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皆さんごきげんよう。真冬の洞窟からお送りしてます。
なんで洞窟かって? 移動中に吹雪いて来て身動き取れなくなったからだよコンチクショー!!
幸い能力のおかげで飢えることもないが、孤独だ。そして暇。
孤独なんだあたしは。もうずっと誰とも喋ってないんだ!! それとお菓子食べたい。
話が、話がしたい! 最後に喋ったのはケロルナーダの宿を出る時にしたお会計の時に『ありがとうございました』って言ったのが最後。
それから一ヶ月あまり人に会うこともなくうろうろと歩いていたらいつの間にか道に迷いに迷ってこんなところでまごついているうちに吹雪到来。今に至る。もう迷子は嫌ー!!
洞窟の中は自然に出来たものなのかは分からないが、結構奥行きがあって多分どっか別のところに繋がっているんだと思う。迷ったりすると嫌だから奥には行ってない。
だけどこの洞窟に入って一週間。さすがに退屈過ぎて洞窟の奥の探検でもしてみようかと思う。
奥は暗いけど灯りは必要ない。旅に出てから野宿の方が圧倒的に多かったから夜目が利くようになったから暗くても全然平気。
「地底湖とかあるかしら? それか、売れそうな宝石とかあったらいいんだけど。ああ、でも、ちょっとだけわくわくするわね」
珍しい異能だったから子供たちだけでの冒険とかには嫌がられ、加えてもらえた試しがなかったからこういったことには縁がなくて余計にわくわくする。
「旅に出た時もわくわくはしてたけど熊に襲われるとは思わなかったし……迷うし、誰にも会わなかったし……」
出来たらあんな体験は二度としたくない。
そんなことを考えていたら洞窟の入り口は見えない位置にまで来ていたかので奥の方を覗いてみたが、暗いっちゃ暗いが全く見えないって程でもないので平気だろう。
「このぐらいなら十分見えるわ」
足元はちょっと見辛いけど、これぐらいなら全然大丈夫でしょ。
コウモリがいないといいな。あれ? コウモリって食べれたっけ? 牛肉みたいなお味がするんだっけ? じゃあ、捕まえられたらサクッと捕まえて食べちゃいましょ。楽しみだわ♪
「うわっ……」
うきうきしながら歩けど歩けどコウモリに出くわすこともなく、ひたすら歩き続け、時々休憩を取ったり、眠ってしまったりとしながらたどり着いたのは地底遺跡かしらそれとも古代遺跡? まあ、どっちでも変わんないわよね。
それにしても大きな建物が崩れずに残ってる姿は圧巻だわ。
なんでこんなところに? こんなものが? と思いたいけど、それよりもこれってヤバい?
もし未知の古代遺跡なら発掘しましたって世間に発表すればかなり儲かるかもしんないけど、そうじゃなかったらゲームのストーリーとかでこういった遺跡で主人公がレベルアップとかあるじゃない。
間違えましたと足を引き返すべきなのだろうが、今は勇者がいる訳でもないし、歩き続けたのに手ぶらで帰るのも虚しいので遺跡の中に足を踏み入れた。
「いつの時代のものかしら」
だいぶ古い時代のものだというのは分かるけど、専門家でもないので全く分からない。
ここにあるもので何か高く売れそうな物はないかしら? あれば路銀にするのに。
路銀の心配もだけど、ここあたしがいる時に崩れて来ないか心配になる。至るところで柱倒れてたり崩れてる場所とか結構あるから割とガチで心配している。
「ん?」
冒険のわくわくとは違ったドキドキを感じながら見て回っていると人の気配がする。
「はて? こんなところにいる人なんているの?」
こんなところにいる奴なんて盗賊か悪い組織の人間だろう。あたしみたいに暇潰しでも中々の距離があるから途中で気力が尽きて戻るだろう。だからこんなところに誰かいるんだったら関わらないでおいた方がいい。
だけど、もし何かあった時の為に顔だけでも見ておこうと思ったのが悪かったのか、はたまた奥に行ってみようと考えたのが悪かったのか、それとも洞窟で吹雪をやり過ごそうとしたのが悪かったのか物陰から見た姿はどっからどう見ても人間じゃなかった。
青白い肌に悪魔のような大きな羽に鋭い爪。下半身は何かの獣なのだろうか? それの姿。ケンタウロスが一番しっくりくるような気がするが、それだとも言いにくい。下半身水玉模様だし。魔族だ。
魔族は魔物と似てるが魔物は知性がなく襲ってくるが、魔族は厄介だと聞いたことがある。それから魔族が魔物を操ってるだとかなんとか。
他にも何体か魔族は居たが水玉模様の魔族がこの中のリーダーっぽい。
何を話してるのか分からないけど、何か偉そうだし。
あの魔族たちが何をしているのかとかはひとまず置いといて──
「こういうのって主人公のところに出るんじゃないの!?」
何であたしが魔族が何かしようとしてるところに遭遇しなくちゃいけないのよ!! 勇者は何してんの!?
「あ、待てよ。よく分かんない力を試せるチャンス!?」
ラノスに神官がいないとどうたらこうたら言われてた全く使える素振りすらなかった浄化の力を使えるかも。それに、こんなチャンス早々ないんじゃない?
問題があるとすればあたしは戦えないということ。聖女って勇者が魔王を倒した後に力を使うと思うからやっぱりあの魔族たち倒さないといけないわよねぇ。
「戦わずにどうにか倒せないかしら」
うんうん唸ってどうやって倒すか考える。
「そうだわ!」
時間がちょっと掛かるけど準備しなくちゃ!
「こんなものかしら」
手についた土を払い落としてさっきの魔族たちにに見つかっていないかキョロキョロするが、辺りに誰も居なさそうでホッとする。
ここまで準備しといて倒せませんでしたじゃ格好悪いけど、お試しだし、危なくなる前にどこかに隠れてどうなるか見物でもさせてもらおうか。
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