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冬の間に暮らす家を見てきたが、子供の一人暮らしというだけでいい顔をされずに宿に戻る憂鬱な日々。


「今日も駄目だったか……」


 宿に泊まる時も微妙そうな顔をされたので、冬の間泊まり続けるって言ったらどんな顔をされるのだろうか考えたくもない。


 商売の国なんだからお金さえあればそういうの気にしないだろうと考えてたのが甘かった。


 異国での一人の寂しさから久しぶりに行商のおじさんに会いたくなってきた。


 会って色々と話を聞いてもらいたい。村のみんなもいきなりあたしが居なくなったからびっくりしてるかも……ああ、熊が居たから襲われて死んだって思われてるかも。


 父さんと母さんからしたらかなりの親不孝よね。


 これまでのことを考えていると思考がどんどん後ろ向きになる。


 それもこれも勇者のせいだ! あいつのせいであたしの人生めちゃくちゃにされたんだ。見つけたら一発ぐらい殴って……いや、やっぱり見つかりたくはないからいいや。


 路地裏をとぼとぼと足取り重く歩いていると何だか騒がしい。事件でもあっのだろうか?


「おい、聞いたか」

「ああ、魔王が復活するとかで城の連中がピリピリしてたぞ」

「なんですって! おじさん詳しく!!」


 今まで散々変な顔をされていたのについにここに来て魔王についての情報が! もっと詳しく話を聞かなくちゃ!


 突然割って入った女言葉を話す男の子の格好をした人間にちょっと面食らった顔をしていたけど、話しをしていたおじさんたちはよっぽど話したかったのか快く話してくれた。ありがとう。あと、ちぐはぐな格好でごめんなさい。


 曰く、魔王の手下を名乗る魔族が各国の城に現れたとかで大騒ぎになっているとか。魔王が復活するのいつになるかはっきりとは分かっていないが、その時に盛大な宴を開くから人間たちの国からそれぞれ毎年十人ずつ(思ったより少ない?)人を差し出すように準備をしておけと要求があったそう。


 それから勇者がゼンターフィア(あたしが住んでた国)から勇者とその仲間たちが旅立ったとか。おじさんたちは勇者の仲間が何人かは知らないそうだけど、勇者が出たのならなんとかなるんじゃないかと楽観的に話してくれた。 


 それ以上有益な情報はなかったけど、お礼を言ってからおじさんたちと別れた。


 行商のおじさんの笑顔に癒されに行きたくなったけど、こんな話を聞かされたんじゃ行ける訳ない。勇者たちは国を出たばっかりらしいけど、国に戻って来ないとも限らないんだし。


 魔王が復活したら当然あのラノスと数人の仲間たちが戦いに行く訳で、そこに一応必要らしいあたしがいないとどうなるのだろうか?


 やっぱり探してるのかしら? いや、今頃熊の腹の中だと思われてるはずだから多分大丈夫でしょ。だけど──


 ──そもそも聖女って何するの?


「調べてみる?」


 住んでた村では村の外の情報って近くの村の噂話程度しか入って来なかったし、王都から来る役人は王都の素晴らしさしか話さなかったからミリーが勇者だのなんだの言ってきた時もあんまりピンと来なかったのよね。


 ゲーム知識があったからそのまま話してたけど、こんなことなら詳しく聞いておけばよかったわ。


 ちょっと落ち込みつつ魔王だの勇者だの詳しく扱った本がないだろうかと市場をうろうろする。


「童話、小説、怪奇は違うか……おじさん歴史の本とかないの? 魔王とか勇者とか聖女について書いてあるのがいいんだけど……あ、そう。あ、ついでに異能に関する本も……それもないの!? どうなってんのよ!? 恋愛小説ならある? 今はそんなの必要じゃないわよ!!」


 魔王の手下が現れたせいかそっち系の本は出払ってしまってるとかで一冊も残ってないとか。他の店も似たり寄ったりだと言われては諦める他はない。


 多分、図書館に行ったとしてもおんなじだろうな。魔族め余計なことしやがって!


 手がかりは早々に諦めて移動する場所を探そうかしら? でもなあ、もうすぐ冬になるし……うーん。迷うな。


 移動するのなら早めにしないといけないのよね。ああ、でも、宿の人にいい顔されてないし、お金のことも考えるとやっぱり移動した方がいいわね。


 そうと決めれば宿を引き払ってどこか落ち着けて冬を越せる場所を探しましょっと! 今度はどんなところがいいかしら?


 それともそろそろ他の大陸に逃げることも真剣に考えた方がいいかも?



ブクマ、評価、いいねありがとうございます(。・x・)ゞ♪

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