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その後はぎすぎすした雰囲気のまま過ごさなきゃいけないのかと思っていたけど、トールと一緒にいた妖精たちのお陰でそんなことにはならなかった。
「お、おめえらこんなとこに居たのか?!」
「それはこっちの台詞ですぅ」
「僕たち居なくなった人たち探すために来たんだからね」
「ミックーとスヒィその子は?」
トールが聞くとミックーとスヒィと話していた妖精はさっと隠れてしまった。
「あー、隠れちゃだめだよぉー、この人たちにお願いして探すの手伝ってもらったんだからぁ」
「で、でもおら人間たちはおらたちみたいな妖精を見たら捕まえて売っちゃうって」
「あたしたち捕まってるのぉ?」
「売ってどうするの?」
「そ、それはおらだってわかんねえけどよ」
「じゃあ、分からないのに言ったのぉ? この人たちに失礼だよぉー」
「ごめんなさいしようか」
「ご、ごめんなさい人間たち」
「いいえ~」
返事をしたもののこれまた事情をイマイチ飲み込めていないあたしたちは愛想笑いをして妖精たちのやり取りを見守ることにした。
勇者たち? まだ何か固まっているというか、もの凄く気まずい空気が漂っていてあそこの空間に入って行く勇気なんてあたしにはないのでそのままにしている。
思ったよりも重たい空気にしてしまったからかトールはあの空気をどうにかしようとして何回かアタックしていたけど、あんまり上手くいってない。
あと一回アタックするのを見届けたら休憩するように言おう。
カナリアが魔王だったとしてもなるようにしかならないんだから今からあんなに気にしていたら身がもたない。
クミンさんも同じことを思っているのかあたしたちはさっき食べたけどトールと勇者たちはまだ食べていないからとご飯の用意を始めたのであたしもそれを手伝うことにする。
うっかりあっちに行ってお通夜状態に巻き込またらたまったもんじゃなくなっちゃうもの。
あの龍っぽい魔獣を倒した後は今のところ魔獣も出てきてないからミックーとスヒィの友達? 妖精の仲間の子も出てきたらしい。
なんかこの子シルシェさんとクミンさんの後をずっとつけていた子だったらしくて二人にもぺこぺこ頭を下げていた。
「おら、トッキーって言いますだ。森の様子がおかしかったから気になって外に出たら帰れなくなってしまってお前らに迷惑を掛けてしまったらしくて申し訳ないことをしてしまった」
「ごめんなさいはー?」
「すみませんだ」
「まあ、いいが。それよりもこの森の影響はどうなってるんだ? 魔王の力の欠片の影響だったんだろ?」
シルシェさんの言葉にそういえばそうだったと思い出す。
クロッチェが持っていた魔王の力の欠片は今カナリアの中に入って行ったらしいけど、別に何かある訳じゃなくカナリアは眠り続けている。
妖精たちは顔を見合せた後カナリアのところに飛んで行くとカナリアの顔を覗き込んだり触ったりしてる。
一応カナリアは病人でもあるから止めるべき?
迷っていると三匹はカナリアから離れた。
「おらにはわかんねえ」
「多分長老に聞いたら分かるかも」
「長老は?」
村にいるらしいが、この森のせいで分からないんだそう。駄目じゃん。
どうするんだろ? と見ているとシルシェさんもどうするんだと勇者たちの方を見てそっと目を反らした。
「どうにかなるよぉー」
そうだといいね。ミックーを撫でてから本当にどうするんだろと気になった。




