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「カナリアの様子を見てくださいまし」
「あ、はい」
カナリアの様子見なくちゃいけなかったからか?
まあ、いいや。
「熱は下がったんですけど目を覚まさないんです」
「それって大丈夫なんですか?」
眠気覚ましのハーブとか出した方がいいかな?
「それを知りたいんですわ。あなたなら大丈夫だと思ったのですが」
「そう言われてもね……あたしだって素人みたいなモンなんだけどね」
「ですがあなたは怪我人を治療していたじゃありませんか」
「あのね、あれは助手なの治療してたのは別の人であってあたしじゃないの。村でも薬草とか色々育ててたから多少は分かるってだけよ」
香辛料でもよさそう。体調がって思っていたけど、カナリアにもちょっとだけ仕返ししたい気持ちもある。
あのドデカい魔獣はアマンダと喋っている間にさくさくと倒されてしまったのか地面に倒れていたので、浄化するとシルシェさんも戻ってきた。
「どうしたんだ?」
「それが」
アマンダがシルシェさんにカナリアの様子を伝える。
「クミン見てやってくれ」
「私が?」
「クミンさんが?」
意味が分からなくてクミンさんの顔を見ればめちゃくちゃ嫌そうな顔をしていた。
「私はトール様のお薬と体調を」
「薬はノヴァにもらったし体調は今のところ安定してるからその子見てあげて」
「しかし……分かりました。リュリュ手伝ってください」
「あ、はい」
よく分からないけどあたし以上の適役が居たってこと?
クミンさんに言われるがままに薬草を育てたり、薬を飲ませたりする。
「これで意識が戻らなければしりません」
薬を飲ませて横にしてあげたら後はカナリアの意識が戻るだけらしいので休憩だとそっと離れる。
「リュリュ! 大丈夫だった?」
「トール平気よ」
そういえばよく分からない小さな魔獣のせいで離れ離れになってしまったんだったわ。そんなことを考えているとクロッチェも居たので声をかけた。
「クロッチェ怪我は平気なの?」
「ああ、トールに治してもらったからな。こいつすげえな怪我なんか最初からなかったみたいになったぜ」
「それくらいしか出来ないからね」
「あたしも治してもらったけど凄いよね」
「リュリュ様ご無事でしたか?!」
わいわいとトールの異能の素晴らしさを語っていたら勇者がやってきたんだけど、魔獣の返り血なのか怪我したのか知らないけどめちゃくちゃ血まみれでこっちに来ないで欲しい。
「うわっ!」
「その格好でトール様へ近付かないでください!!」
「え、ああ……」
クミンさんの迫力に勇者がすごすごと引っ込んでしまった。クミンさん凄い。
思わずクミンさんにグッジョブってしたかったけど、ここの人たちには通用しないなと気付いて手を振っておくだけにしといた。
「あ、そうだ。勇者、忘れるところだったけどさ」
アマンダにずぶ濡れにされている勇者のところにクロッチェが懐から何か取り出しながら歩いて行く。
ていうか、綺麗にするのってそんなやり方なんだ。魔法で簡単に血が落ちると思っていたのに違ってちょっとだけ残念に思った。
クロッチェがびしょ濡れの勇者のところに行ってしまったのでトールとはぐれてからのことをお互いに話し合って妖精の紹介をされた時に事件は起こった。
「可愛いわねー」
「そうだね」
何を食べるのかな?
「うわっ!」
「?」
トールと一緒に声が上がった方を見る。
魔王の力の欠片が光っている。
いや、あれは元々光る物だけど今はいつも以上に光り輝いてる。
どういうことだと見守っていると珠が震え出した。あれまずいんじゃないの?! と見ていると勇者と騎士の人が動く。
「リュリュは下がってて」
「あ、うん」
トールの背中に庇われるが、トールの前にはシルシェさん、クミンさん、ノヴァの三人がいつの間にか立っている。
その後ろからどうなってるんだと魔王の力の欠片に注視していると一際眩い光を放ち目を開けていられなくなった。
「うぅっ!」
その光に目を焼かれないように目を瞑って腕で顔を覆ってやり過ごす。
「リュリュ目を開けて大丈夫みたいだよ」
しばらくするとトールに声を掛けられて恐る恐る顔を上げると呆然とした顔をした勇者とクロッチェが居た。
「何があったの?」
「それは僕にも分からない」
困惑したトールにそれもそうだと思ってもう一度クロッチェたちに視線を向ける。
「ねえ」
「なくなったんだけど……」
「は?」
なくなったって何が? とクロッチェを見る。
「あ」
さっきまで持っていた魔王の力の欠片がなくなっていた。
「えっ、どういうことなのよ!」




