないのぐすん。


 ご主人が亡くなってからずっと一人でこの宿を切り盛りしてるんだそう。


「それにしてもあんたが倒れた時にはびっくりしたよ」

「あたしもです。あんなにお腹痛くなったの初めてて助かりました」

「もう倒れるんじゃないよ」


 セリーナさんの言葉に苦笑いするしかない。今度こんなことがないように干し肉や調味料も多めに買っておかないといけないわね。鞄入るかしら?


 そろそろ荷物の整理した方がいいのかもしれない。売れそうだと遺跡から持って来た巻物も売りたいし、冬の間にくたびれてしまった服も売って新しい服を買おう。


 今日はお金沢山使いそうで懐具合がちょっぴり心配。遺跡から持って来た巻物が高く売れますように。


 セリーナさんにちょっと出掛けてくると言うと心配してくれた。やっぱり心配してくれる人がいるのはいいな。


 一人旅だと体調を崩しても心配してくれる人なんていないんだもの。あたしにも旅の同行者が欲しい。


 セリーナさんの優しさに感動しつつも宿代を稼ぎたいと言うと真顔になったのでそこはシビアなんだなと切なくなった。


 セリーナさんの許可も頂いたからと骨董品が売れそうな店に来てみたんだけど、色んな物がごちゃごちゃしていて奥が全く見えない。店員さんどこ?


 住んでた村にはこんな店なかったし、旅してる間に通った町では関係ないからと通りすぎてたけど、いざ自分が入るとなると本当にここであってるのかと不安になる。ゴミ屋敷とかじゃないよね?


「すみませーん」

「はーい」


 おっかなびっくり中に入ればちゃんと返事があった。


 良かった人がいる。ホッとしながら本を鞄から取り出す。


「この店が骨董品のお店だって聞いて売りに来たんですけどいいですか?」

「はいはい」


 可愛らしい声が聞こえたと思えば棚の影から長い黒髪を耳の上でツインテールにした丸眼鏡の可愛らしい少女がひょっこり顔を出した。


「どれですか」

「あ、これです」


 同い年くらいかな? この町に滞在している間仲良くして欲しいなと思いながら遺跡で見つけた巻物を差し出す。よく見たらこの子の目真っ赤だわ。まるでルビーみたいな瞳ね。うわっ睫毛ながーい! 肌も白くてこんなに可愛い子がいるのね。許されるなら丸眼鏡外してゴスロリ着せたい!! 絶対この子に似合うのに!!


「これですか」

「旅をしてて入った遺跡で見つけたんです」


 前世のオタク魂が疼きそうになってたら話し掛けられた。 


 いけない巻物を売りに来たんだった。頷きながら価値がありそうだと匂わせてみたが聞いてるのだろうか? 凄く真剣な目をして食い入るように巻物を見つめている。


「あの、」

「遺跡で見つけたと言いましたけどどこの遺跡か分かりますか?」

「ええっとここから一、二週間ぐらい歩いたところの洞窟を降りてったらありました」


 もしかして遺跡の発掘に行くのだろうか? だとしたらあそこあたしが雑草とか木とか沢山生やしてしまったから見に行かれると結構まずいんじゃない?

違う場所だって答えれば良かった……どう考えてもあんな地中深くに大量の草や木なんて生える訳なんてないんだもの。


「あの、でも、売れそうなのそれくらいしかなくて」

「そうなんですね」


 しどろもどろになりながらも行っても意味ないよと言い募っているけど、この店の子感情が全く読めないからびくびくしてしまう。行くの? 行かないの? どっちなの?


「あのーそれで」

「あ、失礼しました。お値段はそうですね、これぐらいになりますがいいですか?」

「えっ、こんなに!?」


 遺跡に行くのかどうか気にしてたの忘れちゃうぐらいの額に頭がくらくらしてきた。


ブクマ、評価、いいねありがとうございます(。・x・)ゞ♪

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