120勇者の仲間セルジオ視点6
「今何て言った」
「私の意見は変わりません。これ以上言うことはありませんので失礼させていただきます。今までありがとうございました」
「ちょ、おい!」
俺たちの止める声も聞かずにモンスパルは話し合っていた席を外して去って行った。
その姿にさっきまではモンスパルを止めようとしていた仲間たちは言葉を失いぴっちりと閉じられてしまった扉を食い入るように見つめるしかなすすべしかなかった。
モンスパルが勇者一行から手を引いた。
理由は言わなかったが俺たちとはもう一緒に居られないと。止めるべきなのだろうが俺たちが何か言ったところでモンスパルの決意は変わらないという感じだった。
俺たちは教会の奥深くにカナリアを移動させて聖女の嬢ちゃんたちがいる村に行く前にとモンスパルに呼び止められて入った貴賓室でのモンスパルの衝撃発言。
「……っておい! モンスパル待て!」
クロッチェがモンスパルを追いかけて出て行ったのを皮切りに俺たちは廊下に出たがモンスパルの姿は既になかった。
◇◇◇◇◇◇
「どうすんだよ」
「どうとは?」
「モンスパルのことだよ」
クロッチェが勇者に尋ねるが勇者はとぼけた振りをしているのか本当に分からないのか不思議そうな顔をしている。
その姿にクロッチェが怒りそうになっているが、俺からしたら勇者は聖女の嬢ちゃん以外のことは全てそんな感じだから怒るだけ無駄な気がする。
「本人がああ言っているのなら止めるのもどうかと」
「あたくしたちは勇者一行なんですのよ?! 本人の勝手で抜けられる訳ありませんわ!」
バンッと勢いよく机を叩き聖女の嬢ちゃんが居なくなっていたのも怒り狂っていたアマンダからするとモンスパルの行動は許せるものではないのだろう。
それなのに勇者はどうでもよさげな態度にアマンダは眦を吊り上げて行く。このままじゃアマンダの癇癪が爆発しそうだ。
何度かモンスパルに会えるようにと教会側に面会を申請しているのだが本人の強い意思により今だに会えないでいる。
聖女の嬢ちゃんにすぐ戻るって言ったのに思った以上に長くなりそうで既にぐったりしている。
あっちは平和なんだろうな。うらやましい。
一回向こうの奴らに連絡を入れるかこっちに連れて来るようにした方がいいかもしれないと言うと後でクロッチェが迎えに行くと。あいつ一人だけ逃げる気か?
俺もそっちがいいがカナリアが教会に慣れるまではしばらく交互で顔を出す予定だ。その点あいつは一時的に離れていたから顔をあまり出さなくても問題ないだろうって言っているのはうらやましい。
俺もあの時別行動してればよかった。
アマンダの怒り狂って叫ぶ姿は恐ろしいものがある。これなら戦場で魔族と戦っている方が断然マシなんだよな。
「とりあえず教会側からの正式な返事を待つしかないだろうからそれまでは待機するしかないだろう」
「そんなの待ってられませんわ。世界中の人たちがあたくしたちが来るのを待っているんですのよ!」
「それは分かっている。前に手分けして魔族を倒していた時と同じように人数を分けよう。アマンダはカナリアの件もあるからここに残ってくれ。セルジオは俺と魔族を倒しに行くぞ。クロッチェは出来るだけ早くリュリュ様とトールを連れて戻ってきてくれ」
「分かった」
「アマンダもそれでいいか?」
「……分かりましたわ」
勇者の決定に渋々とだがアマンダは頷いた。
「それでは行こう」




